ミランダを思い出して

恋は盲目、好きな人はまるで麻薬みたい。じゃなきゃ煙草だ。なんであれ、中毒性のある何か。

昔々読んだ「ミランダ」という詩の一節が甦る。

鏡は孤独、だからあの人はあたしのものよ
緑の高い丘は、いつも海の横に座ってるわ

詩の素養がないので「鏡は孤独」が何を意味するのか、考えてもピンとくるものがない。理解できるか、と言われれば「ようわからん」と返すしかないが、それにしてもリズムのいい、開放的な詩だ。翻訳者は確か、池澤夏樹だった。リズミカルなのは、翻訳者の腕によるところも大きいだろう。原文は知らない。たぶんラテン系の──フランス語か、そうでなければイタリア語のはずだ。前者は読めるが、後者は勉強したことがない。原文を再現してみようと思って、仏訳を試みる。

Le miroir est solitude, puisque il est mon homme.
Le haut coteau vert s'assied a cote de la mer toujours.

合っているかはわからない。「あたしのもの」がうまく訳出できなかった。これだと「あたしの男」というニュアンスになる。英語のmine(私のもの)に当たるフランス語は何だったっけ?こういう時、不勉強なのは単に不便だ。また、だからと言って一生懸命勉強しようという気にもならないのだから、それが性分なのかもしれない。

本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。