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ふるさとには帰れないけど心の拠り所

日本の中心と言われる東京で働かせてもらって、都内に通勤する人たちのベッドタウン的な位置づけの街に住んで、それなりに首都圏での生活を謳歌しているのは事実だけど、私は自分が地方出身で良かったなって思っている。

田舎あるあるネタも十分にわかるくらいの地域で育って、電車は2両編成で通勤・通学時間でも30分に1本あれば多いほうで、今どきの自動改札も無いのに無人駅で。バスなんて電車以上に走ってないから自転車で40分くらいは平気で移動するような中学・高校時代で、帰りにマックに寄って〜なんて青春の1ページ描写があるドラマや漫画を見ながら、そもそもファストフード店がそう都合よく帰路にねえ!って言いたくなったりして。

そんな環境から5分も待てば次の電車にのれる山手線を使うようになったのです。いや、すごい差。

18歳で関東に出てきて、初めて、「へ〜電車って8両でも短いんだあ」って知ったわけなんです。ちょうど大人への切り替え地点であるハタチ前後にこんな環境の変化があって、、、
とか言って話を進めようとしたけど、よく考えたら別に18のときに住んでいたのは都内ってわけでもなく関東圏(お隣は東京だけど)の私鉄が通る街です。ええ、学生でしたので学校近くに住んでいましたよ。最近、その私鉄がJRにも繋がって、いわゆるイメージする”都内の駅”に一本でいけるようになっており、それはそれで時の流れを感じるのです。
とまあ、そこまで都心に染まった生活はしていないわけなんですが、まあ、それは本題に関係ない。

で、まあ、卒業後は無事に就職をし、これまで一都三県圏内で働き、生きてきたわけです。
学生時代も然りですが、故郷がここではないというのはある種、心の逃げどころがあるようには思うのです。「まあ、ここ、出てきた先の場所で自分の家ってあっちにあるし〜」、という感覚がどこかあるのだ。だからこそ、ここでがむしゃらに頑張れる(失敗しても帰れる場所があるから)といえばそうだ。

だけど、これは感覚的な問題で、実際は帰れない。

別に物理的にはまだ実家はあるし、両親は健在なので家もしばらくはあの場所にある。地方といっても仕事が何もないほどではないので、向こうでの就職も(私自身のスキルとか経験の問題はあれど)可能なはずだ。
だけど、精神的な意味合いで、こっちで私が築いてきたコミュニティ以上に向こうには向こうのコミュニティができあがっているのだ。出てきてしまった人と残った人と、相容れないってほどではないけど、残った人には残った人なりのコミュニティがもう出来上がっていて、今更そこには入れないのが地方だと思っている。
別にいじめにあっていた、友人たちと仲が悪い、最大の喧嘩をしたままで絶交状態・・・というような場合以外でも、本当に。

逆に、全然、縁もゆかりもない土地に行くほうが気が楽である。一から自分をつくれるから。自分をというか、人との関係性を。

いや、しんどい。
別にあの頃の友人たちの中でも連絡をとっている人は何人もいるし、会いたいし、会ったら心から楽しく話すんだけど。

そうだけど、連絡をとっている中で地元にいる友人は、正確には地元のコミュニティには属していない。例えば、18で地元を出て、戻ってきたのが20代後半で…とか。その空白の10年って、意外と大事で。みんなが、結婚して子供産んでをやっている時期で。なんだろう、きっと人が大きく変化する時期なんですよね。だから、小学〜中学校のときの地元の仲の関係性からママ友とかそういう関係性に発展するときにいなかったってのは、そもそもママになっていないのもあるけど、距離感がつかみにくいというか、今更その仲良しグループに足をつっこみにくいわけで。

ただ、私は自分が地方出身で良かったなって思っている。単にやっぱりネタにもなるし、心の拠り所になるから。

甲子園や高校サッカーなんかはやっぱり地元の高校を応援したくなるし、地元出身のスポーツ選手や芸能人がいると若干贔屓目にみてしまう自分がいるのが分かる。同郷ってだけで仲間って感覚は都内から物理的距離があればあるほど感じる気がする。

今自分がいるこの場所とは別のどこかを知っているというのは、ある意味、他の選択肢を知っていることでもあって、やっぱり強いと思うのです。

チャンスに恵まれているかどうかでいけば、圧倒的に都会にいたほうが、とは思う。
思うけど、私自身は生まれながらの環境的な機会以上に自分の意思でどう動くかの意思決定が大事だと思っているので。
あとは世の中の縮図を学べる環境にはいやすいと思う。都心の方が、お金もっていて教育熱心な親は私立に通わせがちで、そうでない家庭が公立に、という風潮はあると思う。

だけど、小学校のときから自分の家庭と同程度の家庭環境しか知らないって逆にどうなんやろ?とは思う。家庭環境的な意味もあるし、世帯収入的な意味もあるし。
なんか、小さい頃から“良い“と言われる学校に通ってたら変な選民意識とか生まれちゃわんのかな、とは心配になる。まあ、私には関係ないけど。

だけど、そんな部分も含めて私は地方出身者でよかったなと思うのです。帰りたいとは全く思えないけど、それでもふるさとがあるのはやっぱり心がどこか強くなる。








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