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フィトンチッドに囲まれながら。

3~9月は、僕にとって特別な季節だ。なぜなら、源流釣りを楽しめるから。ちなみに、渓流ってば日本全国どこの地域でも基本的に、3~9月以外は禁漁期間なんだ。もし釣っちゃうと、罰金をとられるから気をつけて。

家から車で約10分のところに、ヤマメが数多く生息している源流がある。限界集落の奥にある、小さな小さな源流なもんだから、ほかの釣り人が訪れることは滅多にない。貸し切りで釣り放題ってことさ。

段差で白泡をたてながら、さらさらとした優しげな音で水が流れる。冷気をまとった風が、源流沿いを時おり吹き抜ける。両脇に立ち並ぶ木々の葉擦れは、まるで合唱でもしているかのようだ。

上流へ向かって、毛バリをそっと投げ入れる。そしてそのまま、川の流れに任せ、下流へ向かって毛バリを流す。

すると突然、水面を割って勢いよくヤマメが飛び出した。その勢いのまま、毛バリを口にくわえて体を翻し、水中へと戻る。

その瞬間、大きな弧を描くように竿がしなった。ビンビンという魚の引きが手元に伝わる。バラさないよう慎重に竿を操作しながら、ヤマメを手元へ手繰り寄せた。

ほんのりと紅色をした体表には、やや青みがかった楕円形の模様が横一列に並ぶ。さらに、それを上下から挟むようにして、丸い斑点がちりばめられている。

水のせせらぎや葉の揺らめきを感じながら、美しい魚を探し求めて歩き続ける。ああ、源流釣りの醍醐味ってこれだよな。これだからやめらんないよ。

ひとしきり釣りあげたあとは、フィトンチッドで満たされた森の空気を深呼吸。瑞々しさで肺が満ち溢れるのがたまんないね。

ああやばい、こんな記事を書いていたら、釣りしたい欲がふつふつと…。はよ禁漁期間終わらんかな~。

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