人々の心を満たす最後の一滴は「URL」じゃなくて「IRL」なのかもしれない
私はひとりにならないと文章が書けない。
夫は音楽を聴きながら器用に仕事をこなすけれど、私の場合はいつも無音。たとえ見ていなくてもテレビが点いていると気になる。心の内側に耳を澄まさなければ言葉が出てこない。
9月はほとんど書けなかった。いや、書かなかったというほうが正しい。
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2人の親友が遊びに来ていた。アメリカで出会った同年代の日本人女性で、5年ほど前に本帰国して以降、忙しい仕事をやりくりして定期的に訪れてくれる。
先月前半は長男の学校環境に変化があり、ストレスを抱えた彼は家で暴風雨のように荒れ狂っていた。受け止める私も母親としてかなりギリギリの精神状態だった。
見かねた夫が「友達と泊まってきたら?」と提案してくれた。
母親になって初の単独外泊。親友たちは日本から遠隔でホテルを予約して、「私たちが払うよ、今日はゆっくりしてね」と言ってくれた。ありがたすぎて涙が出た。
朝から遊んで、翌日の午前中まで。飽きることなく、3人でたくさん喋った。食べて喋って、飲んで喋って、泊まって喋った。
自分がどんどん自分に戻っていく。ふと「私、寂しかったのかもしれないなぁ」と思った。
いま住んでいる場所にも、友達はいる。でもその多くは母親としてのつながりで、話題はもっぱら子どもの話だ。また、当然使う言葉は英語だったりもする。内面をさらけ出すには心もとない言語能力。
日常の多くの時間は、夫や子どもたちといることで過ぎていく。とても賑やか。そういう「寂しい」じゃない。
女性として、人間として、心の内を話す機会に飢えていた。こうやって文章を書くことに、私はそれを埋める役割を持たせている。
親友たちがいる間はひとりにならないでいいと思えた。
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ここ近年、私が住むサンフランシスコやシリコンバレーでは「IRL」を重視する傾向にあるという。
IRLとは「In Real Life」の頭文字をとった略語で「現実の世界(リアル)」のこと。
Apple、Google、Intel、Facebook、Twitter、Netflixなど、このエリアで生まれた世界的なIT企業は、言わずもがなバーチャルコミュニケーションの牽引役として名高い。にも関わらず、社内では顔を突き合わせた「1 on 1 ミーティング」を強化する会社が増えているらしいのだ。
また、最近サンフランシスコにオープンした「Re:Store」というお店は「話題のD2Cブランドを購入できる」キュレーションストアとして人気を集めている。
(※D2Cブランド…「Direct to Consumer」メーカーから消費者に直接販売する形態のこと)
以前はブランドといえば「店舗→オンライン」というショップ展開が主流だったけれど、最近ではオンライン発ブランドが当たり前になった。オンラインで人気となった商品が店舗に集められる時代。
なんだろう、書いていてもちょっと混乱する。一周まわったような感覚。
商品との触れ合いを大切にする場所が、やっぱり求められている。バーチャル(URL)からリアル(IRL)へ。
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ここ数日、タイムラインがnote酒場の話題で賑わっていた。
バーチャルで交流を深めてきた者たちがリアルな場で会う。これを書いている最中、ヤマシタ マサトシさんのnoteにも「リアル」という文言が使われているのを拝見した。
後ろ姿や遠巻きの写真が多いのに、参加者の満ち足りた表情が伝わってくるようだ。レポートは愛や感謝に溢れていた。読んでいるこちらまでじんとするほどに。
バーチャル(URL)からリアル(IRL)へ。
Twitterやnoteでお互いの文章を読んで、コメントやDMで交流を深めて…そんな触れ合いも、相手を知りえるには充分で、心の隙間に漂う孤独を癒してくれるだろう。
それでも、直接会ってハグする温かさには、きっと敵わないんだ。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。これからも仲良くしてもらえると嬉しいです。