紫式部よりも風雅な魅力で心を奪う和泉式部をmiletで妄想する。
NHK大河ドラマを観るのはこれまでなかったのですが、『光る君へ』は見切ることなく、むしろ毎週楽しみしているわたしがいるとは、思いも寄りませんでした。
中盤に差し掛かり、ようやく和泉式部が登場しました。
なんといっても、和泉式部も平安後宮を象徴する人物の一人です。
4月頃に公開されたキャスト(人物相関図)では和泉式部がなく、残念に感じていました。でも、やはり出ますよね。
いずみつながりの 泉 里香さんが演じています。
泉 里香さん、清楚さと妖艶さの両義的な美しさを持つ方ですが、
わたしの和泉式部像とはちょっと違います。
冥きより 冥き途にぞ 入りぬべき はるかに照らせ 山の端の月
平安期の女流歌人は、現代でいうシンガー・ソングライター、と勝手に解釈しています。
シンガー・ソングライターで、ビジュアルも売りにしている方って、モテます。
街を歩けば声掛けされて、人生のあらゆる交差点でモテてしまい、魅力が溢れ出して止まらない方が歌うから、わたしたちは聴いてしまうんです。
わたしたちが歌を聴く時、必ずしも歌唱力だけで歌を聴きません。声や歌詞、メロディーといった表に現れる印象だけではなく、無意識に響く存在感を、わたしたちは感じながら歌を聴いています。
歌にはモテが必要なのです。
ということで、わたしの和泉式部のイメージはmiletさん。
「冥きより〜」の和歌を十二単衣で詠っても、 miletさんオリジナルに聞こえてしまいそう。miletさんに和泉式部を演じてもらいたかった。
和泉式部に関する書籍
伝記(フィクション)
歴史フィクションです。和泉式部日記が半端な箇所で終わっている訳は、何故か。没年不詳である和泉式部のその死に何が起こったのか。歴史小説というよりもミステリー小説。はじめて諸田玲子さんの作品を読みました。ストーリーテリングのあまりの巧妙さ、緊張感ある展開に圧倒され、息を呑むほかありませんでした。
伝記(評論・エッセイ)
寺田透さんによる『和泉式部』は古典研究者や知識人の中でも広く読まれていました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/寺田透
歌人でもあり、古典の評論家でもある馬場あき子の評論『和泉式部』。学術的とまではいかないが、やや専門的。和歌の現代語訳ありません。『和泉式部』だけでなく、『式子内親王』、エッセイ『日本女歌伝』を収録。
歌集
和泉式部は、『和泉式部集』『和泉式部続集』あわせると膨大な1549首(重複あり)もの和歌を和泉式部は残しました。
『和泉式部』(コレクション日本歌人選6)高木和子,笠間書院,2011
50首が、和歌と注とを、和泉式部の来歴とともに収められています。笠間書院 コレクション日本歌人選には『紫式部』『清少納言』『小野小町』などもあります(現在60巻)。
『和泉式部集』『和泉式部続集』をさらに詳しく読むときに心強い書籍があります。
決定版は「奇蹟の全注釈」であるこちら。現代における古典解釈の真髄が凝縮された知の宝庫です。
日本の古典〈11〉和泉式部,西行,定家,河出書房新社,1972
『和泉式部集』『和泉式部続集』『和泉式部日記』からの秀歌集です。古典文学を知り尽くした小説家、評論家である竹西寛子さんが現代語訳しています。この本には、ほかに以下も収められています。
西行『山家集』(訳 宮柊二)
藤原俊成『長秋詠藻』(訳 大岡信)
『式子内親王集』『建礼門院左京大夫集』(訳 辻邦生)
『後鳥羽院口伝』、鴨長明『無名抄』ほか(訳 久保田淳)
解説 佐佐木幸綱
ほかに拾遺愚草/金槐和歌集/小倉百人一首
コミック
『和泉式部日記』 はコミック化されており、2作品あります。いずれも出版年が古く、漫画の表現技法がやや古典? マンガの面白さを求めるには、ちょっと厳しい。でも、和泉式部日記の内容を把握するには十分です。わたしは平凡社のコミックをおすすめします。
その他
大江健三郎の短編『もうひとり和泉式部が生れた日』があります。
こちらの収録されています。
ごめんなさい。全集にしか収録されておらず、未読。
和泉式部といえば、娘 小式部内侍の『大江山~』
『光る君へ』で小式部内侍もぜひ登場してほしいです。誰が演じるのでしょうね。
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