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病に伏す

初めに今現在病床の中、闘病生活をされている方にとって、健常である自分の発言が気に障ることかもしれません。
もし傷つけることがあるとすれば、本意ではないとご理解いただければ幸いです。

先週一週間風邪にかかり、コロナ期の今だからこそ少し心配をしながら日々を過ごした。
身体は痛い、改めて病というのはこんなにも辛いものなのかと心まで痛み、言われぬ不安があった。
それと同時に生きていることを実感する。
身体が懸命に闘っているのを、呼吸、鼻水、咳、痰、熱、嘔吐、関節痛などから察することが出来るからだ。

こういう時いつも思いかえしてしまうことがある。
闘病中の叔母の姿。
ステージ4に限りなく近い状態から入院し、幾度となく抗がん剤、放射線治療など進めていった。
長くて綺麗なパーマのあてた髪。
タバコとシャンプーが混ざりあった香り。
艶のある肌。
その全てが失われていく中で、生きたいと節に願う光景を思い出してしまう。
そう思うと、あの頃の痛みを分け与えてくれているような気になって、少しセンチに入る。

キャンサー(癌)については、叔母の時から知識を持ち、叔母が亡くなった時に癌を発症した奥山貴宏氏の著書に目をとめることとなった。


31歳ガン漂流から33歳ガン漂流LAST EXITまで。
念願の小説、ヴァニシングポイントを最期とする。
彼はライターとして、最後まで闘病記を書き、テレビにも出演し続けた。
彼の書物は等身大で胸を熱くした。

何者でもない自分が80歳まで生きて出版出来る本は1冊あるかないか、命の期限を代償に奥山貴宏を表現する機会を得たと。
自身をオルタナティブと表現し、病に滅入る闘病記より余生を楽しむ闘病記を書いた。
この本は涙を誘うものではなく、なった時をどう楽しく生きるのか考えさせられる本だった。
LAST EXITの中にある実母ではない母の言葉に叔母を重ねた。

2005年に亡くなられた方だが、本を読んでみてほしい。


彼を覚えてる方はいるだろうか。
近親者や影響を受けた僕のような人間だけかもしれない。
日々どこかで誰かが命の期限を迎えている。
覚えていてほしいという方が難しいのかも知れない。

死と向き合うこと、命に期限があることを知ることで人は改めて生を実感し、この世のことや周りのことに感謝をする。
最後のありがとうの言葉に全てが詰まっている気がした。

彼はACIDMANのギターボーカル、大木伸夫の義理の兄だと最近知った。
つくづく、繋がるものだと感心した。

たかが風邪。
でも死といういつかは来る遠い想いに馳せる尊い時間となった。

叔母のことも奥山氏のことも胸に遺して生きたいと思った。

「モノの生命を全うさせる。」
廃棄生花をドライフラワーに、
廃棄衣料をリペアし価値あるものに。
「贈り色」
色に価値を付け、色を贈ります。

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