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いま、学生の貴女(あなた)へ

現代女性は「生き方のモデル」がいない世代といわれています。
時代の変化にともなって、娘と母と祖母世代ではそれぞれがまったく異なるライフコースを生きていること、だからこそ自分がどのような人生を歩いて行きたいのかあらかじめ考えておくことがとても大切なことを、前回前々回の記事でお伝えしてきました。

【関連記事/第13回】

知らないことは選択できない

ここで、ひとりの女子学生のエピソードを紹介します。

〈Aさん〉
大学4年生。続発性無月経(それまであった月経が3ヵ月以上こない状態)で婦人科を受診。ピルの内服によって月経を定期的に起こしている。

Aさんは「いずれは結婚も出産もしたい」と考えている女子大学生でした。しかし、ずっと月経が不安定で、大学入学後は4ヵ月半も来ないことも。自分のカラダに不安を感じ、かかりつけの婦人科で詳しく検査をしてもらうことにしました。

血液検査の結果、年齢の割に卵子の数(AMH)がかなり少ないことが判明。

「この状態で、パートナーとの自然な出会いを待って結婚と妊娠を期待しても、子どもを授かる可能性は低いかもしれない。今から出会いを意識しながら早めの結婚を考え、私のからだや子どもを持ちたい希望を理解してくれるパートナー選びを積極的にするべきなのでは…?」

そう考えて行動に移したAさんは、この数年後に結婚し、妊娠・出産を叶えることができました。

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月経周期が不定期、気がついたら3ヵ月以上月経が来ていない。……同じような症状の方は、とくに10代、20代では少なくないでしょう。「煩わしい生理が毎月来ないからラッキー」と思っている方もいるかもしれません。

けれど、こちらの記事でもお伝えしているように、3ヵ月以上月経異常が続くのは婦人科受診のサイン。無月経の状態を6ヵ月以上放置すると、回復が難しくなるといわれています。

無月経のなかには甲状腺や卵巣、下垂体などの病気が隠れていることもあります。また、病気ではなくとも、女性ホルモンの分泌がうながされないことによって骨がもろくなって骨折しやすくなったり、子宮が小さくなって妊娠しにくくなることもあるんです。

Aさんは、不安をうやむやにせずに婦人科を受診したからこそ、その受診が検査につながり、自身のからだの特徴を知ることができました。

そう、知っていれば戦略がたてられるんです。

一方で、知らないことは選択できません
もし、Aさんが無月経を軽く見て受診しないままでいたら、結婚してから不妊に悩み、「あのときちゃんと受診していたら…」と後悔していたかもしれません。

自分のからだと向き合い、自分のからだの特徴を知ることはそのくらい大切なこと。Aさんのケースは決して他人ごとではないと思います。

「自分を知る」ことは社会人になるための第一歩

これから社会に出てはたらく女子学生のみなさんに、知ってほしいことはほかにもたくさんあります。

ライフプランニングを考える重要性は前回の記事でも触れましたが、ライフプランを立てるためには、「私はどんな人生を歩きたいのか?」をそもそも知っておく必要があります。

親の世代とは、社会の仕組みも常識も大きく変わりました。
かつてのように「出産後は仕事を辞める女性が多いから、私も…」と、何となく将来を考えていると、結婚も出産もタイミングを逃してしまうかもしれません。その影響でキャリアも中途半端になってしまう恐れもあります。

もちろん、人生は思い通りに進むことばかりではありませんが、ライフプランを思い描き、そのために必要な知識や手段を用意している人は、夢や目標を叶えやすい傾向にあると思います。

いま現在、そしてこれから就職活動に臨む方は、最低限次のような項目については考えてみていただきたいと思います。

【関連記事/第14回】

社会に出る前に女子学生に考えてほしいこと

【1】どんな職種ではたらきたいのか

現代の職業生活は、男女問わず長いです。
いま30、40代の人たちでさえ70歳定年が現実味を帯びています。これから社会に出るみなさんの時代は、男女問わず“すべての人がはたらくことを前提とした世の中”になると考えた方がいいと思います。
具体的な職種選びについては、各大学の就活センターなどを活用されていると思いますので、ここでは割愛します。

