青森旅行の記録 〜半日の限界〜
3月6日、東京から青森に日帰り旅行をしてみました。この旅行について記録を残しつつ感想を共有できたらと思います。
青森に行くに至ったきっかけ
キュンパスの存在
つい先日の2月14日から3月14日の間、JR東日本が発売した切符、「旅せよ平日! JR東日本たびキュン♥早割パス」という切符が利用できました。以下キュンパスとします。
この切符は10,000円で発売され1日の間、JR東日本の全区間が乗り放題、かつ一部の第三セクターまで乗り放題、加えて指定席を2回まで指定できるというお得度の高い切符でした。ただし利用日の14日前までに切符を購入する必要があり、また平日のみの発売という、なんだかんだ使える人を選ぶような切符でもあります。
私は大学生故、丁度この期間はテストも終わり、進級、就職、または留年をただ待つ期間であります(私はこの留年をただ待つ時間でした)。恐らくそもそも学生をメインのターゲットとした切符なのでは無いでしょうか。ということでこのキュンパスを使って何処か遠くに行くこととします。
がめついと言われればそれまでですが、この10,000円の切符、簡単に元を取る、お得に使うとすればどのような方法が考えられるでしょうか。おそらく殆どの方がまず思いつくのが新幹線で一番遠くに行けるところまで行くというものではないでしょうか。青森に行くことにしたのはそう言った単純な理由です。
いざ青森
想定外のアクシデントが2つ
さて3月6日のキュンパスを買うこととします。キュンパスに限定数など無いので2週間前までに切符を買うこととするぐらいを気をつければ良いです。という事でやんわり青森行くかな〜と考えながらも行く直前に指定席特急券、もしくは自由席特急券を買えばいっかと思い旅行3日前までキュンパスを放置することとします。直前にならないと行動を起こせない自分の悪い癖です。だから留年したんでしょう。
ここまで読んで察しの良い方であればお気づきかと思いますが、キュンパスを極力お得に使おうとしている人なんて自分以外に五万といる訳で、その中で直前になって指定席特急券が取れるわけないんですね。自分はこれにやられました。はやぶさ号の指定席特急券がもうありません。じゃあもう少し後の新幹線でもいいやと思いその日のはやぶさ号の特急券を漁ってみるも、東京をお昼頃に出る新幹線しか空きがありません。また、自分ははやぶさ号に自由席があり、最悪そっちでもいいやと思っていたのですが、そもそもはやぶさ号は全車指定席だったようです。リサーチ不足が一気にここで効いてきました。青森は諦めてなんとか席が取れそうなつばさ号に乗って山形に行くことにしたのですが、なぜかその後のあるタイミングではやぶさ号の席が一気に空くタイミングがあり、そこで朝一番のはやぶさ1号と最終のはやぶさの48号のチケットを取ることができました。恐らくですが、JRが旅行会社向けに空けておいた枠が埋まらなかったので、その枠をJRで使おうということで一気に空席ができたものと思われます。ご存知の方、詳しい方教えていただけますと幸いです。
先述した通りつばさ号に乗る予定だったのですがこのつばさ号、後で大変なことになります。見出しの想定外のアクシデントの二つ目に繋がります。
さて早朝の列車に乗って東京駅に向かいます。温泉に入るための着替えとモバイルバッテリーやノートパソコンなどのガジェットの準備は万端。東京駅のホームに上がると自分の乗るはやぶさ1号はとっくに停車していました。
家を出た時から若干気配を感じていたのですが、お腹がとても痛いんです。そんな中でもE5系のトイレはとても綺麗で安心してトイレを済ませることができました。列車は快調に走り大宮を通過。この先は新幹線が新幹線らしい速度を出す区間となります。そのタイミングで東京駅のホームで買っておいた駅弁を食べます。やはりこういう列車の中で食べるお弁当は普通に食べるより美味く感じますね。
新幹線は順調に走ります。しかしながらあるタイミングで減速をしてゆくのです。次第に列車は停車。何事かと思ったら先行するつばさ号が、雪の影響で新白河駅に止まれなかったようで500m近くオーバーランしてしまったとのことでした。500mのオーバーランとなれば少し停止位置を行き過ぎたというのとは事情が違う、つまり信号を通過してしまい、分岐器も通過してしまったということでかなりの時間運転見合わせをする事となってしまいました。その列車はつばさ121号。私がはやぶさ号のチケットが取れなかったら乗っていたはずの列車です。この列車は新白河で運転取り止めとなってしまったようで、自分としてはギリギリ助かったというところでしょうか。乗られていた方は気の毒ですが。
