マインドセットの認識と救済 ⑶
前回の記事【マインドセットの認識と救済 ⑵ 】では、自分が休職に至った原因(うつ病を引き起こした原因を含める)のうち《住環境の変化》について振り返りをした。
残る2つのカテゴリ《仕事》《以前の罹患とその経過》のうち、今回は《仕事》について見ていこうと思う。
仕事がメンタルにもたらした影響
まず《仕事》とひと口に言っても内容は多岐にわたる。
何にストレスを感じていたのか。
何にコンプレックスを抱き、悩んでいたのか。
仕事とプライベートのバランスは適正だったか。
複数の依存先(コミュニティ)を持てていたか。
人間関係は良好だったか。
ざっと、いくつかの中カテゴリに分類できる。
まずはこの中カテゴリにそれぞれ焦点をあて、紐解いていこうと思う。
職場環境のストレス
休職に至った理由の《仕事》部門で、かなりの比重を占めている項目。
わたしは事務職で、1日のほとんどを事務所内で過ごす。
時間にして7.5時間。入社して8年半、ほぼ同じ事務所で働き続けてきた。
部署内の異動があって、別の事務所で執務したこともあったが、結局また同じところに戻った。
8年半ずっと苦痛だったわけではなく、徐々にストレスを感じる量が増え、限界に達したというのが近い。
では、具体的にどんなところがストレスだったのか。
常に騒がしい
常に人の出入り、往来がある
電話・インターホンの音、対応の度に作業が中断する
室温が高すぎる/低すぎる
喫煙者の臭いがきつい
所属部署の人数が少ない
このような項目になる。
ここからさらに細かくストレスを洗い出してみよう。
《常に騒がしい》
最後の「所属部署の人数が少ない」と矛盾しているように見えるが、これは事務所内に2つの部署が共存しているため。
わたしの部署は6名。
それに対し、もう一方は60名ほど。
この大差は、他部署が複数の班で構成される交代制の勤務体制をとっているためだ。
1日の出勤人数でいうと40名程度になる。
以下、自分の所属部署をA、もう一方をBとする。
Aは最年少が20代後半、ほかは30代〜50代で構成されている。男女比は4:2。
Bは毎年新卒が配属され、最年少は22歳前後。
上は50代までいるが、20代・30代が多くを占める。
ここ数年、女性社員が増えてきているものの、男女比は8:2といったところ。
圧倒的に男性が多い職場だ。
それだけの人数がいると、職場は常に騒がしい。
とはいえ、業務中の会話は必要だし、そこはお互い様だ。
問題なのは、仕事にまったく無関係な雑談、その場に適さない声量で会話する人間が実に多いこと。
ソシャゲの攻略、ギャンブルの話題、ネットサーフィンをしながらお喋り。
中には平気で下ネタを持ち出したり、鼻歌を歌う輩もいる。
会社ではなく、まるで学校の休み時間なのだ。
8年前に入社した時「なんだか学校みたいだな」という印象だった。
当初それは悪い意味ではなかった。
気軽に部署間のコミュニケーションが取れ、差し障りのない適度なゆるさと緊張感がある環境は、社会復帰したての自分にとって随分とハードルを低くしてくれていた。
だけど数年のうちに、肌に合わなくなってきた。そして不快になった。
はじめは、たまたまその年の新メンバーがハズレたのだと思っていた。
でも、翌年も翌々年も、事務所の空気は悪くなる一方だった。
一つには、自分自身が年齢を重ね、いわゆるジェネレーションギャップが年々開いていったことが要因にあると思う。
ただ、若いからと拒絶していたわけではない。ひと回り以上離れていても仕事を通じて交友を深めた人はいた。
その人も含め、不快なグループを毛嫌いしたり必要以上に群れないタイプの子もいたが、みんな3年以内に辞めていった。
もう一つの要因は、上の世代の指導力がないことだ。
B部署の管理職や各班のリーダーたちは、学生気分の彼らに何も指導しない。同じ空間にいながら、見えていないかのように自分の仕事ばかりする姿は異様だ。
