「街バル」なるものが流行っているとは知っていた。地域でチケットを買い、飲食店を飲み歩き・食べ歩きするイベントである。
 それが地元でも開催されるという。行くしかないだろう。こんなキャンペーンである。

1. 開催初日は特別会場に露店が出る。ステージでライブもある。
 ここでまず「木札」300円を購入する。
2. 当日露店にて、さらに期間中に街バル参加のレストランにて木札を見せると、1000円でお得なサービスが受けられる。

 今日は初日だ。いろんなカフェが出張販売に来ている露店に行ってみよう。
 傘を差して10分ほどで会場に到着。雨の中、さほど人はいないだろうと踏んでいたが、テント内に設えられたテーブルとイスはほぼ満席。二十人ばかりがビールやワインを飲んでいる。子どもの姿も多く、ピザやポテトをぱくついている。賑わってるねぇ。
 雨で気温が低いので、まずは温まるものをお腹に入れたい。チェー(ベトナム風の甘いスープ)を出しているお店がある。よし、ここから行ってみよう。

 *南瓜と小豆のチェー(600円)
 作り方を見ていると、牛乳を温めてスープの素(?)といろんな具材を入れ、最後にナツメとシナモンを振りかけていた。
 見た目は白いぜんざいといったところ。食べると南瓜や小豆のほかにバナナや白玉も入っていて、いろんな味と食感がして楽しい。木札を提示すると特製せんべいがおまけについてきた。

 チェーで身体が温まってきたので、ここからはワインを飲むことにし、白ワイン(50ml)を注文してみた。お腹が空いているけど何を食べようかと迷ったが、ふと右を見て即決。

*塩麹、豆腐入り特製生地のマルゲリータピザ(1100円)
 注文が入るたびに生地を成形して具を置き、オーブンでさっと焼き上げるから焼き立ての熱々だ。ピザは、こうやって作っていくのを見ているのが楽しいよね。
 5分ばかりして出来上がり。さっそく一口ほおばると、専門店がピザ窯で焼き上げるピザに引けをとらない。一心に食べてしまう。
 木札提示でルッコラが追加されたので、生地の上はトマトの赤と葉っぱの緑でクリスマスカラーだ。イベント気分も盛り上がる。

 お腹がいっぱいになったところでステージを見ると、バンドが「次は『ナシゴレンの歌』です」と語っている。曲が始まると、たしかに「君とナシゴレン~♪」といった歌詞でオリジナル感満載だ。エレキマンドリンを使っているのも珍しい。
 さて、このへんでコーヒーを飲みたいね。今日の露店はカフェが出店してきているから、こだわりコーヒーを出す店もきっとあるはず。
 見回してみると、いい香りがしてくる店がある。

*自家焙煎 その場で豆を挽いて淹れる特製ブレンド(500円)

 淹れたてのコーヒーの香りはいいね。ここで何とはなしに隣のテーブルを見ると、マジシャンがいる! 30年前に学生マジシャンだったわたしには、手品師の衣装(見ればすぐにわかる)を見るだけで懐かしい。
 まずはシンブル。白い指抜きがいろんな指から消えたり出てきたりという種目だ。ジャケットをこすっていると、指ぬきがなくなったりまた出現したり。セオリーどおりだ。
 続いてスポンジボール。赤いスポンジを転がしていると1つが2つになり、見ているひとりの子に握らせておまじないをかけると、あら不思議! さらにボールが増えちゃった。消えたり出てきたりを数回繰り返したあと、ボールが十数個になって終わる。
 ああ、昔やったよ、これ。もちろんタネは知っている。テクニックとしては難しくはない。しかしですね、至近距離、しかも子どもの前でマジックを演じるのはなかなかできることではない。何せタネがわかったらすぐに指さされて「見えたー」と言われるのである。
 そう思いながら演者NOBを検索したら、なんとプロボクサーからの転身いう。珍しい経歴だけど、「人前で演じる」ということでは同じ。だから自然に笑顔も出るし、「演者」としてぱりっと見えるんだなぁと一人で納得する。
 カフェの自家焙煎コーヒーを飲みながらマジックを見る。なかなか贅沢な時間ではないか。
 では、最後に締めといこう。もう少しならアルコール入れてもいいかな。

*赤ワイン(50ml) 500円
*フライトポテトローズマリー風味 500円

 さっきのマジックやステージを思い出しながら、ほろ酔いで「締め」る。
 結局、アルコールは計ワイン100mlがすべてであった。酔っ払い感よりも、ライブやマジックを見たり、ふだんは(糖質が多いため)封印しているピザやポテトを食べられて満足、満腹であった。
 いいねぇ街バル。今日木札を買ったので、向こう1か月、参加店に行ってオマケもらったり値引きしてもらったりして、残りの期間も満喫しよう。

この記事が参加している募集

ご当地グルメ

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?