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TSMC日本誘致の6つの闇 | かわいそうジャパン

日本政府は、日本の半導体産業の復活を目指し、熊本に半導体世界大手、台湾企業のTSMCを誘致することを決めました。TSMCは熊本の新工場の設立に約1兆円投入すると見られていますが、何とその半分の約5,000億円を日本政府が補助するというのです。

つまり、外資系企業の工場誘致に日本国民の血税が補助金として投入されるのです。そうまでして、TSMCを誘致したわけですが、残念ながら、この誘致はツッコミ所満載で、日本政府のボケ誘致と言えるかもしれません。今日はそんな問題だらけのTSMCの熊本工場についてお話しします。

1.古い技術を全力で誘致(3軍来日)

1980年代、半導体世界シェアを独占していた日本の半導体メーカーは、現在、嘘みたいに凋落してしまい、日本企業の世界シェアは雀の涙状態と化してしまっています。

そんな中、バブルを再び日本へ!という過去の栄光の残像にすがるバブル世代のごとく、日本の日の丸半導体を復興させるぞ!と言わんばかりに、日本政府は世界半導体大手のTSMC様に最先端の工場を日本に作ってもらおうと誘致活動を一生懸命行いました。

そんな日本政府の努力が実り、誘致が決定したTSMCの半導体工場は、熊本県内にソニーグループと共同で建設し、新工場では、画像センサー用半導体や車載用半導体などを生産する予定で、そこで生産するのは、回路線幅が22~28ナノ・メートルのロジック半導体ということです。

28nmロジック半導体とは?

半導体はサイズが小さくなればなるほど、技術的に作ることが難しくなります。現在、日本国内の半導体工場で作れるのは40ナノ・メートルの普及品までなので、今回の熊本工場で生産する半導体は、日本にとっては最新の技術ですが、現在TSMCの最先端半導体は2-3ナノ・メートルのものであり、日本で生産する28ナノ・メートルのロジック半導体の技術はぶっちゃけ10年以上前に開発された古い技術なのです。

日本政府は最先端工場を誘致するつもりが、最末端工場を誘致してしまったのです。

まさに今回の誘致は、サッカーで例えるならば、日本サッカー協会が大金をはたいてブラジル代表を日本に招いたのに、来たのは2軍、いや3軍だったみたいな状況です。

国民の血税を使ったのに、ネイマールは来ないという詐欺的に悲しい状況です。

2.本末転倒なTSMC誘致

今回、熊本工場でTSMCが製造する28ナノ・メートルのロジック半導体は古い技術ですが、汎用性が高く、現在もスマホから車まで多くの電気機器に使用されており、今回のコロナパンデミックで、ネット通販、リモートワーク、オンライン学習、オンラインゲームなどの分野が爆発的に伸びた結果、現在、28ナノ・メートルのロジック半導体が世界的に不足しています。

TSMC側からすると、この古臭い28ナノ・メートルの半導体を作るのに、工場を一から作るのは採算が合いません。そんな時、どこかのおバカな国が、場所も補助金も用意するから3軍でいいので、あなたの3軍工場を引き連れて来てくださいとお願いするのだから、これは美味しい話です。

実際、TSMCの日本での売上は全体の4-5%なので、売り上げの60-70%を占めるアメリカに工場を作るのとはわけが違います。コロナで不足した28ナノ・メートルの半導体は自国で生産するのめんどいし、この製造技術は10年以上前のものなので、最先端プロセス流出に当たらないので、日本にやってもらおうというわけなのです。

TSMC世界シェア

しかも、3年後の2024年に稼働する予定の熊本工場は、28ナノ・メートルの古いタイプの生産ラインを新たに建物から設計するので、他国にある既存の28ナノ・メートルの半導体工場よりも製造コストが高くなり、事業として成り立つのか?という不安要素もあります。

何よりもコロナ下で不足していた半導体が、3年後、熊本工場が稼働する時には、不足どころか飽和状態になっているのではないか?という本末転倒な問題を日本政府は既読スルーしているのです。

3.経済不安全保障政策

日本政府がTSMCの熊本誘致を決めた理由として、技術の獲得はもちろん、経済安全保障を確保するためと説明しています。もちろん、半導体の中国依存度を下げろ!という米国側の要請があったこともあると思います。

半導体の製造には大きく3つのプロセス、設計、前工程、後工程があり、今回、有事の際に、半導体を日本国内だけで生産できるよう、この全ての工程を熊本工場で行うのかと思いきや、なんと、熊本工場で行うのは、前工程のみ。もちろん、前工程が一番難しい技術を必要とするらしいので、それを熊本工場で行うことに意味はあると思いますが...

