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ネットフリックスが「NetFXプラットフォーム」でVFXコミュニティを囲い込む

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』のテーマは、ネットフリックスの「NetFXプラットフォーム」です。

2020年7月18日、ネットフリックスのThe Netflix Tech Blogに「Empowering the Visual Effects Community with the NetFX Platform(NetFXプラットフォームでVFXコミュニティをエンパワーする)」という記事がアップされました。

VFXとは「Visual Effect」の略で、映画などコンテンツ制作に使う特撮効果のこと。

そして、ネットフリックスのコンテンツ制作に使うVFX作業のために、ベンダー、アーティスト、クリエーターなどがオンデマンドで接続し協業するクラウド・ベースのプラットフォームが「NetFXプラットフォーム」です。現在ベータ版がカナダで運用されていますが、来年初めにはムンバイで運用が開始され、さらに運用エリアは拡大予定とされています。

ネットフリックスは、動画配信サービス会社であると同時に、「ビッグデータ×AI」の「レコメンド機能」を持つテクノロジー企業です。オリジナルコンテンツ制作を事業の中核に据え、クラウドの「NetFXプラットフォーム」でVFXコミュニティを囲い込み、コミュニティの皆が利益を享受できるエコシステムを構築する。それによって魅力あるオリジナルコンテンツを制作し、会員を増やし囲い込んでいく。これがネットフリックスの戦略です。

ネットフリックスの営業キャッシュフローが赤字に転じた2015年以降、その赤字幅は年々拡大しています。背景にあるのがオリジナルコンテンツの制作。動画配信サービスの競争が激化する中、「NetFXプラットフォーム」による制作のエコシステム構築は、テクノロジー企業ネットフリックスならではの打ち手と言えるでしょう。

田中道昭

PS.著書でもネットフリックスの経営戦略について解説しています。よろしければ、お手にお取りください!



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