アメリカで育つ息子の語彙がふしぎでかわいい
我が家の息子たちは、日本人夫婦のもとアメリカで生まれた。現在5歳、3歳。アクティブとエモーショナルが大爆発中のお年頃。
自分が育った場所とまるで違う教育状況に、日々戸惑ったりすっぽかしたりの連続なのだけど、この環境が当たり前な彼らは何の疑問も持たずスクスク育っている。ありがたい。
もちろん課題はたくさんある。海外で暮らす日本人の子どもに、どうしてもついてまわるのが言語の問題だ。アメリカで生まれ育てば勝手にバイリンガルになるわけではなく、親子双方にかなりの努力を必要とされる。大変すぎて途中で諦めてしまう人も多いらしい。
うちの場合、息子たちは二人とも1〜2歳ぐらいから日中は英語環境にいて、家では日本語のみを使っている。
現状、英語は年齢相応に話せるけど、日本語はまだまだ心許ない、という感じ。触れる時間が圧倒的に少ないからだろう。よく二言語が混ざった言葉=ルー大柴語になる。
もしかしたら将来的には心配要因になるのかもだけど、この語彙たちが何ともふしぎでかわいくて。期間限定のお喋りを、今はただ愛でようと思う。長男5歳の記録。後から無責任に懐かしがるため、ここに切り取っておきたい。
いっこデイ
以前起こった出来事を話すときに使う。「ある日」のこと。「いっこデイ、みんなでオーシャンいったね」とかそんな用法。one day→いっこデイに変換されたんだろうか。経緯は謎。もう半年ぐらい言っている。
もういっこデイ
上記の流れで、そのまま別の日の話をするときに言う。いっこデイ、もういっこデイ。自分の知っている言葉の中で色々と考えて使ってるんだな、と思うと、自然と目を細めてしまう。
サムシングエルスたべたい
何かを食べてまだお腹が空いている状態。聞くたびにSomething ELse「ラストチャンス」が頭の中に流れる。これぞまさにGive me a chance。アンダー30歳の方には何のこっちゃわからないかもしれない。
ワンモアねたら
なぜか「明日」も「Tomorrow」も一向に覚えてくれず、翌日の話をしたい場合はいつもこれ。一つの夜を越えたら的な。ちなみに明後日だとツーモアになる。
ぼくのルームない
子ども部屋で寝ているにも関わらず「ルームない」と何度も言い張るので「いや、ここが君の部屋だよ!」とジリジリ返していたらルーム=スペースの意だった。つまり狭かったらしい。Roomってそういう使い方もあるのね。最近は息子に単語の意味を教えてもらう機会が増えた。
これはプリテンドでしょ!
Pretend=ふりをする、演じる。ミッキーマウスの真似をしている様子に気付かず、私が華麗にスルーしたら怒られた。こう言われるたびにヒゲダンの「Pretender」が頭の中に流れる。この曲、そういう意味やったんか、切ない…なった。
ちがうピーポー
引っ越したばかりの頃、たまたま朝スクールへ行くときに斜め向かいの方がいらっしゃったので「ごあいさつしてね」と言ったら「でも、ちがうピーポーだよ」と拒否。知らない人、と言いたかったらしい。ちがうピーポーて。
マニマニコイン
お金のこと。moneyだけでもよかろうしcoinだけでもまぁよかろうに、なぜか重ねて畳み掛ける形式。ちなみにマニマニの部分がちょっと早口。
キャンディばれてる〜
キャンディを食べていた次男が口をパカッと開けたときの発言。食べてるでもなく、見えてるでもなく、「ばれてる」をチョイスするセンスに震える。
おひげあるよ、ちいさいドッツ
数日ぶりに髭を剃ったパパが「ひげなくなったでしょ〜」と長男に声かけたら、顔をまじまじと見ながら剃り残しを指摘してた。ドッツて。スティーブ・ジョブズ氏の有名スピーチ「Connecting the dots」思い出す。点と点がつながって髭になるわけですね。わかります。
オンリーいっぱいやりたい
え、ごめんどっち。オンリーそれだけやりたいのか、もしくはいっぱいやりたいのか、いっぱいやりたいことオンリーやりたいのか、混乱。とりあえずやりたい意志だけは強く感じる。
はっくしょんはシルバーだね
うちの長男は時々詩人みたいになるんだけど、くしゃみしている人を見かけて言っていた。彼の手にかかると風邪すら童話の世界になる。
ヒントはホワイトだね
なになに?どういうこと?ホワイトライ(善意の嘘)みたいなこと?このとき特にクイズをしていたわけでもなく、唐突に言い出した。意味を突っ込んだら「ホワイトでしょ!」の一点張りだったので真相掴めず。
シティはレインボーだね
これもどういうこっちゃねんと思っていたけど、街にはいろんな色が使われていてカラフルだと言いたかったらしい。優勝。
雨がウェイクアップした
車に乗っているとき、窓の外を見ながらぽつり。日本語で「あめがおきた」と言ったりもする。それまでは眠っているらしい。降るよりも起きるのほうが正しい気がしてきた。
サンが泣いたらトマトができるんだよ、ムーンが落ちたらブロッコリーになるんだよ
過去最強に尊かった一発。太陽が泣いたらトマトができる絵本、だれか書いてほしい。我々みたいな打算的な大人は、ムーンをバナナもしくはレモンあたりにすると思うのだけど「ブロッコリー?なんで??」と引っかかりを作ることで先を読ませるわけですね。巨匠の技。
いつのまにか2000字を超えていた。
言語は習得過程でどんどん変わっていくし、二ついっぺんなら尚更だろう。だから本当に今だけ。
日本から来たばかりの同世代の子が話す日本語を聞くと、あまりの流暢さにちょっと焦ったりもするのだけど。英語と日本語を同時に覚えているだけでもすごいし、これからゆっくり学んでいければいい。彼らならではのふしぎでかわいい言葉を、まだまだ味わっていたいな。
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