見出し画像

デジタル時代に人間味を感じた ~東京でのみそ仕込みの頃~

今年も大寒の声を聞いて、我が家のみそ仕込みは5年目に入った。
手前みそだが、美味しくてもう作らずにはいられない。

■人間味を感じたみそ仕込み

災害や感染の流行があっても、私たちは「食べる」ことで人と繋がって助け合ってきた。
辛いことがあっても、酒を飲んだり食べたりしながら、人とかかわって乗り越えてきた。
今はそれが簡単にできない。人との非接触が進む時代だ。
毎年のみそ仕込みは何も変わらないが、今年は人が恋しくて「東京みそ仕込み」に人間味を求めた。

大豆を煮る香りが家中に漂い、煮ている湯気で加湿される。豆をつぶす熱気と麹が加わって発酵への期待を感じる。そして働く人の動き。

大豆を栽培する人の顔、麹を仕込む生産者さんの顔、働く人のぬくもりが感じられる。どれ一つ欠けても私はみそを作ることができない。

今のデジタル社会で人とのかかわりが少ない中、手間をかけたみそ仕込みはなんだか人間味を感じてほっとする。
東京で仕込む景色は家々やビル群の中だが、田舎の里山の風景が浮かんで心が癒される。

千葉県1月の里山

毎年、千葉県の親類から自家栽培の大豆が届く。
それに合わせて麹を探す。お気に入りは富山県産の米麹(生)だ。
塩は瀬戸の本塩と決めている。
試行錯誤したが、5年目にして気に入ったレシピがようやく決まってきた。

私流だが、記録に残したのでご覧いただければ嬉しい。

■東京のみそ仕込み我が家バージョン

千葉県産乾燥大豆2.3㎏(水に浸すと2.5倍になる)
富山県産米麹生2.3㎏
瀬戸の本塩920g
種みそ500g(前年のみそ)
蓋塩(重石用)800~1000g

材料合計約6㎏で約8.5㎏のみそができ上る
容器はホーロー(8~10ℓ用)を用意しておくと丁度よい

■my仕込み方

① 大豆の下準備
みそを仕込む前の晩に大豆を洗い、大豆の3~4倍以上の水に入れて、一晩(12~15時間程度)浸す

大豆を水煮浸す(12~15時間程度)

② 大豆をやわらかく煮る
鍋に、大豆と大豆の2倍量の新しい水を入れ、3~5時間程度煮る。途中、白い泡(アク)を取り除き、湯を足しながら柔らかくなるまで煮る
指で軽くつぶせるくらいやわらかく煮ておくと、後で豆をつぶしやすい

大豆をやわらかく煮る(アクを取り除く)

③ 水分をきる
煮た豆が熱いうちにざるにあげ煮汁をきる。この時に煮汁を全部捨てず、種水用として300ml程取っておく。
種水は温かいうちに塩約40g(分量の塩以外)を加えて溶かしておく

④ 大豆をつぶす
消毒したボウルにやわらかく煮た大豆を入れ、マッシャーでペースト状につぶす。フードプロセッサーを使う場合は、種水を加えると回転しやすい

茹でた大豆をマッシャーでつぶす

⑤ 容器を消毒する
容器の内側を食品用アルコールか焼酎で消毒する。熱湯消毒でも良い。乾いたら容器の底に分量外の塩をひとつまみ振り入れておく

⑥ 米麹と塩を混ぜる
大きめの鍋かバットに米麹(生)と分量の塩を入れ、両手で下からすくい上げながら、塊がなくなるまでよく混ぜる。

分量の米麹と塩をまぶす

*乾燥麹を使う場合は、1.8㎏(大豆の8割の分量)を約30度のぬるま湯450mlを加えてかき混ぜ、30分ほどおいて戻しておく

⑦大豆と種みそを混ぜ合わせる
つぶした大豆に⑥の米麹(塩入)を加えてよく混ぜる。その時に米麹をつぶさないように注意して取り扱うこと。

さらに種みそ500gを混ぜ合わせて、いわゆるみそ仕込みの呼びみずとする。
かたい場合は、取り置いた種水を少々加えて、指がすっと入る程度のかたさになれば丁度良い。

つぶした大豆と米麹(塩入)を混ぜ合わせる

⑧ みそ玉を作り容器に詰める
前記⑦をおにぎり大に握りみそ玉を作る。容器の底から順にに詰め、手の甲で押してしっかり空気を抜く。これを繰り返し、最後は表面を平らにして分量外の塩ひとつまみを振り入れておく。

みそ玉を作り容器に詰める

⑨ 表面をラップで覆い重石をする
容器の内側と縁を食品用アルコールか焼酎で消毒し、空気に触れないようにラップを貼り付けておく。
重石用の塩は、ビニール袋に入れて均等にのせる。

⑩ 容器に蓋をして保存場所に置く
容器専用の蓋をし上から新聞紙などで覆い、紐で縛っておく。表面には仕込み年月日を記入しておくと良い。

蓋をし保管する

直射日光の当たらない場所に置く。
東京は一軒家でもマンションでも比較的暖かいが、日光が当たらず、湿度や温度の変化が少ない場所なら大丈夫。
例えば玄関のシューズボックスの下部でも可能だ。

⑪ 熟成期間は6ケ月~1年
仕込みから6か月程して蓋を開け、たまり(みそからでる液体)が上がっていれば食べることができる。一年くらい置くとより美味しい。

私は、衛生面を考慮して1年間は蓋を開けない。一年後に開封したら500gずつビニール袋に小分けし、冷蔵室で保管している。
長期に渡って保存する場合は、冷凍保存とし発酵が進まないのでおすすめだ。

《参考》
*天地返しというけれど・・・
発酵を進めるために、梅雨明けにみそを空気にふれさせる「天地がえし」をするように言われているが、東京では建物が暖かい方なのでその必要はないと考え、私はやっていません。十分に発酵しています。

*うっすらと白いカビが生えていた・・・
開封した時に、白いカビが表面に生えていることがある。
食品に生える自然のカビなので問題はないが、気持ちの良いものではないので、その表面部分だけをそっとスプーンでこそげ取るとよい。
私は、取り除いたみそを即席のみそ漬け床にして無駄なく使っている。

本日もありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?