イベントレポ: メルカリの成長を支えるデータ分析チームの「今」と「これから」(動画付き)
こんにちは。メルカリAnalyticsチームの@suwachanです。
この記事では、2022年5月31日に開催したイベント “メルカリの成長を支えるデータ分析チームの「今」と「これから」” の動画と内容の一部をご紹介します。
早速ですが、動画はこちらからご覧ください。
イベントのポイントを知りたい方、2時間の動画は見きれない!という方に向けて、内容の一部を抜粋してお伝えいたします。
イベントのご紹介
このイベントでは、Analyticsの全4チームからマネージャー・メンバー1人ずつ、計8人が登壇。それぞれのチームの「今」と「これから」について、パネルディスカッション形式で語ってもらいました。ファシリテーターは私@suwachanでした。
メルカリのAnalyticsチームは、次の4チームから構成されています。
Product Analyticsチーム (メルカリアプリ・Webの機能に関する分析)
Growth Analyticsチーム (マーケティング・グロースに関する分析)
Analytics Infraチーム (データ基盤の整備)
Insight Analyticsチーム (市場動向の分析やリサーチの実施)
Insight Analytics チーム対談
Insight Analyticsチームからは、マネージャー@Tsugutoさん、メンバー@Jinさんが登壇。
定性・定量を組み合わせて、お客様を理解する
Tsuguto:最近行ったプロジェクトで印象に残っているものはありますか?
Jin:先日Mercari Analytics Blogの記事(下記リンク参照)に書いた「カテゴリ分析」のプロジェクトですね。珍しいと思うのは、「定性」と「定量」を組み合わせたプロジェクトだったことです。最初にインタビューでお客さまの感情を細かく聞いていき、そのあとでアンケートで定量的にその声がどれくらい大きいのかを検証しました。
Tsuguto:定性・定量を組み合わせたアプローチを取ったのはなぜだったのでしょうか?
Jin:そもそもメルカリでどのように購買がなされているのか、まずは探索的に理解した方が良いと思いました。アンケート調査をするなら、仮説を定量的に検証する流れになりますが、まだその仮説が出揃っていなかったんです。具体的には、お客さまが「ほしい」と思ったタイミングから実際に購買完了に至るまで、どのようなステップを踏み、その中にどのような阻害要因があるのか?という仮説です。そのため、一人ひとりのお客さまの意見を聞いて仮説出しをしていくために、インタビューをしました。ただ、インタビューだけだと、実際の市場における課題の大きさを測るのは難しいので、仮説が出揃った状態で定量アンケートを行なってインパクトを明らかにし、課題の優先順位まで付けました。
全社にMixed Methodsを広げていきたい
Jin:マネージャーのTsugutoさん、チームとして目指す姿はいかがですか?
Tsuguto: そもそもなぜ”Insight Analytics”という名前を付けたか、というところからお話できればと思います。ログだけを見たり、アンケート結果だけを見たりしても、分からないことはすごく多いと思います。目的に対して適切な複数のデータをかけ合わせて分析して初めて、お客さまのインサイトにたどり着けると考えています。インサイトが施策に反映された結果、お客さまにとって意味のあるプロダクトになり、我々としてもビジネスが動いていく状況を作っていければと思っています。そのために、チームとして分析をしていくことはまず大事ですが、会社全体としても複数のリサーチ手法やログ分析を適切に使っていけるようにしたいです。
>>> Insight Analytics チームの対談動画はこちら (00:08:30〜)
Analytics Infra チーム対談
Analytics Infraチームからは、マネージャー@hizaさん、メンバー@na0さんが登壇。
BigQuery月間利用者900名のニーズを掴む楽しみ・つらさ
hiza:データ整備で楽しかったこと、na0さんどうですか?
na0:データ整備をしながらもデータ分析をしているという感覚があります。メルカリではデータのニーズが非常に多く、いろんなニーズがデータ分析・データ整備・データ基盤につながっています。つながっているニーズを紐解くためには、n=1のヒアリングも重要ですが、データを利用している人が何者なのか、どういう目的でデータを使っているのかという観点でデータ分析をメタ的に見ることも行なっています。それを面白く体験しています。
na0:hizaさん、逆にデータ整備でつらかったことはありますか?
hiza:データ分析をしている人が多いことは、楽しさにもつらさにもつながっていると思います。メルカリはBigQueryの利用者が月間900名ほどいて、その利用状況を集計・分析するだけのボリュームがあります。それはna0さんが言うように楽しいポイントでもありますが、大量の利用者のニーズを掴みきるのが難しく、つらいポイントでもありますね。テーブルを廃止するときに、一人だけしか使っていなかったとしても、クリティカルな用途で使っているかもしれません。利用者が多ければ、テーブルの変更や廃止を行うときに障害が大きくなってしまう可能性もあります。
データが「使われすぎる」課題に取り組む
hiza:データアーキテクトとして働くという希望を持ったのはなぜだったのでしょうか?