学生気分のまま社歴を重ねたのか、中には若手とつるむ者もいる。嫌われたくないのか、若手に媚びている者も。
若手もまた、指導力のない上を見て育つ。業務や技術以外の、職業人として育てられる機会をろくに得ないまま社歴を重ねていく。
自律性・自制性のある人財の芽は、早い段階で違和感を覚えて去ってしまう。
こうして見ると、単純にこのB部署から離れるのが一番の解決策のように思える。
業務上、連携を取ることが多い関係にあるが、同じ空間にいなくとも成立するのだ。
しかし、いかんせん社内でA部署の立場が弱い。
独立できる話もコロナ禍以前にはあったが、諸々の事情から立ち消えてしまった。
《常に人の出入り、往来がある》
A部署、B部署ともに、とある施設のメンテナンスや管理をしている。
どちらかというと現場色の強い職場だ。だからある程度は仕方ないと思う。
とはいえ、人が通話している真横で立ち話をしたり、後ろを通るときに椅子を蹴られたり、仕事道具を大きな音をたてて机に放り投げたり、がさつな人が多くて参る。
気にならない人はまったく気にならないのだろう。
これにはHSPの気質が大きく影響していると感じる。
《電話・インターホンの音、対応の度に作業が中断する》
現場色の強い事務所には来客が多い。
施設のオーナー会社やグループ会社、入っているテナントなどから電話もかかってくる。
わたしはA部署への入電を捌きながら、来所する業者さんや荷物の受付などをしつつ、自分の業務にあたっている。
日や時間帯にもよるが、恒常的に忙しない。
メンバー6名が常に揃うことはなく、3,4名で対応している。ワンオペになることもザラだ。
この仕事をしていてマルチタスクが得意になった。一方で、もっと落ち着いた環境で黙々と作業したい気持ちはずっと強かった。
忙殺されている最中に傍らでスマホゲームに興じる社員(B部署)なんかが目に入ると、腹立たしくなって士気が下がった。
《室温が高すぎる/低すぎる》
冬はのぼせそうな暑さで、卓上扇風機をいつも回していた。
夏は凍えるほど寒く、厚着してブランケットを掛け、USB電源のウォーマーを使っても手指がこわばる。トイレに行くふりをして離席しないと身がもたなかった。
若年性更年期障害というわけではない。
大規模施設ゆえなのか、こまめに室温が変えられないというよく分からない理由だ。
そのくせ現場から戻ってきたB部署の人たちが、ガンガンに冷やしたり暖めたりする。
おかげで自律神経が狂ってしまい、年中頭痛に悩まされている。
《喫煙者の臭いがきつい》
ここ数年、ようやく企業も分煙化の取り組みが進んできた。
つい5年ほど前まで、信じがたいことに事務所の一角に喫煙スペースがあった。
大人が3人も入れば狭苦しい一室に、ひっきりなしに出入りするため扉はあってないようなもの。当時はその部屋のすぐ近くに自席が配置され地獄だった。
事務所の改装とともに撤去され一安心したが、喫煙者人口は変わらない。
同じA部署にも喫煙者が数人いる。
それ自体は構わないが、1人だけ何を吸っているのかひどい臭いをつれて喫煙所から戻る人がいて、また新たな地獄となった。
マスクでも防げず、夏も冬も暑いふりして卓上扇風機を強にしていた。
冷房がきつい日は体調が最悪だった。
《所属部署の人数が少ない》
前述のとおり、A部署は6名しかいない。
課長補佐、主任の2名が正社員。わたしを含め、残りは契約社員だ。
課長、さらに上の人は別の事務所にいる。
施設の特性上、そのように分けられている。Aはいわばサブ事務所のようなところ。
会社の定例イベントと化している組織変更に、A部署は今まで散々揉みくちゃにされてきた。
わたしは入社時、ただのパートだった。
同じようにパートの女性事務員が数人いた。
パートなのに人事異動に巻き込まれた彼女たちは、別のところに飛ばされて、1人はすぐに退職してしまった。
