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【ネタバレ祭り】『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』を見た感想

※この記事は公開直後に映画を鑑賞して書き上げたあと、投稿するのを忘れてnoteの下書きに置きっぱなしになっていたものになります。

※本記事には『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』のネタバレを多分に含みます。
映画を見ていない方は絶対に読まないで、先にお近くの劇場に足を運びましょう。













ゲストのロリにモテモテののび太爆ぜろ。


嘘です、真面目に書きます。

 

そもそも「音楽」というのは『映画ドラえもん』で今まで扱っていない題材です。
そのため不安はあったのですが、蓋を開けてみたら杞憂だった、というところでしょうか。

全体を通してドラえもんたちの演奏シーンがとても良いです。
その中でも一番印象に残ったのは河原での演奏会ですね。
みんなノリノリで吹いていて、ドラえもんがどこからともなく連れてきたおもちゃたちも混ざってとても楽しそうに演奏していて、見ているこっちまで楽しくなってくる演奏会という非常にいいシーンでした。

監督はインタビューとかで「みんなで演奏する楽しさを伝えたい」的なことを言っていたと思うのですが、そのメッセージがまさしく表れていると言えるでしょう。

ファーレの殿堂に着いてからの演奏シーンもいいですね。
最初に着いた時に階段や手摺が楽器になっていてそれを演奏することでファーレが色付いていくシーンや、みんなの奏でたファーレで川が復活したり音虫が光ったりするシーンなど、音楽と映像のきれいさを融合させた美しいシーンの連続でした。
ここら辺の演奏シーンを通じて出ていた虹色のエフェクトも華やかで良かったです。

 

あとはオープニングの人類の音楽史を振り返る映像。
古代からの流れが俯瞰出来てとても興味深くかなり見応えがありました。
あそこだけでも教材として使えるんじゃないか?

 


ストーリーにも触れておきますか。

 序盤はのび太のうっかりで世界から音楽が消える、という展開から始まります。
実際に消すことで音楽が果たしている役割、人類に与える影響を効果的に表現していたと思います。

 

それに続く前半は先述の良い演奏シーンを中心にのび太たちがヴィルトゥオーゾとして目覚めていく過程、といった感じですね。
ファーレの殿堂を復活させていく過程で

・楽器の扱い方
・ただ楽しいだけの音楽ではダメなこと
・それぞれがぶつかり合う協調性のない音楽はダメなこと

を段階的に学んでいき、大きな脅威に対抗できるヴィルトゥオーゾとして成長していく、というストーリーは悪くないと思います。

 

また、ドラえもんがノイズに憑りつかれて復活させるシーン、ムシーカの欠けた笛の最後の音が「の」の音だったというシーンから察するに、監督は恐らく「音楽は上手でも下手でも関係ない、いがみ合わずに楽しむことが大事」的なことが伝えたかったのだと想像します。
それもまた音楽がテーマの映画としては良いメッセージでしょう。

 

それで後半はその音楽の力で災厄・ノイズに立ち向かっていくわけですが…。

最終盤、のび太のあらかじめ日記の記述によってドラえもんのポケットから出た道具が色々の偶然を巻き起こし、地球みんなで奏でる音楽―まさしく『地球交響楽』でノイズを撃退する、という展開は非常に面白かったです。

映像としても、ライブから包丁までみんなの音楽が色とりどりのパワーとなってノイズを包み込み倒す、という見応えがあるシーンでした。
なんというか、音楽のパワーを伝えるには良い表現だったのではないかと。

このシーンを見るためだけにある映画といっても過言ではないかもしれません。
そのくらいすごいです。

一瞬だけ『夢をかなえてドラえもん』が流れるのは若干色目を使い過ぎな感じもしますが、まあ普通にいいシーンです。

 

あらかじめ日記の使い方も割と上手いと思いました。
「みんなでおふろにはいった」が重要な役割を果たすのは早々に分かりますが、劇中でさりげなく何回か言われていた「お風呂は音が響くので気持ち良い」と組み合わせるのは中々予想外でした。
こういうのは伏線回収としては上手い部類に入るのではないでしょうか。

 

ゲストキャラクターについて。

とにかくミッカが可愛いです。

歌うシーンが可愛いのは言うまでもないのですが、個人的にお気に入りなのはミッカの地球巡りのシーンですね。ストリートダンサーと交流するシーンとか、一瞬ですがミッカの動きが可愛いので好きです。ずっとちゃん付けしてたのび太が終盤で呼び捨てにするのも可愛いですし、ずっとのび太を「のほほんメガネ」と呼んでいたのに最後の最後で「のび太おにいちゃん」とデレるのも可愛いですね。正直ミッカの可愛さだけでこの映画を見に行く価値があるのでは?と思えてきます。ミッカ可愛いよミッカ。

…あといいキャラしてたのはタキレンですかね。
初っ端からずっと泣いていたり、一人(一体?)だけ和風でなんか浮いていたり、墓守として真実を伝えていたり、活躍が多くてロボットたちの中では一番気に入りました。

 


