見出し画像

11月の読書:気の向くままに読んだ9冊

11月に読んだ本たちの記録。今回は⑦以外すべて紙の書籍、実用書(手芸、料理の本)などは含んでいません。

①江國香織『号泣する準備はできていた』

一見すいすいと日常を泳ぎ渡りながら、その水面下でもがく人たちの短編集と受け取った。当たり前のように生きていて、その実何かを抱えているのは誰もが同じなのだけれど、登場人物たちの屈折ぶりは自分にはあまり共感できなかった。それより何より、解説の江國さんの小説に関わる文章がすごく気に入っている。どなたが書かれたものかどうしても思い出せず、調べて追記します。

②川上未映子『おめかしの引力』

溢れるような感性に触れたくて、4年半ぶりに再読。初めて読んだ当時、おめかしが好きで好きで仕方がない様子にとても惹かれたのを覚えているのだけれど、歳月のいたずらかあまり響かなかった。繰り返される「30半ば」の年齢が遠くない未来になってきているからかもしれない。ファストファッションは着られなくなり、いいものを選ばざるを得なくなるよね、やっぱり...とスンとした気持ちになった。

③ジェレミー・マーサー『シェイクスピア&カンパニーの優しき日々』

パリにある風変わりな書店にまつわる回顧録。「ニューヨーク公共図書館」の映画を観たときにも感じたけれど、書店や図書館など、本を扱う施設が救済措置のような位置づけになっているのは海外の共通認識なのだろうか。心の拠り所として以上に、実際の市民生活をも救っている取り組みで誇らしい気持ちになる。

④西出ひろ子『さりげないのに品がある気くばり美人のきほん』

マナーはあくまで基本であり、気配りとはその上に成り立つ心遣いのことなのだと実感させられる。相手の状況や気持ちを思いやることが第一だと考えさせられた。

⑤恩田陸『七月に流れる花/八月は冷たい城』

恩田陸さん、学園ものの金字塔!!!『三月は深き紅の淵を』シリーズが大好きだったので久々に読む。めずらしく恐怖と生々しい印象が強く、電車の中で背筋が凍る思いをした。閉鎖空間における少年どうし・少女どうしの微妙な心の機微を書かせたらやっぱりぴかいち。

⑥金原ひとみ『パリの砂漠、東京の蜃気楼』

本が好きで穏やかな暮らしをしていて、という作家さんとは一線を画するひりひりしたエッセイ。退廃と常にまとわりつくような不安定さ、自分とはまったく異なる生活環境に目が覚める思いで読んだ。恋愛は生活であり、男がいなきゃダメだという「当たり前」にすごく新鮮な気持ちで接している。生活ぶりは違うけれど江國香織さんもこのタイプなのだよな...。

⑦姫野カオルコ『彼女は頭が悪いから』

今年不愉快だったものランキングぶっちぎりの1位を更新してしまった。東大生による強制わいせつ事件を元にした小説。ここまで「あたまのわるい」学生がいるか??と思う、理解しがたい。思惑が蔓延るような大学の新歓や飲み会はただでさえ大嫌いで、そこを思いきり刺された感じ。ほかの大学でもあった事件かと思うのだけど、「東大生」というアイコンを悪い意味で背負ってしまった現実の学生たちも気の毒。

⑧加藤ゑみ子『無駄なく、豊かに、美しく生きる30のこと』

「無駄」と連呼して断罪する様子があまり好きではなかった。とはいえ加藤ゑみ子さんの著作はいくつか読んでいて、「美しいかどうか」の判断基準をいつも参考にしている。今回はなかなか強めの排他が感じられるので、参考にしつつよりおおらかに美しさを楽しめたらいいと思う。

⑨村上春樹『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』

ウィスキーをめぐるアイルランド旅行記。村上春樹のパロディかと思うようなど真ん中のタイトルにひっくり返ってしまった。写真がふんだんに盛り込まれていて見ているだけで楽しい。アイルランドにこんなに羊がいるとは知らなかった!ザ・村上春樹の文章が好きな人なら必ず気に入るはず。

その他、お弁当の本や刺し子の本をたくさん図書館で借りた1ヶ月。あと9冊で読書メーターの登録が700冊(!)になるので、ちょっと意識しようかな。。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?