Aに残ったわたしは、数人で捌いていた量を1人でやる羽目になった。
事務員でない社員は先に帰るのに、わたしは残業が当たり前で、繁忙期は終電で帰る日も。
当然、家族には心配された。うつ病が再発するんじゃないか。
それは自分自身も危惧していた。
何度目かの組織変更で、さらに人員が削られて、どう見ても立ち行かなくなった。
わたしは辞める覚悟でいた。
当時の上長に、給料を上げてくれないなら辞めますと契約更新書を突き返した。
今思うとかなり強気だった。
紆余曲折あって、パートから契約社員になった。
人員数は相変わらずだが、徐々にいい人材が揃って業務量が安定してきた。
最良の仕事のパートナーを得たのも、それからしばらく経ってのことだ。
もう一つ、理不尽に思うことがある。
B部署が自分たちの多勢にものを言わせて、A部署に難癖をつけてくることだ。
Aが不在になる時間が多すぎるだの、Aの業務負担でBに支障が出ているだの、色々と言ってくる人がいる。
会社に言え、と思う。
人員数も勤務形態も望んでしているのではない。
業務の負担も電話番程度で、分からなければ翌日に持ち越せばいい。
B部署の暇を持て余している者たちをちゃんと動かせば、そもそも支障など出ないと思うが。
少し脱線したが、そんな小規模部署のため肩身の狭さがネックだ。
肝心の上司は1日の大半離席していて、社内に居るのかすら怪しい時もある。
判断が必要な案件が滞ることも多く、時には自力で解決を余儀なくすることも。
基本的に孤立無援な環境で長年過ごしていたせいで、自己解決力は身についた一方、人に頼ることを極力しなくなった。
頼れる人を探したり、連携に充てる時間すらも惜しく〝自分でやってしまうのが早い〟とワンオペに陥ってしまうのだ。
小回りが効いて良いという利点もある。
しかし、業務が自分ひとりの中で展開・完結してしまうのは、それだけ個々の役割が情報開示されにくいデメリットを孕んでいた。
こうした小規模部署の問題は、別のカテゴリ(自己評価と人事考課のストレス)につながっていく起点とも言える。
まとめ
今回は《仕事》が自身のメンタルにもたらした影響のうち《職場環境のストレス》について細かく洗い出してみた。
次回以降は、ほかの中カテゴリに同じように焦点をあてていき、ストレスに感じていたことをわかり易く分解していこうと思う。
《仕事》は休職に至った原因の大部分を占める要(かなめ)であると睨んでいる。
かなりのボリュームを予想しているが、根気よく、自分のペースで振り返っていきたい。
記事の公開について
《仕事》について、極力配慮はしているものの、読む人が読めば、わたしという人物像にある程度の目星がついてしまう内容だと危惧している。
しかし、この「マインドセットの認識と救済」で何より大切にしているのは、
このことを念頭において、総ざらいするつもりでアウトプットしている。
Twitterやブログではないnoteという場なのも、似た境遇の人たちのアウトプットを吸収し、創造のヒントにすることで、より良い相互作用や循環が望めると考えているからだ。
今後のアウトプットに支障が出ない限り、記事はパブリックにして誰もが読めるようにしていたい。
仕事にまつわる愚痴や苦言がどうしても多くなるだろう。
しかし、個人・企業を特定できるような書き方は故意にしないつもりだ。
わたしという個人を特定する試みなども、どうか控えていただけるとありがたい。
余計な心配かもしれないが、一応こうして断っておくことにする。
タイトル画像はみんなのフォトギャラリーより。
素敵な作品をいつもありがとうございます。
最後までお読みいただきありがとうございます。すこしでも読者さまのお役に立てば幸いです。 いただいたサポートは、一輪挿しのお花 or 実家のねこ様のおやつに使わせていただきます☺