掌編1 君の見ているフェンス越しの世界は
……こんなところにいたのか。
今日はサボり?
ああ、いや、言いたくなければいいんだ。無理に言う必要なんてない。
隣りにいるだけでも、少しくらいは慰めにはなるだろう?
しかし、ここはいいとこだな。こんなにここに居たことがなかったから、知らなかったよ。
空しか見えないと、いろんなことがどうでも良くなるな。
……とても、聞きづらいんだけど、今日で最後、なのか?
そうか。わざわざ言わせてしまって、ごめん。
間に合わないもんだな、こういうのって。
ああ、こちらこそ、ありがとう。
私もすぐに、そっちへ向かうから。待っていて。
ゆっくりと肺に空気を満たし、そして細く、長く吐き出していく
さあ、私も彼女のように、空を飛ぶための一歩を踏み出そう
あなたの居ない明日から、あなたを取り戻すために――
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