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「絵本日記」【みんなたいほ】

【みんなたいぽ】

文 マントウ・ザ・ピーポー

絵 荒井 良二

発行所 ミシマ社


パンチのある絵とリズムのいい文体。

だけど「うーん」と唸った絵本。


ぼくは おまわりさんだ。

わるいやつを つかまえて ろうやにいれる。

それが ぼくのしごと。


人をひどい言葉で傷つけた女の子を「たいほ」

人と違う色で悪口を言われて人を殴った男の子を「たいほ」

車で電柱にぶつけた女性を「たいほ」

ビルや家を壊す台風を重力を「たいほ」


ろうやで「はんせい」しなさい


でも、それぞれ無視できない言い分がちゃんとある。


「ことば」はろうやに入っている間も誰かを傷つける。

「いろ」で胸がズキズキ痛む人もいる。

「おと」で驚いてしまう。

人間が風にゴミを投げ込むから。。。


「ことば」も「いろ」もどんどんたいほして

ろうやに放り込むおまわりさん。


ろうやの中はたくさんの色や音。

人や言葉であふれていた。

少しせまかったけど、

おたがいがおたがいの近くで

今までしたことないくらいの声を聞いた。


そして溶けていきひとつの球体になる。


おまわりさんは正しい。

でも、正しいだけじゃ人の心には響かない。

人は考えない。


おまわりさんは何者?

何?


孤独や差別。貧困。

心が貧しくなると自分のことしか考えなくなっちゃう。


まだまだ「解」がわからず模索中。