そういえば音楽がテーマなのに音楽について触れていなかった。

正直に言って今までの映画ドラえもんで音楽を意識的に聞いてきたか?と言われるとそうではないので比較とかはパッと出来ないんですが、それでも気合入ってるな~って感じはヒシヒシと伝わってきました。
音楽に合わせてエフェクトが出るシーンが多いので、少なくとも例年より音楽に意識が向くように作りになっているのは間違いないですかね。
音響に優れた映画館で見るべき映画と言えるでしょう。

 





…とここまでは褒めてきましたが、まあ不満点もある訳で。

 

一番気になったのは展開の雑さですかね。

先ほど良かったシーンとして最終盤を褒めましたが、逆にそこに至るまでの終盤の展開は微妙だと思います。
全体的に唐突というか余計なシーンが多いというか。


その最たるものはムシーカの笛を探しに地球に行くくだりです。

この流れの中にも白鳥の笛にこもった音楽の思い出を見る、など個々で見れば良いシーン(白鳥の笛は前半の伏線回収ですね、そういうのは好きです。)はあるのですが、展開自体は雑です。
特に、笛の思い出の中の曲がミーナに似ている→ミーナなら何か知っているかも、会いに行こう!はちょっと…うーん…

曲が似ているっていうのはまだいいんですけど、そもそもここまでの話にミーナがほぼ全く絡んでこない(スネ夫が話題に出す、TVや街頭ビジョンに映っている程度)ので唐突な印象を受けました。
「いや誰だよ」的な。そもそもミッカが会いに行くシーンまでセリフないし。

いやまあ、タキレンの墓の中心に建てられている女神像がどことなくミーナっぽかったりするので観客からしたら予想の範疇ではあります。
でもそれってミーナを演じているのは芳根京子だし重要キャラっぽいな、とか前情報もあるからじゃないですか。
なんかこう、もう少し劇中でミーナに触れる機会があれば良かったと思いました。

で、手に入れたムシーカの笛がどうなったかというと、欠けていたせいで結局あんまり役に立っていません。
ドラえもんを復活させたのはのび太たちの演奏+ミッカのでしたし、ファーレの殿堂の最終スイッチも「の」の音で起動しました。
そのあとの『地球交響楽』ではミッカはずっと歌っているので影も形もありません。

そんな感じなので、そもそもこのくだり要る?感が否めなかったです。
ミーナというキャラを出すためだったのかもしれませんが、それならそれで事前にもう少しミーナの登場シーンがあった方が違和感ない訳で…。
全体的に中途半端な気がしました。


そして最後の最後で「他にも生きているムシーカ人がいる」。

これは自分には蛇足だと感じられました。
そもそもミッカは幼いながらも自分が最後のムシーカ人だという事を受け入れている訳で、そこを無理矢理とってつけたようなハッピーエンドにする必要性は薄いと思うからです。
あと「ムシーカ人の血が絶えないように生き残りの双子を地球とファーレの殿堂の双方に残した」って中盤で言われているので裏切られた気分になりました。

ただ、これは地球とムシーカの合同演奏『真・地球交響楽』によって、地球だけでなくムシーカもまた救われた、とも取れるので難しいところです。
ミッカも他に仲間がいた方が嬉しいのは間違いないだろうし。

あ、『真・地球交響楽』はあらかじめ日記が起動した後に地球人がみんなで参加して行った『地球交響楽』のことです。私が今勝手に名付けました。

完全に主観ですが、「他にもいた」と明言するのではなく「他にもいるかもしれないことが分かった」くらいの匂わせにとどめておけば丁度良かったのではないでしょうか。

 

ここまで終盤について貶しましたが、じゃあ前半は問題がなかったのかと言えばまあそんなことはなくて、「音楽家ライセンス」が万能すぎる件は気になります。
素人の小学生をヴィルトゥオーゾに仕立て上げる必要があるのである程度は仕方ないんしょうが、それにしてもプロ認定レベルを超えて上手くなるのは強力過ぎやしませんかね。

ただ、ドラえもんから再三練習の重要性が強調されていたりエンドロールで「期限切れ」になっていたり、道具のおかげで演奏が上手くなったわけじゃないよ~~というバランスを取ろうとしている努力は感じられたので、そこは評価したいところです。

 


さて、ここまで色々書きましたが、全体的な感想としては結構面白かった、つまり賛否で言えばです。

確かに色々と雑な点はあるのですが、最終盤の『真・地球交響楽』にはそれを凌駕する迫力・良さを感じました。
あとミッカがめちゃくちゃ可愛いのでずっとストレスなく見ていられます。

監督は「自分たちも演奏してみたいと感じてくれたら嬉しい」みたいなことをパンフレットのインタビューで述べていましたが、そこに関しては大成功していると思います。

音楽は上手でも下手でも関係ない」的なメッセージも感じましたし、それは音楽をテーマとした映画で伝えるにはとても大事なメッセージでしょう。


『新恐竜』みたいに作品の根幹にかかわる致命的な不満点(のび太はそんなこと言わない、それは進化じゃねえなど)がなかったのも大きいです。


『宝島』と『新恐竜』の監督という事で不安もありましたが、存外に良い出来でした。やっぱり悪いのは川〇脚本だったのか…

面白い作品をありがとうございました!

 



来年はなんなんですかね、『夢幻三剣士』リメイクとか?

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