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☆本#474,475 罪「葬送の庭 上下」タナ・フレンチ著を読んで

アイルランドのワーキングクラスの家を出たから中年男性が主人公。著者のデビュー作から3作目で、本作も警察官繋がり。次作も、主人公は本作で登場する刑事。

フランクは19歳の時、町一番の美女で同い年のロージーに誘われ、ふたりでこっそり町を出る約束をする。夢を叶えるため。二人の交際は彼女の父親に反対されていたせいで、いったん別れたことになっていた。
深夜、待ち合わせの時間に彼女は来ない。廃屋に行くと、ひとりで旅立つというメモが。明け方まで待って、フランクも一人で町を出る。

22年後、バツイチのフランクが一人娘のホリーと週末過ごすため、ホリーを連れて自宅に戻ると、留守番電話にメッセージが。通常、仕事仲間や周りのひとは携帯に連絡するので、実家でなにかあったかと嫌な予感がする。
予感は当たり、電話をかけてきたのは唯一連絡を取っていた妹からで、すぐ来てくれという。娘をふたたび元妻のところに送り、22年ぶりに実家に帰ると、廃屋からロージーのトランクが見つかったという。

その後、廃屋の地下で女性の遺体が見つかり、警察学校で同期だった殺人課のスコーチャーが担当することになる。が、フランクも個人的に捜査していくうちに、弟も事故で亡くなる。フランクは事故死ではないと思い、さらに調査を進めて…。


アイルランドのワーキングクラスの格差、やっかいな父親の世話と兄弟間の軋轢、絶対的な影響力のある特別な女性。
上下2冊は少々長過ぎで、ちょっとだけ長い1冊のほうがよかったかも。

フランクには兄姉弟妹がいて、階段にみんなが座って話すシーンや家族間のイメージは、ジェイソン・ステイサム主演のイギリスが舞台の映画の、ワーキングクラスの家の様子を想起。
本作は過去が80年代、現在が2000年代の設定なんだけど、それよりもっと古い印象。家父長制のせいか。

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