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第7回カレリア語【ヴィエナ方言】 独学記録 - 動詞のタイプとタイプ①の現在形

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カレリア語のうち、本カレリア方言-ヴィエナ方言を学ぶページです。
方言分類に関してはこちらの記事をご参照ください。
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動詞のタイプと現在形

カレリア語の動詞は主語によって活用し、語の最後に主語を表す人称語尾をつけます。各人称代名詞に対応する人称語尾は以下のとおり。

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※-u/y(3人称単数)、-mma/mmä(1人称複数)、-tta/ttä(2人称複数)の使い分けは、【第5回 母音調和】で確認してください。

さて、人称語尾はいったいどんな形につければ良いのかと言うと、辞書の見出し語である不定詞ではなく、語幹と呼ばれる形に語尾をつけます。
この語幹の作り方によって、動詞をタイプ分けすることができます。

カレリア語には①~⑥のタイプあります。整理すると以下のような感じ。

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タイプ分けは大体においてフィンランド語と同じですが、フィンランド語よりも不定詞の語尾のバリエーションが豊富です。

さて今回は、そのうちのタイプ①の動詞について学んでいきます。

タイプ①の動詞

タイプ①の動詞とは、不定詞の最後が -ua/yä, -uo/yö, -ie で終わっている動詞を指します。

語幹の作り方(3人称複数形以外の語幹)

1)動詞の最後が -ua/yä, -uo:
不定詞の最後から2つ目にある母音を取ると語幹になります。

-ua/yä: elyä > elä- (住む)
-uo: šanuo > šano- (言う)

2)動詞の最後が-yö, -ie, -kie:
不定詞の最後の母音を取ると語幹になります。

-yö: kyšyö > kyšy- (尋ねる)
-ie: tanššie > tanšši-(踊る)
-kie: leikkie > leikki-/leiki- (遊ぶ)*

動詞leikkie(遊ぶ)では、不定詞の最後から -e をとったleikki-という形のほかにもう一つ、語幹に含まれる子音 -kk- が -k- になった形の2つの語幹をもちます。
これは語幹中の子音に k, p, t が含まれる場合に引き起こされる子音階程交替という現象ですが、子音階程交替についてはまた改めて別の回に学びましょう。

3人称複数形の語幹

基本的には上述した語幹に-ta/täをつけると、3人称複数用の語幹になります。

-uo/yö: šanuo > šano- > šanota- (言う)
-uo/yö: kyšyö > kyšy- > kyšytä- (尋ねる)
-ie: tanššie > tanšši- > tanššita- (踊る)

子音階程交替が発生する動詞では、変化が生じた後の語幹を用います。
-kie: leikkie > leikki-/leiki- > leikitä- (遊ぶ)

ただし -ua/yäで終わる動詞では、語幹最後の母音-u/y が -e になります

-ua/yä: elyä > elä- > eletä- (住む)

タイプ①の動詞の人称変化

語幹ができたら、基本的には主語に合わせて人称語尾をつけるだけです。

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子音階程交替が発生する語では、人称代名詞に応じて語幹を使い分ける必要がありますが、それは別の説明時に。

例文

Miššä hiän eläy?  彼はどこに住んでいますか?
- Hiän eläy Karjalašša. - 彼はカレリアに住んでいます。
Matti šanou: "Mie olen Matti". マッティは「私はマッティです」と言う。
Hyö kyšytäh: "Miššä hiän eläy?". 彼らは「彼はどこに住んでいますか?」と尋ねる。
Anni tanššiu huonehešša. アンニは部屋で踊っている。
Kišša leikkiy pihalla. 猫は庭で遊んでいる。
Mie pakajan karjalakši. 私はカレリア語を話します。
Pakajatko šie karjalakši? あなたはカレリア語を話しますか?

応用

Mie olen Hanako.
Mie elän Japanissa.
Mie pakajan japanikši, šuomekši, englanniksi, vähän venäjäkši.
Mie šanon: "Kajralan kieli on vaikie.

[日本語訳]
私はハナコです。
私は日本に住んでいます。
私は日本語、フィンランド語、英語とロシア語を少し話します。
私は「カレリア語は難しい」と言います。

学習後のつぶやき

うーん、難しい。
手元の文法書にはあまり詳しい説明はないので、変化の法則を自分で探っていかなくてはなりません。フィンランド語が分かる分理解しやすいのですが、カレリア語は母音の変化が本当に複雑で、教科書に載っている例を見るだけではイマイチ確信をもてず。上記の説明も今の段階で私なりに見出した説明ですが、続けていくうちに表現を変えることになるかもしれません。
子音階程交替も出てきてしまいましたね(名詞の交替から先に説明したかったのですが)。次回の学習項目をどうしようか悩む。

>> カレリア語【ヴィエナ方言】 独学記録 - もくじ

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