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World lullabies-Karelian lullaby カレリアの子守歌

World lullabies - Karelian lullaby
Колыбельные мира- Карельская колыбельная
世界の子守歌 - カレリアの子守歌

世界各地の子守唄を紹介するロシアのアニメーションプロジェクトWorld lullabies (Колыбельные мира) より、カレリアの子守唄。
音楽にもアニメーションにも伝統楽器ヨウヒッコ(Jouhikko)が起用されています。

歌われているのは、ラドガ湖周域に伝わる子守歌「T'uudi lasta nukkumahe(ねんね 良い子よ お眠りなさい )」。少し不安定な音の動きと揺らぎが印象的な曲です。

この伝承的な子守歌は、フィンランド人民俗学者/民俗音楽学者 A.O.ヴァイサネン(A.O. Väisänen;1890-1969)、カンテレ奏者I.ミシュッカ(I. Mishukka;1861–1919)によって採取・記録されています。

I.ミシュッカは当然カンテレで弾いていたことでしょうし、ヴァイサネンの残した楽譜集「カンテレ&ヨウヒッコ楽曲集」でも、この曲はカンテレ楽曲の項目に収録されています。が、ヨウヒッコでもよく演奏されているようで、特にロシア・カレリア側では幾人かの演奏家やアンサンブルによる演奏音源が残っています。たしかにこの不思議で独特な旋律は、カンテレよりもヨウヒッコによく合いますね。

歌詞

T'uudi lasta nukkumahe

T'uudi lasta nukkumahe, t'uudi lasta nukkumaa!
Lapsi hangih, toine sängih,
Kolmas on kalan kuduu!
Oudotju hangih, Fedottu sängih,
Kaizan on kalan kuduu!
Tule uni uksen tuakse, tule uni uksen tuakse,
Käy unone kätkyvää,
Pienen lapsen pieluksii(n) on, pienen lapsen pieluksii(n) on,
Suuren lapsen suuruksii!
[T'uudi] lasta nukkumahe, t'uudi lasta nukkumaa!

Magua kuin marjat kypsenööbe,
kuni marjat kypsenööbe,
siit vai nouzet noppomaa!

T'uudi lasta tuomarikse, t'uudi lasta tuomarikse,
kiiku kirjan kandaja(ks),
Suudijikse, riädijikse, suudijikse, riädijikse,
muakunnan kurittaji(ks),
muakunnan kurittajakse, muakunnan kurittajakse,
kiiku kirjan kandaja(ks)!

[日本語訳 by kieli]

ねんね 良い子よ お眠りなさい

ねんね 良い子よ お眠りなさい, ねんね 良い子よ お眠りよ.
この子の時は雪の上に, ふたり目の時は刈穂の根元に,
三人目の時は魚の卵の上に.
Oudotjuは雪の上に, Fedottuは刈穂の根元に,
Kaizaは魚の卵の上に.
夢よ来い 戸口の向こうに, 夢よ来い 戸口の向こうに,
夢よ行けよ 眠り子の元に,
小さな子どもの まくら元へ, 小さな子どもの まくら元へ.
大きな子どもの その身丈へ.
ねんね 良い子よ お眠りなさい, ねんね 良い子よ お眠りよ.

お眠りなさい 野苺が実るように,
野苺が熟し育つように,
そうして早く, 大きくおなりなさい.

ねんね 良い子よ おなりなさい 法の番人に, ねんね 良い子よ 法の番人に,
おなりなさい 書を著す者に,
物事を判ずる者に, 秩序を重んじる者に,
われらが故郷の鑑に, われらが故郷の鑑に,
おなりなさい 書を著す者に.

単語

hanki/hangi [名] 積雪,雪の吹き溜まり
sänki/sängi [名] 刈り取った穀物の根元の部分
kutu/kudu [名] 魚や蛙の卵
uksi [名] ドア, 戸口
Oudotju [固名] 女性名
Fedottu [固名] 男性名(?)
Kaiza [固名] 女性名
tuakse [後] 背後に、反対側に
uni,unone(n) [名] 夢
kätkyvä = kätkyslapsi ? [名] 眠り子/ kätkyt [名] 揺りかご
pielus [名] まくら
suuruus [名] 大きさ、サイズ
maata/magoa [動] 眠る
marja [名] ベリー
kypsetä [動] 熟す、実る、成熟する
noussa [動] 成長する、大きくなる
nopata [動] 速く~する、急いで~する
tuomari [名] 裁判官、審判
kiikkuo [動] 揺れる, 揺れ動く
kantaja/kandaja [名] もたらすもの
suutija/suudija [名] 裁判官、判事
riädijä [名] 秩序を重んじる人、治める人
kurittaja [名] しつけをする人

ラドガ湖周域に伝わる歌、つまりフィンランド語におけるカレリア方言の中でも南東方言で歌われた歌になるようです(カレリア語の方言分布に関してはコチラの記事をご参照ください)。
フィンランド語の方言、という位置づけなので割と訳しやすいと思いきや…なかなか大変でした。とくに後半は自信なし。それでも、アニメーションのイラストが歌詞を概ね反映した内容だと言うことは理解できます。よく出来てるなぁ。ちなみにこの辺りの方言は、北部エストニア方言にも近いようです。

楽譜

楽譜を作成しましたので、ご興味ある方は歌って&演奏してみてください。私も近々、カンテレで演奏してみよう。

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演奏動画

その他の奏者による演奏動画。

Song & Jouhikko : Leo Sevets

Song & Jouhikko, kantele : Pekko Käppi


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