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ファーウェイのスマートシティ・ソリューション

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、ファーウェイのスマートシティを取り上げます。

ファーウェイは、2020年11月19日、「Huawei's Customers Win Three World Smart City Awards and Three Nominations at the 2020 Smart City Expo World Congress(2020年スマートシティ・エキスポ世界会議で、ファーウェイの顧客が、3つのワールド・スマートシティ・アワードと3つのノミネートを獲得)」とプレスリリースしました。

プレスリリースによると、10回目の開催となる2020年スマートシティ・エキスポ世界会議で、ファーウェイの顧客にあたる上海市、深セン市、広東省仙山市の南海区の都市ガバナンスや経済政策などが評価されアワードを獲得、また天津経済技術開発区(TEDA)、河南省鄭東新区、安徽省黄山市は革新的アイデアやガバナンス&サービスのアワードにノミネートされているとされています。

ファーウェイのスマートシティ・ソリューションは、クラウドコンピューティング、IoT、ビッグデータ、AIなどテクノロジーから成り立ち、オープンプラットフォームのもと都市やソリューション・プロバイダーがサービスや機能、アプリケーションやデバイスを拡張できるようなエコシステムを構築するというものです(動画参照)。電子政府サービス、効果的かつ効率的な公共サービスの提供、最適なトラフィックの実現、住民主体の都市ガバナンスなどに活用されます。

同世界会議でのアワード自体は、ファーウェイがマイクロソフトなどとともに主要パートナーの一社として名を連ねており、少し差っ引いて捉える必要があると思います。しかし、ファーウェイは40以上の国・地域の200以上の都市でスマートシティ・プロジェクトに関わっており、そのスマートシティ・ソリューションは重要な戦術となっています。

ファーウェイの基本戦略は、5G設備などのICTインフラ事業とモバイル端末などのインテリジェント・デバイス事業を効果的に組み合わせることによって、オープンなクラウドプラットフォームを構築、ICTソリューションを提供したり、チップ・デバイス・クラウドの相乗効果を生み出すことで多様なシナリオで素晴らしいユーザー体験を提供したりすることです。スマートシティ事業も、そうした基本戦略に沿ったものとなっています。

中国ではアリババ、中国平安保険、そしてファーウェイをはじめとして、AI、クラウド、ビッグデータ、自動運転、金融、物流・流通、EC等など、多種多様な企業が参入するスマートシティ・ビジネス。その競争はますます激しさを増してきています。

田中道昭

PS.わたしが監修を行った『GAFA見るだけノート』が11月24日に宝島社より刊行となりました。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンのビジネスモデルから、決算書、マネジメント術、経営者のリーダーシップまで、テクノロジーの最新動向等ともあわせて、図表と簡潔な文章でコンパクトに1冊にまとめました。よろしければ、ぜひ手にお取りください。


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