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【本と食べものと私】おいしくてハマる!青いバナナの揚げ物 ー なかなか暮れない夏の夕暮れ 江國香織著 ー

本の中で、登場人物が本を読んでいる。よくあることだ。
でも、その、本の中の本、の文章がそっくりそのまま、書かれていることはめずらしい。

登場人物といっしょに、私もその本を読む。
知らない街へ行く、大切な人を探す、殺人に遭遇して顔面蒼白になる。
緑の濃い南国、カリブ海の島、つぶして揚げられるプランテイン。

その登場人物(稔、という名の主人公)は「プランテインをいうものを、どうしてもたべてみたく」なって、作り始める。

おお。私といっしょだ。

本に出てくる食べ物が食べたくなって、作る。
もちろん買ってくればいいんだけど、こういう外国の、よく分からない食べ物ほど好奇心にかられ、心惹かれ食べてみたくなるから、売ってないことも多い。

私もこのプランテインを揚げたもの、を作りたくなった。
プランテインというのは青い調理用バナナのことで、日本ではあまり売られていない。稔はネットで調べて業者を見つけ出し、でも個人には売ってくれないというのでデパートで注文して手に入れていた。

私は稔みたいなセレブじゃないので「デパートで注文」をするのはちょっと気が引けるし、それにもともとヘンな(と友人たちに言われるような。「またそんなよく分からないもの食べて!」)食材を探すのは大好き。
エスニック系のスパイスやらアジアの食材やらを求めて、都内のみならずときには横浜あたりまでよくうろつきまわっている。
どっかにあるだろう、と目星をつけた場所を何か所か探してみて、ちゃんと見つけた。東京ってなんでもある。ふふふ。

そして作ってみた青いバナナの揚げ物。
結果、すごくおいしい。初めての味、食感。さっくりほんわり。
フライドポテトを、もっと軽く香ばしくしたような。

初めて作ったとき、バナナは5~6本あったと思う。
それを、2本分だけ揚げて残りはまた後日、と思ってたのにすぐにまた揚げて、その日のうちに全部食べてしまった。
ほんとうにおいしいので、お料理が苦じゃないなら、もし調理用バナナを見つけたら、ぜひ作ってみてほしい。

私は都内をあちこちチェックしてみた結果、調理用バナナはプランテインより「サババナナ」という品種のほうが、売っているお店が多かった。
こっちなら、輸入食材系のお店でなくても、普通のチェーン展開しているようなスーパーでもたまに置いてある、けど常にあるわけではなく、ちょっと仕入れてみた、ような感じで置かれていた(つまり次に行くとない)のを何回か見かけた。

大久保やアメ横の、ちょっとめずらしい海外の野菜を置いてるようなお店ならわりと高い確率で買える(でも必ずあるわけではない)。
プランテインを買えるお店は今のところ2か所しか見つけられてない。

サババナナのほうで、プランテインに遜色なくおいしくできた。むしろプランテインより軽くできた(バナナの状態、熟し具合にもよると思うけど)。

見つけたら、黄色くなっていない、緑のものを選ぶこと。
バナナなので黄色く熟しているほうがおいしそうに思うけど違って、この揚げ物にする場合は緑のほうがおいしかった。
黄色くなるとねっとり感がでてきて、さっくり軽く揚がらない。

さて調理法は、ネットで検索してとにかくバナナの揚げ物をいくつか見てみて、あとは私の想像でやってみた。小説にはレシピは書かれていないから。
この本の中でこの料理にチャレンジしている稔も「どのくらい一致しているのかわからなかった」と書かれている。笑。

なので、きっと稔とも違っている私のレシピを簡単に書くと、以下。
バナナを剥いて、2.5センチくらいの輪切りにする。
こんがりきつね色になるまで揚げて、いったん取り出す。
コップの裏などをつかって軽く押しつぶす。
もう一度揚げて、出来上がり。

こんがりいい感じに揚がれば大丈夫。
つぶすときは、あくまでも軽く。ぺっちゃんこにはしないように。
この揚げたてアツアツに、塩をふったり、ビネガーをつけたり。
チリソースをつけて食べるのも気に入ってる。
インドネシアの「サンバル」とか、ベトナムの「サテトム」とか。
サクサク軽くて香ばしくて、あるだけ食べてしまう危険な食べ物。

お店でも食べてみたいと思って検索したけど、こちらは未だに見つけられていない。どこかの国の料理、聞いたこともなかった料理、それはさすがにないだろう、と思ってもちゃんと探し出せるのが東京なんだけど(そして私はそんなことばかりしてる人間です)。
まあこれからも、ゆっくり探そう。いつかどこかで出会えるのを楽しみに。

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