na0:メルカリの特色は、データ整備がされていないにもかかわらず使っている人がいることです。最近だと、分析のユースケースがいくつかあり、シーズの方からデータ基盤を整える組織が多いと思います。一方、メルカリの場合はニーズがめちゃめちゃに増えて、そこからデータがつながっています。その「意味分からなさ」を体験したい、それをちゃんと整理することが重要だ、と思っていました。こんがらがったニーズの中でも、幅広くニーズに応えてあげるためにはどうしたらいいか、を整理していくのは非常に有意義だと思います。
hiza:データが使われなくて困るのではなく、データが使われすぎてこんがらがって困る、という課題に取り組めるのは珍しいですよね。
>>> Analytics Infra チームの対談動画はこちら (00:35:51〜)
Product Analytics チーム対談
Product Analyticsチームからは、マネージャー@takahideさん、メンバー@Mizuさんが登壇。
新規事業で取り組む分析とそのギャップ
takahide:最近どんなプロジェクトをやっているか、Mizuさんからお話いただけますでしょうか?
Mizu:Merworkという新規事業を担当しております。Merworkはメルカリのお客さまに対し、時間を価値に変えるようなプラットフォームを提供しております。Merworkのお客さま「メルワーカー」から得たデータをもとにして、メルカリのお客さまの体験をよりよいものにする、という取り組みをしています。直近は、メルワーカーのみなさまから得たデータがビジネスにどの程度寄与するのか、というPoCに向けた実験をしています。
takahide:新規事業のデータアナリストとして入社して、入社前とのギャップはありますか?
Mizu:エンジニアのリソースが不足しがちなので、データベースを整備する優先度が下がってしまい、分析したいデータがないことがあります。そのような状況下では、データベースのエンジニアリングやロジック策定など、プロダクト寄りの分析をする機会が多いですね。スキルを広域に使って貢献できるチャンスだと思っているので、良いギャップと捉えています。
これから求められるのは「分析の分析」
takahide:「これから」のデータ分析についてはどうでしょうか、Mizuさん。
Mizu:一般論として、プロダクトマネージャーと言われる企画側の人たちも、外部ツールの利用なども含め、単純集計や機械学習の自動化ができるようになってきています。外部ツールのみならず、各社に内製の民主化ツールみたいなものもあると思います。その環境下でデータアナリストに求められることは、真にお客さまの体験改善につながるような分析ができることかなと。方法として挙げられるのは、分析を深めるようなMixed Method、分析を広めるような標準化・民主化、分析の効率化をする自動化。それに加えて、もう少しメタ的に「分析の分析」を行い、分析のアプローチをどんどん改善していくことも重要だと思います。
takahide:おっしゃる通りです。プロダクトのデータアナリストとプロダクトマネージャーとの差が縮まって、オーバーラップした動きもあるかもしれません。試行錯誤の時期ですね。
>>> Product Analyticsチームの対談動画はこちら (01:03:37〜)
Growth Analytics チーム対談
Growth Analyticsチームからは、マネージャー@igachanさん、メンバー@hayashiさんが登壇。
戦略につながる分析の難しさとやりがい
suwachan:hayashiさん、「分析で楽しかったこと」はいかがでしょうか。
hayashi:広告予算の最適化のための分析が面白かったです。各広告媒体でいつサチュレーションを迎えるのか、つまり広告予算を投下してもほとんど新規顧客の獲得ができなくなるタイミングがいつなのか、今まで測定できていませんでした。そこで前四半期に、振り切って広告予算を投下してみようと現場のチームと話し、予算を取っていただきました。それにより、戦略的に大きな判断材料になるような評価をして、広告予算を最適化することができました。このように、戦略的な意思決定につながるような分析ができるのが楽しいですね。
suwachan:逆に「分析でつらかったこと」はありますか?
hayashi:失敗事例として、毎月「これくらい新規顧客が獲得できそうです」という予測をしているのですが、高く見積もりすぎてしまい、現場で立てた目標未達となってしまったことがありました。なぜそうなってしまったのか分析し、PDCAを回してはいるものの、心苦しかったですね。
igachan:メルカリのバリューのひとつに「Go Bold 大胆にやろう」というものがあります。大胆な目標を掲げ、みんな必死で追うという文化があるので、そこが楽しさもありつらさもあるところかなと。
「流動性」と「積み上げ」の分析で組織を強く
suwachan:チームとして目指す姿はどのようなものでしょうか?
igachan:「流動性のある分析」と「積み上げていく分析」の両方をやっていくことを目指していきたいですね。メルカリの中では新しいサービスが出てきたり、環境が大きく変わったりして、予想していない分析テーマが出てきています。事業に与える影響が大きいこともあるので、Growth Analyticsチームとしてはすぐに動けるようにしていきたいです。ただ、単発の分析だけしていっても、組織としてはノウハウが積み上がっていかないので、広告費用の最適化などの知見を積み上げることと両立したいと考えています。
>>> Growth Analyticsチームの対談動画はこちら (01:27:53〜)
たくさんの方にご視聴いただき、誠にありがとうございました。
この記事では紹介しきれませんでしたが、視聴者の方からご質問も多数いただき、動画の方にはQ&Aも豊富です。ラジオ感覚でぜひ聞いてみてください。
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