2時間半近い運休を終えてからは問題無く走行し、新青森駅には12時20分の到着、9時49分の到着予定だったはずなのでほぼそのまま2時間半の遅れで青森に到着しました。
新青森駅から青森駅までは2両編成の気動車で一駅走ります。10両編成の新幹線に乗っていた大勢の人間がこの2両の、それもローカル線仕様の気動車に乗るのでもう車内は地獄絵図です。なんで青森に来てまで満員電車に乗っているんだと思いながらも一駅なので我慢します。
7時間で何ができるか
帰りの新幹線は新青森を19時44分に発予定。残された時間は7時間ほどです。
まず駅から徒歩5分ほどの場所にある青森連絡船メモリアルシップ八甲田丸を見に行きます。残念ながら当日は年に1回、1週間やる展示船のメンテナンス中であり、中を見る事ができませんでした。この展示船は青函トンネルが完成する以前の本州と北海道の間をフェリー輸送していたという記録を明確に残すものです。青函トンネルが鉄道トンネルというのは誰もが存じ上げる事実かと思いますが、この展示船や他の船は鉄道車両を船に乗せて本州と北海道を行き来していたそうで、船に鉄道車両が乗るという事に対する驚きの他にもロマンを感じるところでもあります。実際に展示船の中には線路が引かれており、鉄道車両の展示があるそうです。見たかった…
館内に入れないのではしょうがないので外観を見ることとします。船なので当然錆はところどころに見られますが、津軽の厳しい冬を乗り越えている船と考えればとても綺麗な状態です。太平洋戦争中、この青函を結ぶ船は多くが空襲や航行中の撃沈を狙われていたようで実際数多の人が津軽海峡で亡くなっています。それへの慰霊碑が現地には置かれています。この慰霊碑が無ければこの様な事があったというのは知る由もありませんでした。また現地には津軽海峡冬景色の歌謡碑も置かれています。この歌詞の世界観に忠実な、青森駅の海鳴りが聞こえる環境に今自分はいると考えると感慨深いものがあります。当時の青森駅はどの様な場所だったのでしょうか。なんとなく歌詞から読み取れますが、現在の青森駅は駅舎の建て替えが進んでおり活気に溢れています。
腹ごしらえです。青森に来たからには海鮮丼を食べてから帰ろうというのがありました。最後に食べた食事は7時頃の駅弁ですので流石にお腹が空きました。何店舗か近くにお店はありましたが私は駅前のねぶたの家 ワ・ラッセの中にある「魚っ喰いの田」にお邪魔する事としました。津軽海峡を望み食べる海鮮丼はまさに求めていたものであり、嬉しいです。もちろん海鮮丼も美味しかったのですが、一緒についてきたリンゴジュースの味が印象的です。なんというかりんごそのままと言えば伝わるでしょうか。
車を借ります。元々はバスに乗って青森周辺を色々回ろうと思ってたのですが、到着が遅れたことや知らない土地でバスに乗ってミスをするリスクを考えカーシェアを使うこととしました。借りた車はタイムズカーシェアのMAZDA2。
この車はコンパクトカーの中でも最もドライビングポジションが取りやすくてお気に入りです。また当然青森は雪景色ですのでスタッドレスタイヤを履いています。大通りは殆ど雪かきがされており、東京と変わらず運転ができましたが裏通りに入るとアイスバーンや積雪がありました。
最初に行くのは三内丸山遺跡。ここに来るまでは教科書で見るだけの場所です。青森駅から車で20分とかその程度だったと思います。あっという間に着きますね。
所謂竪穴式住居や、高床式倉庫を復元した物を見る事ができました。遺跡の中は雪まみれで基本的に歩きづらいです。加えて雪のせいでそもそもの遺跡が埋もれちゃって見づらいというのも正直なところです。しかしながら、住居、倉庫は立派な作りをしており縄文時代にこれだけの物を作る技術があった事、また今と大差ないようなコミュニティが存在していた事に対して不思議に感じました。
遺跡を一通り見た後には屋内展示として様々な発掘されたものが観覧できます。槍の先端につける尖った石や、そもそもの三内丸山遺跡が見つかった経緯など事細かに展示があります。
ここに来る以前までは自分が遺跡を楽しめるか不安でいっぱいでしたが間違いなく行ってよかった場所です。
以下写真が殆どなく申し訳ないです。
次に行ったのは青森駅からすぐの善知鳥神社、うとうじんじゃと読むそうです。青森市発祥の神社とされているそうで、青森市中心部の中に突如として現れる風格のある神社はここです。
