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☆本#78,79 読後感と結末 「いもうと」赤川次郎著、「全部ゆるせたらいいのに」一木けい著を読んで

「ふたり」の続編の「いもうと」は主人公実加の母親が亡くなることで原因を作った父親を赦せず疎遠になり、その10年後から始まる。浮気相手だった女性から父親の病気を知り、それをきっかけに、母親違いのいもうとと関わることになり、後輩の面倒を見たり、同僚と大仕事を成し遂げたり成長していく。赤川次郎の小説なので、死が淡泊にいくつか描かれる。後輩が突発的に殺人を犯したり、昔の知人が自殺したり、仕事で知り合った人も自殺未遂したり。人のいい主人公は結局父親の再婚を認め、結婚式を手配し、最後にまたきょうだいが増えることが分かって物語は終わる。

一方、「全部赦せたらいいのに」は、主人公千映の自身の家族、夫と幼い娘の話、父と母の話、そして父親との関係を主軸に描かれる。アル中の父親は離婚後一人暮らしをしているとき急死する。千映は、父と娘をもっと会わせてあげればよかったと後悔する。

ここが先月読んだある翻訳家のエッセイとシンクロした。
彼女はびわ湖ほとりに夫と子供と暮らしていて、ある日警察から連絡を受ける。離れて暮らしていた兄が亡くなったので彼が暮らしていたアパートへ来てほしいという。障害を持っていた兄は、離婚後一人暮らしをしていた。彼女は、兄にもっと接しておけばよかったと思う。もし兄が逆の立場だったらそうしていただろうから。

後悔先に立たず。
繰り返さないかは本人次第。

後悔は悲しい気持ちを増幅させるので、読後は赤川次郎のほうがいいと思ったけど、客観的に、自分が家族を持ちその家族と幸せかという観点で見ると、千映のほうが幸せかもしれない。とも思う。

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