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土砂降りの中オルセー美術館へ


チュイルリー庭園

2つで18ユーロのパンを公園のベンチで鳥を眺めながら食べました。

Bassin Octogonalを眺めるベンチにて

パンはあっさり甘めのデニッシュ生地に真赤なラズベリーのジャムの酸味がきいていて、とっても美味しかったです。
結構大きかったけどすぐに全部食べちゃいました。


雨宿りズに

パンを食べてぼーっと鳥を眺めていると雨が降ってきたので、
やや急ぎ足でオルセー美術館へと向かいます。


みんな傘をささずに歩いているので
いけるかなーと思いつつ、木の下を中心に歩いていましたが
砂の地面は濡れて足場は悪いし、雨も徐々に本降りになってきました。


ティラミスの入った紙袋が柔らかくなっていく・・・


さすがに傘無しでは歩けないレベルで降ってきたので橋の下に避難。

ちなみにレオポール・セダール・サンゴール橋という名前の橋です。

雨宿りズ
大雨で対岸のオルセー美術館が白く霞んで見えます

しばらくは散歩中のワンちゃんとその飼い主や
ランニング中のカップルたちと雨宿りをしていましたが
一向に雨が止む気配はありません。

後ろを振り返ると私と同じように傘を持っておらず
屋根を求めてやってきた人たちも増えていました。


スマホで雨雲レーダーを確認すると2時間くらいはやみそうになかったので、
紙袋を雨除けにして走ることに。


オルセー美術館

びしょ濡れになりながらオルセー美術館に到着。
到着すると屋根のない場所に入場のための大行列ができていました。
(必死すぎて写真は撮れていません)


ここまで来たから、と腹を決め
5ユーロ傘売りおじさんをフル無視して
近くにいたスタッフに印刷していたパリミュージアムパスを見せると、
すんなりと行列をスキップして中に入れました。


ミュージアムパス買っておいてよかったー!!


長く先まで続くガラスのアーチ天井


こちら側から見ると、駅の名残をより感じます。


世界に7体存在する、オーギュスト・ロダン『地獄の門』
オルセー美術館にあるこちらが原型です。
精緻に作り込まれたレリーフ
しばらくこの壁面のお花のレリーフを眺めていました。


クーポラから自然光が差し込む
アーチ、ガラス、光
骨格や筋肉のことを分かった上で説得力のある力強さ表現する手がある



オルセー美術館に所蔵されている作品は1848年から1914年に製作された作品です。
従って印象派、ポスト印象派の作品が中心です。
私は絵画の中でも特に、この頃に製作された筆致が目に見える作品が好きです。作者の奥の奥の内面、描いている時の心情が今でも息をしているように感じるからです。未完成で曖昧で、人によっては中途半端に見える方が、生きていると感じます。

好きな作品たち↓

Camille Felix Bellanger 「abel」
主題とは逸れますが心の中の景色
ってこんな感じだよね〜と思いました。
遠くから刺す青の冷たさにザラザラとした
地面、ツルっとした人の肌の質感…
Felix Vallotton 「Woman Arranging her Hair」
光と影かハッキリと色分けされていて、
100年前の絵画とは思えませんでした。
モーリス・ドニ「青いパンツを履いた子供」
照明が!反射している!
手のデッサンの崩れ方と青に不安を感じて好き
Edouard Vuillard「Madame Vuillard Asleep」
昔ほぼ同じ構図で入院しているおばあちゃんを描いたことがあります。色の重ね方もそっくりで驚きました。
色の配置が綺麗


Alexander Alexeyevich Borisov 「Les Glaciers, mer de Kara」
氷と冷たい冬の海の暗さ、美しさを見たことが
ある人にしか出せない空気感だと思いました。
暫く呆然と眺めました。
Cuno Amiet「Schneelandschaft」
これになりたい、ここに埋もれたい
この1部になりたいと思いながら
近付いて見て、溺れた気分になっていました。
Paul Cézanne「La Femme étranglée」
こういう筆致と絵の具が生きている
ドロドロに溶けたような悲劇の絵画大好き
Edouard Vuillard「 La Place Vintimille」
もりもりと絵の具を乗せた空と
溶いてぼかした手前の景色の
絵の具の使い方が好きでした。
ボードリー「マドレーヌ・ブローアン」
表情から滲み出る自信、指の茶目っ気
黒のベロアのドレスに白のレースの軽やかさ
ティソ「夢見る人」
顔が陰りになっている
柔らかいピンクと重い憂鬱
ブーグロー「死の前の平等 」
急いで撮ったので見切れている(泣)
絵の、動いている瞬間の、その一瞬に引き込まれました。


基本的に展示されている絵は写真に撮りたくないので、写真フォルダに残っていた絵画はこれだけですが、何枚もの絵画に、色に、何度も何度も共鳴して、涙が出そうになりました。

アレクサンドル・カバネフ「ヴィーナス」
時計
照明のためのレリーフが四角ってめずらしくないですか?
シャンデリアを中心に花が咲くように彩られるものが多いイメージだったので、
中心が空白で、その周りを額のように囲うのは斬新だなぁと思いました。
ライトも小ぶりで可愛らしいです。



退館後の写真
奥に行列ができています。


朝からパン屋でぼられたり大雨にあったりと不安な気持ちになっていましたが、絵をみているうちに緊張状態がどんどんほぐれていって、心から癒されて退館しました。


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