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読書の秋  『ボンボン』石ノ森章太郎

一雨ごとに深まる秋と申しますが、近年の例年のようにその深い秋を一足で飛び越してしまい、初冬を思わせる大阪の一日でございました。

さて、読書の秋、、
とは言うものの最近はとんと固い本からは遠ざかり、ひたすらkindleで青空文庫を散策したり、今まで何度も見た人様の弁当、料理の写真集をながめてニヤニヤしながら夜を過ごしています。

さてさて、探し物のついでに出てきた私が半世紀も前に齧りついていた昭和の漫画です。

石ノ森章太郎 がまだ石森章太郎と名乗っていた頃です。
代表されるサイボーグ009、仮面ライダー、などの他にこんなほのぼのする漫画も描いていました。

『ボンボン』、極めて登場人物の少ないギャグマンガです。
目にする人によったら、何が面白いんだと思うような漫画かも知れません。
突如、空き地に現れた超能力を持つボンボン一家と両親のいない富豪の息子ゴン太との交流がその内容です。

石ノ森の描く最先端のSF漫画よりもこのノスタルジーあふれるSFチックな漫画が私は好きでした。
この身体の大きな、目が33のTシャツからいつもへそをはみ出しているボンボンは山下清をイメージして石ノ森はこの作品の中で世に送り出したと、成人してから漫画の書評で知りました。

石ノ森の目にはその当時ではまだ未来であったにもかかわらず、すでに現在に向かって現代人から欠けていく何かが見えていたのかも知れません。
そんな意味では時代を先取りした作品といえるのかも知れません。

石ノ森本人も主人公のボンボンとゴン太のドタバタで勉強疲れ、仕事疲れの脳みそに休息を与え、新しいエネルギーが蓄えられれば…。
と後書きしています。

今読んでも新鮮です。
ホッと出来る作品です。
やはり、石ノ森章太郎はただのSF漫画家ではなかったのです。

こんな漫画が昭和のこの頃にはたくさんあったような気がしてなりません。
でも、私だけがそう思っていたのかも知れません。
とにかく変な子どもでしたから。


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