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Breakfastのジレンマ

Breakfastのfastは「速い」ではなく断食を意味するというのはよく知られた雑学かと思います。最近はファスティングなどというものも流行っており、fast=断食も以前と比べて比較的受け容れられやすくなっているように感じます。
稀に単語の覚え方について聞かれることがあるのですが、そういったときには語源的なつながりを意識すると覚えやすいというアドバイスをします。Breakfastの語源は知名度が高いこともありよく引用するのですが、これには致命的な欠点があり最近はむしろ避けるようになってしまいました。

Break + Fastは分かりやすすぎる

主な理由は2つありますが、1つ目は比較的新しい語であるために現在も英語にそもままの形で残っている2つの単語の合成であることが挙げられます。多くの語は語幹に面影が残っているくらいなので、初めにbreakfastを紹介してしまうと他の単語が分かりづらすぎて効果的な覚え方ではないなと思われてしまうことが多く感じます。

Lunch、Dinnerの語源は?

語源から単語を覚えるということを薦めるときにbreakfastを最初に紹介してはいけない、breakfastの致命的な欠点がこれです。朝食については分かったとなれば、当然昼食や夕食についても知りたくなるのが人間というものでしょう。
Dinnerは13世紀のフランス語で、1日で最初に食べるしっかりとした食事という意味のdisnerに由来するそうで。つまり元々は朝食のことでした。このdisnerという語はdis-と-nerに分けられるのですが、dis-は否定を表す接頭辞ですね。それでは-nerはどこから来ているのかというと、ラテン語のieiunareもしくはjejunareに由来するそうで、その意味は「断食」です。つまり、dinnerの語源はその元々の意味だけでなく成り立ちもbreakfastと同じだったのです。この語がなんやかんやあって段々と食べる時間が遅くなり最終的には夕食になってしまったというのが経緯で、全く納得感がありません。先にあったこのdinnerが遅い時間にずれ込んだので、新しく断食を止める食事が必要になって作られたのがbreakfastという語です。
Lunchについては更に曖昧です。LunchはLuncheonがいつの間にか短縮されたものですが、その語源ははっきりとせず、nunchoenに由来するのではないかと言われています。nunchoenはnoonを意味するnunと、drinkを意味するschenchの合わさった語で、昼の飲食を表していたとされます。この語はbreakfastとdinnerの間である、お昼ごろに食べる食事ということでこのようになりました

程よい納得感

結局のところbreakfast自体の納得感が高すぎるのと、lunch及びdinnerの納得感が低すぎるために語源から単語を覚えることの良い例にはならないように思うのですが、それでは良い例とは逆に何なのでしょうか?程よい納得感のある例を探し求めて、今日もまた調べものをする日々です。

参考

Online Etymology Dictionary, "lunch (n.)"
https://www.etymonline.com/word/lunch#etymonline_v_14616
Online Etymology Dictionary, "dinner (n.)"
https://www.etymonline.com/word/dinner#etymonline_v_8599

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