『虞美人草』は...漱石を退屈だと思った人にとくにおすすめ、らしい。
『こころ』や『坊っちゃん』にいい印象を持っていない。読まされた感が強すぎる。
読書というとき、文学寄りな人はともかくとして、一般人は夏目漱石や太宰治を除外しているように思える。わたしは少なくとも、夏目漱石や太宰治を成人後、ほとんど手に取っていない。
積読リストの優先順位は、かなり下位だった。
でも、江國さんの『物語のなかとそと』を読んでから、「つぎは夏目漱石作品をいくつか読む」と決めていた。
そして『虞美人草』。
嘘。
『彼岸過迄』をすでに挫折しています。
前期三部作 『三四郎』『それから』『門』
後期三部作 『彼岸過迄』『行人』『こころ』
『行人』を読みたかったし、まずは後期一作目をと、だったけれど。
『彼岸過迄』の前半は辛抱の部分だと、くわしい友人が教えてくれました。そこを読み越すと、作品の良さが開けてくるらしい。
またの機会に挑戦しよう。
そして、夏目漱石『虞美人草』へ。
まとまった時間をとれず、読み終えるのに一ヶ月もかかってしまった。
長い小説はどうしても紙の本じゃないと読めません。
を使いました。『虞美人草』は『草枕』のように漢語的描写が多くでてきます。たとえば、つぎはヒロインの一人である藤尾さんの初登場場面での描写。
この箇所は、岩波文庫版の解説(桶谷秀昭さん)にも取り上げられています。
このような修辞が出てくるため、語注が必要になるのだけれど、岩波文庫 夏目漱石『虞美人草』では多すぎず、少なすぎず、のピックアップでした。終盤での或る事柄は、注釈を読んで、その暗喩的な意味に気づきました。この部分は物語の締めくくりに至る転機であり、気づかせてくれた岩波文庫 語注に感謝です。勘のいい人はわかるのでしょうね。
もちろん、『虞美人草』はこのような文章ばかりではありません。けっして、文章の美しさだけの作品ではありません。
上述のように、描写は漢語的であり、絵画的でありながら、その文章には伏線が含まれており、しっかり回収もなされます。
この『虞美人草』は、夏目漱石にとっては職業作家一作目にあたります。たしかにここまで書けてしまう人であれば、一般的な職業で生きていくには精神的苦悩を抱えてしまうでしょう。
作家一筋で生きていく決心をして、水を得た魚のような、溌剌とした雰囲気が作品に漂っています。
さて、最近の読み方は、慣れるまで音声で耳に入れています。
※『彼岸過迄』の良い朗読が見つからなかった影響が大きいかもしれない。
『源氏物語』で利用していたのは、Audible.jpにある「瀬戸内寂聴・現代語訳」のオーディオドラマ。それはこちらに書いたとおり。
そのあと、谷崎潤一郎に進み、朗読YouTuberの"シャボン 朗読横丁"さん。
おかげで、主な長編作品を読み終えました。
読み終えてから、何かのキッカケでYouTubeで検索してみれば、『虞美人草』がありました。
夏目漱石『虞美人草』第四部(2023/06/22時点 未アップロード)
第四部で終わりかな?
この部構成は、シャボン 朗読横丁さんの分け方で、作品はこのように分かれていません。
これから『虞美人草』に挑もうとするなら、シャボン 朗読横丁さんの美声な朗読は物語に彩りを加えてくれるでしょう。通勤・通学など移動中に聴きながら、物語に浸ることができて、挫折防止にもなりますよ。
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