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フェイスブックの「不正行為レポート」

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、フェイスブックの「不正行為に関するレポート)」を取り上げます。

フェイスブックは、2020年11月5日、ニュースルームで「October 2020 Coordinated Inauthentic Behavior Report(2020年10月期 不正行為に関するレポート)」と題する記事をアップし、同レポートを公表しました。

フェイスブックが言う「Coordinated Inauthentic Behavior(CIB/不正行為)」は、(主に偽アカウントから)ある目的をもってパブリックな議論を操作しようとする協調的な取組みと定義されています。CIBには、米国国内での非政府組織などによる不正行為と外国または外国政府に代わって実行される不正行為の2つがあるとしています。フェイスブックは検出されたCIBをSNSやアプリなどプラットフォームから削除していますが、その1ヶ月毎の結果や状況を共有するのがCIBレポートで、2018年以降月次で公表されています。(動画参照)

2020年10月期レポートでは、10月に14のネットワーク(networks of accounts)が削除されたことが公表されています。そのうち8つのネットワークはグルジア、ミャンマー、ウクライナ、アゼルバイジャンからのもので、自国内のオーディエンスをターゲットにした操作、残りの6つのネットワークはイラン、エジプト、メキシコ、米国からのもので、自国外のオーディエンスをターゲットにした操作が行われたとしています。

11月3日に実施された大統領選挙の結果が依然明確には見えてこない中、結果に関する根拠のない主張を繰り広げるフェイスブック・ページのアカウントが削除されたとの報道もあります。フェイスブックのSNSなどは既に強力なメディアへと成長し、第67回でフェイスブックの政治広告規制へ言及しましたが、選挙にも大きな影響を及ぼすようになっています。一部では、フェイスブックなどによる不正行為の検出やアカウントの削除をシャドーバンニングと呼び、政治思想による差別に結び付ける批判などもあるようです。

テクノロジーと人員を投入して、また行政やセキュリティの専門家などとも協調しながら、SNSが健全な場として機能するように改善をすすめるフェイスブック。個人情報やプライバシーの保護の機運とも相まって、その責任はますます重くなり、社会からも厳しい目で見られています。

田中道昭

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