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ネットフリックス、2020年度決算を発表

このnote記事『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとして「GAFA×BATH」などの米中メガテック企業をはじめと国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中からその内容をシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、第10回以来久しぶりに、ネットフリックスを取り上げたいと思います。

ネットフリックスは、2021年1月19日、2020年第4四半期決算と2020年度決算を発表しました。

その開示内容によると、第4四半期の業績は、売上高が6,644百万ドル(前年同期比 21.53%増)、営業利益が954百万ドル(前年同期比 108.12%増)です。一方で、2020年度の業績をみると、売上高が24,996百万ドル(前年比 24.01%増)、営業利益が4,585百万ドル(前年比 76.07%増)となっています。

コロナ禍にあっての巣ごもり需要やオリジナルコンテンツが好評であったこと、そして有料会員数の増加などが主な要因です。

また、期末の営業キャッシュフローをみると、2015年度から2019年度まで連続してマイナス(赤字)でしたが、2020年度は2,427百万ドルのプラス(黒字)に転じています。株主宛てのレターによれば、2021年度の期末に、フリーキャッシュフロー(営業CF+投資CF)がブレークイーブンになると予測されています。これは、収入増に加えて、コンテンツ資産の制作・調達に伴うキャッシュアウト(マイナス分)の減少などが要因として考えられます。

ちなみに、財務キャッシュフローのデッドファイナンス(銀行借入などによる資金調達)は、前期末比で77%減。その点、レターの中で「通常業務のために外部からの資金調達はもはや必要ないと考えている」とし、「負債を100~150億ドルで維持しながら、その余剰キャッシュを自社株買いによって株主に還元する」という財務計画を表明しています。

ネットフリックスは、年間のコンテンツ制作費が日本の在京キー局5社合計の約4倍と言われていますが、これまで巨額の収入をあげながらも資金借入をしてコンテンツの制作・調達に力を入れてきました。特に、ユーザーの視聴ビッグデータをオリジナルコンテンツの制作にも戦略的に活かしてきています。競合他社も昨今オリジナルコンテンツの制作を重視する中で、その競争はますます激化していくことが予想されます。

田中道昭

PS. 著書にもネットフリックについて解説しています。よければお手にお取りください!


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