見出し画像

テンセントの世界最大のeスポーツプラットフォーム「Tencent E-sports」

『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとしてGAFA×BATH等の米中メガテック企業をはじめ国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中から、その内容をnoteでシェアするものです。

今日の『戦略をアップデートする』は、テンセントのeスポーツ事業を取り上げます。

テンセントは、2020年8月24日、「Tencent E-sports Details Plan in 2020 Global Esports Summit(Tencent E-sportsが2020グローバルeスポーツサミットでその計画の詳細を明らかに)」とプレスリリースしました。それによると、Tencent E-sportは、同日に海南省ボアオで開催された「2020年グローバルeスポーツサミット/Tencent E-sport年次総会」で事業計画の概要を説明したとされています。

同イベントには、Riot GamesやEAといった大手のオンラインゲーム/eスポーツ会社や、テンセントが創設パートナーとして提携する(2019年12月16日付けプレスリリース参照)、eスポーツコミュニティと広範なスポーツコミュニティのつながりを発展させることを目的として昨年12月に設立された「Global Esports Federation(GEF)」も参加。「新しい産業形態」としてのeスポーツを育成していくと謳っています。

ご存知の通り、eスポーツとは、オンラインゲームでの勝ち負けをスポーツとして競うものです。2019年12月19日付けBusiness Insider記事によると、eスポーツ市場はスポンサーシップ、放映権料、イベントチケット、物販、コンテンツ課金、広告料などからの売上で成り立っていますが、2023年までには少なくとも15億ドルを超える市場規模になるとされています。

テンセントの「Tencent E-sports」プラットフォームは、1年間で中国430都市の12000名以上の競技者が利用、そこには8つのプロリーグがあり、さらに1年間でのべ3億人以上の観客、350億以上のイベントビューがあり(動画参照)、世界最大のeスポーツプラットフォームに成長しています。

テンセントは、フェイスブックと同じように、WeChatなどSNSを中心とする事業を展開しています。しかし、その収益構造はフェイスブックとは大きく異なります。フェイスブックの売上高の99%が広告収入であるのに対して、テンセントの売上高に占める広告収入の割合は18%にしか過ぎません(2019年度)。

そして、テンセントの売上高の6割を占めているのが、最も重要な戦略事業領域の一つに位置付けられているVAS(Value Added Service)と呼ばれるオンラインゲームやデジタルコンテンツからの収入なのです。今後、テンセントのeスポーツ事業は、VASのキラーコンテンツの一つになっていくことが予想されます。

田中道昭

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?