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青春のトリガーは、狭い空間と制汗スプレーと大声

「ヤバい、マジウケんるだけどこの顔!」
「もうちょい全体的に下がろうでー」

「字が上手い人が書いてやー」
「8人だから...1人4枚ね!」

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あぁ、
この感じ、懐かしい。


先日電車に乗る前に
改札口付近にプリクラ機が多数並ぶスペースの前を通った。

いつもはただ機械が置いてあるだけ。
オープンが11時らしく、わたしが通る時間帯はだいたい人がいない。


しかし、その日通ったのは17時ごろ。
人だかりができていた。

制服を着ている子。
部活のお揃いジャージの子。
カップルもちらほら。



そんな光景を横目に、私は前クールで放送していたドラマのワンシーンをふと思い出した。



『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』の中で
「青春ってなんですか?」
という生徒から(高校生)の質問に対し、
先生が回答が印象的だった。


「わかりません。
けど、なんでもない話してたことを振り返って、
あぁ、青春だなっと感じられることだと思います」

確か、このような言葉をゆっくり言っていた。

これを聞いて、
青春は1つ1つのシーンだと思っていたけど、
振り返って感じることが青春という考えに衝撃だった。


でも、なんとなく感覚的に的を得ているとも感じた。


青春は
記憶を遡って引っ張り出す感覚だった。
頭がくるくるとシーンを探している感じ。

けど、
「青春」って言葉はなんとなくわかるけど、
(甘酸っぱいとか、よくわからないけど元気とか)
自分なりに言語化したことなかった。


「青春は振り返って感じる」

この言葉を知ってから、
青春は記憶そのものではなく、
トリガー的な何かがきっかけで思い出すものかな?と、ふっと思った。


とはいえ、ドラマを観た後は、
なんの要素が青春を振り返るきっかけになるかまでは分からなかった。

しかし、はっきりしたのが冒頭の出来事だ。





プリクラの機械がかたまっている狭い空間から、
制汗スプレーの香り。

「怖いものなんてなにもない!」という勢いのあっけらかんとした大声。

一瞬通っただけで、
「これだ!」っと、ヒリヒリと肌で感じた。

3つの要素が重なった瞬間、
青春がズラズラと湧き出くる。

一気に、青春に浸れた。


🎾  🎾  🎾

高校の頃、6畳ほどの部室に10人ほどの部員。

毎日朝練と夜練が終わったあと、
色んな香りと色んな「シュー!」の音が混じり合い...


「めっちゃしんどかったー!」
「授業中寝てしまうわ」
「先輩、お疲れさまです!!」
「ラケット片付けます!!!」
「先輩より先にボール片付けるの基本だよね!?」

などなど。

大声で話していた日々をしっかり思い出した。
なんなら何で怒られたかも思い出した。

20年以上前の貴重な経験や体験だけでなく、

日常の生活や会話とか、
朝練のあと昼ごはんまで待てない切なさとか、
先輩が怖くて目が合わせられないとか、


鮮明に思い出して......


ちょっと笑ってしまった。


記憶を一生懸命記憶を辿らなくても、
トリガー的なものが重なれば青春を体感できたのだ..。



どうやらやっと青春を言語化できそう。


もし誰かに「青春ってなんですか?」って聞かれたら、



「狭い空間と制汗スプレーと大声が重なる瞬間です。」

こう言おう。


説得力もなければ意味さえも不明だけど、
この3つにより、わたしは青春だなっと感じる。



プリクラ機の前でたむろする若さ溢れる高校生たち、
気づかせてくれてありがとう。


感謝しつつ、ニヤニヤしながら帰路についた。

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