見出し画像

☆本#264,265 成り行き「私はいつも私」片岡義男著、「ムーンライト・イン」中島京子著を読んで

前者は都会的でスタイリッシュというか比較的論理的な女性主人公の短編集で、後者は高原が舞台で20代から80代まで訳ありの4人が偶然集まりともに生活しそれぞれ決断をしていく長編。
とても、対照的。男性作家の書く女性は、女性作家のとはちょっと違う。男性ミステリー作家の書く女性は、たまにかなり違う。若干ステレオタイプ的。

前者で印象的だったのは、「彼女のリアリズムが輝く」。
22歳でミステリー作家になった女性が、フランスで出会った商社マンとアラサーで結婚し、帰国して2年。ある日、いつも忙しい夫が昔付き合っていた女性と未だに付き合っていることを知る。その女性の部屋の鍵がキーポイントで、確認後その鍵を捨てて、そのネタで話を書くことにして、いつもの生活に戻る。夫を追求することもなく。それが印象的。えっ、それで終われる、的な。
表題も、ちょっと不思議。妻に説得されて離婚する男性が、その後妻に会いたくなって、再び付き合いが始まるんだけど、この男性がどうやら本当に妻が好きなのかわかりづらくって、そもそもそれが原因で離婚したんだけど…。タイトルがいい。どの話にも共通するような。どれもふたりがいっしょにいるのに結婚はあまり関係ない、的。

後者は、30代半ばの男性が偶然雨の日にたどり着いた元ホテルに住む訳ありの人々の話。訳ありは明かされて、それぞれ考えるところがあって、最後離散していく。マリー・ジョイの予測が当たればいいなと思う。

この2冊が出版された年は30年近く差があるけど、共通点もあった。
前者では主人公のずっと好だった男性が美しい女性になっていたり、後者では息子に彼氏ができたり、異性愛だけじゃないところ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?