半導体製造の3工程

蓋を開けてみると、設計を台湾で行い、そして日本で前工程を行い、 また台湾に戻して後工程を行うという、日本国内だけでは完結しない、台湾と日本を行ったり来たりの、中途半端なガバガバの経済安全保障政策となっているのです。

しかも、事実は定かではありませんが、TSMCが裏でチャイナとつながっていると指摘している人もいます。もしそれが本当だとすれば、TSMCを誘致した時点で、それは経済不安全保障政策です。

また、今回TSMCがソニーと提携して熊本に工場を建設しますが、TSMCの狙いが、ソニーのウエハ積層技術であるとの噂もあります。TSMCを誘致した結果として、ソニーの最先端技術を奪われるリスクもあるのです。日本の半導体産業を強靭にするつもりが、さらにいっそう骨抜きにされてしまうかもしれません。

4.外資企業に血税5,000万円投入

今回、TSMCがソニーの工場(熊本県)の隣接地に建設する新工場の投資額は約1兆円で、このうち半分の約5000億円を日本政府が補助金で支援するのですが、日本国民の税金を使って外資企業の補助をするのには、ちょっと疑問を抱いてしまいます。

何よりも熊本工場で生産するのは、旧式と言える28nmの半導体です。今回、TSMCとソニーの合米会社に、さらにデンソーも出資することになりましたが、その出資の比率はTSMC70%、ソニー20%、デンソー10%なので、売上の70%はTSMCの懐に入ってしまうのです。

出資比率

日本のシェアへの寄与度はたったの30パーセントなのです。

熊本工場で製造する半導体は、現在、日本では作れない半導体ですが、半導体業界最先端の技術に比べると、かなり旧式の技術です。TSMCを誘致しても、獲得できる技術は旧式の半導体技術で、しかも売上のほどんとはTSMCの懐行きです。

さらにソニーの最先端技術が逆に持っていかれるリスクもあるのです。これなら、国内の半導体企業に莫大な投資をして、全ての工程を国内で行った方が、よっぽど経済安全保障のためになると思うのですが。

この全てが中途半端で国益になりそうもないTSMCの誘致は、TSMC利権をしゃぶりたい政治家による売国行為であると言えるかもしれません。

5.経産省の日本破滅政策?

半導体企業には、大きく分けて2つの種類の会社があります。1つ目はファブレス半導体企業です。半導体の工場のことをファブ(fab)と呼びますが、ファブがない、工場を持たない半導体メーカーをファブレスと呼びます。

ファブレス

主に設計、開発、マーケティングなどを行います。ファブレス半導体企業は、ベンチャー企業の多いアメリカで発展しています。

そしてもう一つが今回誘致したTSMCのような企業です。ファウンドリは工場を持ち、半導体チップや組み立てを行う半導体メーカーのことで、ファブレスから生産を委託されて、工場で半導体を製造します。ファウンドリは、主に台湾や中国、アジアを中心に発展しています。

ファウンドリ

ファウンドリ半導体企業は、工場設立に莫大な投資資金と技術が必要で、今から日本がこのファウンドリの分野でシェアを拡大するのは、資金的にも技術的にも、トランポリンで月に行くくらいの無理ゲーであると言われています。加えて、今回の熊本工場でTSMCが作るのは10年前の技術の半導体です。

残念ながら、日本はこのファウンドリの分野では、勝ち目はありませんが、実は日本は半導体製造装置や材料の分野では依然として世界シェアが高く、台湾や中国の半導体製造会社は日本の半導体製造装置や材料がなければ半導体を製造できない状況にあります。

半導体製造装置シェア

なので日本政府は、この半導体製造装置や材料の分野にもっと投資して、技術力を高めた方が、グローバルなマーケットで存在力を高めることができるはずです。もしくは、工場の設備投資などが不要なファブレス、いわゆる半導体の設計に力を入れて、人材を育てるべきです。

ファブレス半導体の分野なら、知恵と情報で勝負できるので、まだトランポリンで月に行くよりは、可能性がありそうです。トランポリンで東京タワーの頂上にいくくらいにはなるかと...

今回のTSMCの誘致で、日本の日の丸半導体を凋落させた張本人である経産省が、また日本を凋落させようとしていると言えるでしょう。

6.半導体工場は環境破壊

TSMCの熊本誘致で、メディアが伝えない大きな問題が、環境汚染、公害問題です。半導体の製造工業は、企業による汚染物質の処理に関する真摯な努力がなければ、物凄い猛毒物質や公害物質を垂れ流すことになります。

公害問題

日本の半導体製造工場は、高性能な 毒物除去装置によって、高価ですが費用をかけて環境に優しい工場となっているみたいですが、TSMCは毒物除去作業など公害対策を行っていないという噂があります。

日本のメディアは伝えていませんが、現在、台湾では大気汚染がひどく、特にTSMCの半導体工場周辺では大気汚染がひどく、人工透析と呼ばれる腎臓の機能を人工的に代替する患者の割合が世界一で、

台湾は「透析王国」と言われています。

真実が定かではありませんが、もしこれが半導体工場と関係しているとしたら、今回のTSMC誘致により、熊本の美しい水が犠牲になり、公害被害が出る危険性もあるということです。まぁーもしそのような問題が起こったら、合弁会社で一緒に事業をやるソニーのせいにされることでしょう。

今回のこのTSMC誘致にはメリットもあると思いますが、それよりもデメリットの方が遥かに上回っている気がします。しかしなぜ、経済産業省はこんなにも多くの問題が山積みなのに、TSMCの誘致を決めたのでしょうか?

その答えは簡単です。国益よりも、環境問題よりも、政治家が利権を優先したからです。

記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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