【2】どんな地域で暮らし、はたらきたいのか

多様なキャリアが選択できる都市部や、生まれ故郷の周辺から離れたくないという人もいるでしょう。いまは、ご自身が望まないのならパートナーの転勤へ帯同しなくてもいいでしょうし、リモートでどこででもはたらける時代になったからこそ、暮らしたい場所やワークスタイルについては多くの情報を集めて検討した方がいいと思います。

【3】結婚するのかしないのか

するのであれば、いつ頃、どんな人と?
【2】と連動して考えれば、パートナーに求める条件も自然に決まってくるかもしれません。もちろん「しない」という選択も尊重されるべきです。

【4】子どもを持ちたいのか持たないのか

もし「子どもを持ちたい」と考えるのであれば、
① いつ、何人、どのくらいの間隔で持ちたいのか?
② 育児期間はどんなワークスタイルを望むのか?
③ 育児期間が終了したらどんなキャリアを望のむか?

……といったことも考えてみてください。

もちろん「子どもを持たない」という選択も尊重されるべきですが、からだに関する知識(ヘルスリテラシー)が不足していたために、気づいたら子どもを授かるタイミングを逸していた…とならないようにしたいものです。

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会社選びの視点に加えたい「はたらき続けやすさ」

みなさんは、くるみんマーク、プラチナくるみんマークをご存じですか?

これは、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣から認定された証として使えるマークで、2019年10月末時点でくるみんマークは約3200社、プラチナくるみんマークは約330社が認定されています。

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結婚しても子どもを産んでも、はたらき続けることが女性の当たり前となった昨今、「子どもが生まれてもずっとはたらき続けたい!」と考えているのなら、イメージや人気度だけで企業選びをおこなうのではなく、子育て支援など制度面にもぜひ着目してほしいと思います。

「くるみんマーク」認定には、残業時間が一定の枠内に収まっていることや女性の育休取得率が75%以上など、高水準の取り組みをおこなっていることが条件。ほかにも、認定企業の取り組みはじつにさまざまです。

【くるみんマーク認定の取り組み事例】
*育児のためのフレックスタイム制を延長する
*育児サービス利用時に企業が費用を一部負担する
*子どもの看護のための有休取得制度を導入
*男性の育児休業取得を推進する

「プラチナくるみんマーク」の認定条件には、男性の育休取得率13%などくるみんマークよりもさらに高水準の条件が盛り込まれています。

「仕事と家庭、どちらを選ぶの?」
そんな問いを女性だけに投げかける時代ではすでにありません。どちらも選びたいのなら、どちらかをあきらめる必要もありません。
ただ、やはり仕事と家庭の両立は大変な側面もありますので、はたらきやすい環境が整っている企業をしっかりと見極めることが大切です。

終わりに

十数年前から看護大学で教員をしている私は、教え子の学生が全員看護職として病院に就職する環境で仕事をしています。
そのため、やや的外れな部分もあるかもしれませんが、教員である以前に助産師として、また女性の生涯にわたる健康の支援をおこなっている者として、今回の内容は、これから社会に出てはたらく女子学生のみなさんにぜひ知っておいていただきたいと考え、筆を執ることにしました。

子どもを産む・産まないを含め、貴女がどのようなライフプランを描き、実際にどのような人生を送るのかは、ご自身が自らの意思で決定するべきです。
ただ、思い描いた夢や目標を実現するためにも、ぜひ正しい知識を取り入れることを、常に意識してください。
もちろん私も可能な限り、正しい知識を提供し続けていきたいと思います。

■ 文/西岡 笑子(にしおか・えみこ)
防衛医科大学校 医学教育部 看護学科母性看護学講座教授。順天堂大学医学部非常勤講師。順天堂大学医学部助教、神戸大学保健学研究科准教授を経て現職。母性看護学・助産学とウィメンズヘルスが専門分野。2児の母でもある。mezame女性研修の監修を行う。

(構成/阿部志穂)


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