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「コトラーのH2Hマーケティング」書評

今回は『コトラーのH2Hマーケティング 「人間中心マーケティング」の理論と実践』について紹介します。

本書の大まかな内容は以下の通りになります。

※Amazonより引用

(本文より)
H2Hマーケティングは、人間と、人間が抱える問題(H2Hの課題)の解決を中心に据え、現在欠けている信用、誠実さ、高潔さ、共感、脆弱性、建設的な対話、サステナビリティ等の問題に取り組んでいく。
マーケティングの人間的な側面を再活性化させ、パーパスと情熱を持つ事業を成功させ、世界をよりよくしていこう!

<目次>
第1章 マーケティングの現状
第2章 新たなマーケティング・パラダイム――H2Hマーケティング
第3章 H2Hマインドセット――H2Hマーケティングの基盤
第4章 H2Hマネジメント――信用とブランドを重視する
第5章 H2Hプロセス――オペレーティブ・マーケティングを再考する
第6章 この難しい世界の中で

この本を読むべき人

結論、全員に対してオススメです

◯元々マーケティングに詳しい人
・既にマーケティングの知識がある人にもオススメ
・コトラーの考えがこれまでと比べ、どのように変化しているのかを知ることができる

◯マーケティング初心者
・初心者にこそ読むべき
・マーケティングの知識を体系的に学べる
・マーケティング技術の推移と歴史を学べる

それでは早速解説していきます。

H2Hって何?

H2Hとは「Human to Human」の略であり、日本語では「Human to Human Marketing」を「人間中心マーケティング」と訳されます。

この類の話を聞くと、人間 VS 機械(AI)という内容なのかな・・・
と思うかもしれませんが、実際はタイトルから受けるイメージとは異なり、現在のマーケティングに必要な、新しく盛り込むべきものは何か
という内容になっています。

具体的には
デザイン&サービス思考・サービスドミナントロジック・デジタライゼーション
これらをどのようにして実務に落とし込んでいくかが解説されています。

日本語バージョンの解説が面白い

日本語訳版が出るにあたって、監訳・解説をしている鳥山先生の解説ページが面白いと個人的に思いました。

各章の後ろに数ページついていて、「その章で書かれていることを日本の状況に置き換るとどうなるか」ということや「もう少し深堀りして欲しい部分」などが書かれています。

翻訳された本ってなかなか読みにくいな・・・
と思っている人も多いとは思いますが、それをカバーする鳥山先生の解説でした

中でも、1章の解説ではわかり易い内容で、まず最初にここを読んでから本書全体を読むと理解しやすくなるかと思います。

H2Hマーケティングが重視されるようになった背景

・営業やデジタル広告がしつこすぎる
・消費者を騙すような表示をしている製品・サービスがある
・ぼったくりの値段で製品を買わされたことがある

皆さんも一度は体験したり、感じたことがありますよね。

「なぜ非倫理的なマーケティングがはびこるのか」
「なぜサスティナブルではない企業活動になってしまうのか」

これらの問題は従来までの企業のビジネスモデルに原因があります。

これまでのマーケティングでは短期の売上とコストだけを追求したことで、消費者が長期的に得られる「真の価値」や製品・サービスを生み出すために環境や従業員にかけている多大な負荷についてあまり考慮されてこなかったことが原因です。

短期的な視点からの最適化が繰り返された結果、非倫理的なマーケティングがはびこるようになってしまったのです。

このような背景から近年、H2Hマーケティング(人間中心マーケティング)が求められるようになりました。

なぜ企業のマーケティングは、これまでとこれからで変わる必要があるのかということを詳しく記載されています。



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