神社のディテールに集中するがあまり写真を撮り忘れてしまったのですが、立派な鳥居とのどかな、こじんまりした池が同居しているのが記憶によく残っています。
さて次は浅虫温泉へ。温泉に入りるのを楽しみにしていました。青森市中心部から海に沿って車で北東に30分ほど進むと到着です。青い森鉄道だと青森駅から4駅目になります。
浅虫温泉については下調べをほとんでせずに行ってしまったのですが、どの温泉に入るのが良いのからわからず結局道の駅に併設されている温泉に行く事としました。ゆ〜さ浅虫という場所です。この温泉の特徴はなんといっても温泉から見える景色でしょう。陸奥湾を望む温泉からは時間によっては綺麗に反射する夕焼けに照らされて湯に浸かる事ができるはずです。
道の駅自体は5階建くらいの建物になってまして、1階の入り口から5階に向かう際に、お婆さんから、恐らく現地の方かと思いますが「どこから来たの」と声を掛けていただきました。「東京です」と言うと「遠くから来たね〜」と言っていただき歓迎していただけました。こういった地方特有の距離感の近さを感じられたと言うのはなんとなく、その場所の文化まで深く味わう事が出来た様な気がして嬉しいですね。
温泉自体は恐らくただのお湯で、何か湧き出ている物というのではなかった様です。もし行かれるのであればシャンプーやボディソープは置いてないので持参するか、その場で買う必要があります。
お風呂を上がり、この時点で17:30。またお腹も空いてきました。ご当地グルメという訳ではないですが青森市中心部への帰路の途中に山岡家を見つけたためここで夕食を食べます。味噌ラーメン。山岡家の「ガツンときてクセになる」を体現している王道メニューです。
青森市内についたのは18:30、そのまま車を返却して青森駅から徒歩3分ほどの場所にあるA-FACTRYにてお土産を購入します。相変わらず写真がなく申し訳ないのですが、シードルやりんご、アップルティーなどを購入しました。店内にはお土産屋さんのほかにも喫茶店やレストランも入っているので、青森駅に到着したらまず寄ってみるのもありだと思います。
19:44に新青森駅を出発するはやぶさ48号に乗り23:04に東京駅に到着。320kmで景色が流れる様には圧巻です。車内ではA-FACTRYにて買った地ビールを飲みます。何種類かあったビールの中の一つなのですが、結構酸味が強いビールでした。
半日無い時間で青森を楽しめるのか
割り切りが必要
さて今回青森には7時間ほどしか滞在しませんでした。感想として、間違いなく充実した時間を送れた事には違いないです。下手に長く時間があってもそれをうまく活かせなかったでしょうし、この短時間のおかげでむしろ観光に集中できたところもあります。
しかしながら青森を楽しんだと言っても今回行ったところは全て青森市内です。とはいえ青森市もとても大きいのでだからダメということを言いたいのでは無く、青森市内を少し楽しむと他の場所にも足を伸ばしたくなってしまう、これは間違いなくあります。出発するまで正直なところ青森の観光に期待をしていませんでした。キュンパスをお得に使いたいから青森に行くだけであって、青森を楽しむのは二の次とは言わないまでも優先度は低かったかもしれません。この日帰り旅行の一番の目的は「移動」だったのです。ですが行ってみると案外楽しい。青森には十和田湖や弘前市内、八戸市など今になって行ってみたい場所はいくらでもあります。青森を本気で楽しもうと思ったら2日は必要でしょう。
今回10,000円で行けたからこれで満足していますが、本来東京から新幹線で往復35,000円ほどかかります。さすがにここまでお金をかけていくのであれば1泊もしくは2泊するべきです。費用対効果が流石に物足りません。しかしながらキュンパスのようなキャンペーンが今後あり、格安で青森まで行けるというのであれば迷いなく行くべきです。くれぐれもレンタカーなど車を現地で調達することをお勧めします。
青森に行って日本にはまだ自分の知らない場所がある事を改めて思い知らされました。しかしそれはネガティブなものではなく同時にまだまだ自分は新鮮な経験や思いができるということの裏返しであり、未来が明るく見えます。秋田にも行ってみたいし山形にも行ってみたい。仙台にも行きたいし、九州にも初めて上陸してみたい。どこに行っても自分は新しさを感じられるんです。日本は私をまだまだ楽しませてくれそうです。
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