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お化けキャッチャー

お化けキャッチャーなるものを開発した。
お祓い師として、生計を立てるために、自分が今まで学んできた科学と、お化けを組み合わせることにしたのだ。
お化けは実は構成されている原子があった。
その原子を吸い込む掃除機のようなものを作れば、お化けはお祓いできると考えたわけだ。
実際に使ってみると、効果があったと言ってくれている人が増えた。
今日も一人、客が来た。
「こんばんは。お祓いはここでできるんですか?」
「はい、もちろんです。」
「最近ずっと、肩が重くて。寝苦しいし、なんかついている気がするんです。」
確かにこの人は、何かにつかれているような、ひどくやつれた顔をしていた。
「じゃあ、吸い込んでみますね。」
機械のスイッチをオンにした。
いつも通りに五分だけ吸い込む。
五分くらい吸えば、だいたいのお祓いは完了する。
「おそらく、もう大丈夫だと思いますよ。」
「ありがとうございます。」
しかし、その人は、後日また来た。
「すみません、まだ重くて。」
「じゃあまた吸い込みますね。」
機械をつけた。
今度は、長い時間機会を動かした。
しかし、機械は一向に動作を終えない。
無限に吸い込んでいる。
気が付くと、その人は何か影が薄くなっているような気がした。
その人は泣きながら、ありがとうとつぶやいた。
「この世に未練があるみたいで、なかなかあの世にいけなかったんです。ですがこうして強制的に送ってくれるのはありがたいです。」
この人自身がお化けだったようだ。
私は、お祓いが終わった後、煙草を吸った。

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