ゴロゴロする犬
顔を近づけると香ばしい匂いがした。柔らかいベッドの上で、クロワッサンのようにクルッと丸まって小さく寝息をたてている犬。その鼻先辺りに顔を近づけると、あられやおかきのようなカリッと香ばしい匂いがする。
よくポップコーンに例えられる肉球のあの匂い、うちのミアちゃんはおかき系の米菓的な匂い。本人の毛皮の色もちょうど良く色づいたおかきっぽい。めっちゃウマソやん。
調べてみるとどうやら人間と同じく、汗や皮膚のバクテリアが放つニオイらしい。そういえば人間の加齢臭もコウバシイ系のものがありますね。
それか!加齢臭?じゃなくて生きている証臭。先週末から暖房がついて夜暖かく寝られるようになったので、ちょっと寝汗をかいちゃったのかも。ニオイがきつくならないうちに犬用のデオドラントシャンプーで洗ってあげた方が良さそうね。
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夏の余韻で十月に入っても暖かい日が続いていたのが急に、この週末から続く長雨で季節のページがパラパラッと一気にめくれて秋が深まりました。お昼ごろはまだ少し青空が見えていたのに、今はまたシトシトと秋の雨が降っています。暖房が効いた薄暗い部屋で、香ばしい足先の匂いを直で嗅ぎながらスヤスヤと安心したように眠る犬。家にいる時は、ほぼ寝ています。
うちには犬用のベッドが二つ、気が向いた時に気が向いた方で寝られるように、玄関とリビングの端に置いてある。玄関はいつも薄暗くて静か。リビングは人間が生活する様子を一望できる部屋の角、騒がしいけど好立地。そんなベッドを行ったり来たりしながら、あっちでゴロゴロこっちでゴロゴロ。あっちのベッドへ向かう途中の絨毯の上でもゴロゴロ、なんかいいものが出てこないかなと待ち受ける冷蔵庫の前でもゴロゴロ。基本どこでもゴロゴロ。二つのベッドを拠点に部屋のあちこちでゴロゴロする犬。それがうちの犬、ミアちゃん。
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昔実家で飼っていた犬は一人で庭を駆け回ってアクティブに行動していたから、てっきり犬は普段から駆け回って遊んでいるんだと思っていた。庭のない狭いアパートだから走り回らないのか?ほぼゴロゴロしているか寝ているだけのうちの犬。こんなんでいいのか?犬として。
そんなことを想いながらnoteのおススメに上がってきた記事を見ると、まさしく!!ゴロゴロ犬の実態にクローズアップされた漫画が載っていて、めっちゃワロタわ。うちの犬も猫化してる!そうそう!
犬も環境に合わせて変化しているってこと、そういうことね。そういえば、実家の犬は毎日散歩に出ていなかった。思いついた時に思いついた人が連れて出る。それでも適度に広い庭があったから用事や運動はそこで出来ていたし、家の中では常に家族の誰かがちょっかいを出して遊んでいた。犬一に対する人間の数が多かった。
今は犬一に対して人間一か二。だから雨でも嵐でも、毎日朝晩二回、必ず外に出る。毎日必ず一時間以上は散歩する。広い庭はないけど、街のあちこちを散策して、ニオイを嗅ぎまわって、草を食べて、犬友と遊んで、日向ぼっこして、たまには人間の買い物にも付き合って、バスに乗ったりトラムに乗ったりもして、海や山で遊んだり、公園のベンチで休んだり、一時間くらいの散歩の間にギュッといっぱい色んなことをする。それで満足してるから家では何もしないのか?
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そんなゴロゴロ犬でも夕飯前の三十分ほどは、家の中でボール投げしたり引っ張り合いをして遊ぶ、遊びたい、遊ぼうよ!アクティブな犬の本能が目覚める時間。キラキラした丸い目でバッチシガッツリうったえてくる。遊ぼうよ、って。
そして、ご飯の後はまたゴロゴロ。実は飼い主の私もおうちではゴロゴロする派。夕食後のくつろぎの時間は犬と二人でテレビを観ながらゴロゴロ。だけど二人でゴロゴロしてじゃれていると、いつの間にか遊びに発展したりして。寝る前なのに舌をデローンと目一杯に出して、息が上がって目がギラギラとアクティブモードになってしまうことがあるので要注意。夜はエキサイトさせないように要注意。夜は是非、猫化したゴロゴロ犬のままでいてちょーだい。
犬にもそれぞれ性格があるから、元々飼い主と同類のゴロゴロ系女子だったのか、それとも飼い主を見て育ったからそうなったのか?はたまた最近流行りの草食系?犬だからなのか?定かではありません。でも、私にとってミアちゃんは良い相棒であり、ゴロゴロ仲間。足先からほんのり漂うおかきの匂いも大好きよ。
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