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ADHDの集中力が続かない理由は、集中しすぎるからなんだ。むしろ、もっと休もう。

ADHDの特徴は「集中力が続かない」ことだ。一つの仕事に集中できず、立って歩いたり、誰かに話しかけたり、別のことをしてみたり。子供の頃の私は、教室の中を歩き回る問題児で、先生から「尻軽」と呼ばれていた。参観日に授業を見に来た親が本気で凹んでいた姿を覚えている。

大人になってからは、この多動傾向はかなりコントロールすることができるようになって、いちおう会議中などは座っていられるようになった(貧乏ゆすりはするけど)。しかし、集中力となると、これは子供時代から変わっていない。会議中に一つのテーマに集中したり、一つの仕事に打ち込んで何時間かデスクに座り続けるというのは不可能に近い。

そんなわけで、ADHDは、総じて「集中力がない」と言われる傾向にある。

しかし、これは朗報なんだけど、ADHDは集中力がないわけではなく集中しすぎてしまうタイプなんだ。ADHDは、一度集中してしまうと手が付けられないくらい集中する。いわゆる「過集中」という状態だ。これができるのだから、集中力がないわけではないのだ。
まあ、残念なことに、その切り替えスイッチが自分ではコントロールできないんだけど、集中力がないわけではない!と理解することは、ADHDが自分の特性を使いこなすヒントになるはずだ。

大人になるにつれて集中力が増す理由

子どもは集中力が続かないのが普通だ。ADHDであろうと、そうでなかろうと、幼稚園くらいまでは、みんな多動で注意欠陥状態にある。しかし、小学校に入り、中学校に入り、と通常の発達が求められてくると、だんだん集中できる時間が長くなる(と言われている)。ここで、変化がなく、いつまでも集中力が続かないと、ADHDが疑われることになる。

しかし、いわゆる「普通」の人は成長と同時に集中力が増すわけではないのだ。脳疲労に関する著作の多い梶本氏の言葉だ。

「小学校に入るころには、1コマ45分の授業に何とか耐えられるようになります。それは集中力の持続時間が長くなったのではなく、合間で飽きて注意を適度に配分する手の抜き方がうまくなってくるためです。生きる力を身につけてきたとも言えます。成長と共に集中力が低下し、反比例するように手の抜き方がうまくなるので、中学や高校では1コマ50分、大学になると1コマ90分の授業にどうにか耐えられるようになるのです。」(P41)

子供の頃は、大人には出てこないfmθ波という独特な脳波が出ているという。これは子供が極度に集中した時にでる脳波なんだけど、この極度の集中時間というのはとても短い。子供が熱中して遊んでいたと思うと、いきなり飽きてしまう様子を観察することがあるだろう。そもそも、人の本気出す集中力というのは数秒しか持たないとも言われている。(野球のバッターや大相撲の立ち合いを思い出してみて)

つまり、子供の「集中力が続かない」原因は一気に「集中しすぎてしまう」からなのだ。これって、ADHDの特性そのものじゃないだろうか。普通の人は、だんだん、上手に手抜きする術を覚えるのだけれど、不器用なADHDはとにかく真面目に集中して、集中しすぎて、疲れて飽きてしまう。それが、他の人から見れば怠けているように見えたり、サボったりしているように見えるのだ。

実は集中して仕事しているように見えても、一日をならすと、ほとんどすべての人が2~4時間くらいしか、密度の濃い仕事をしていないのだという。あとは、なんだかんだサボっているのさ。そして、それが人間の限界なのだ。このことを踏まえると、ADHDは、「もっと集中しよう」と努力するより「もっと休もう」と心がけたほうがよいことになる。

ADHDは規則的に休もう

ADHDはセルフモニタリングが苦手だ。つまり、自分がどれほど疲れているのかを感じ取ることが苦手。いくらでも行けるぜ!と息巻いた瞬間にぶっ倒れたりする(以前の私だ。)そこで、とにかく時間を決めて、定期的に休みを取ることが必要だ。

それが、ADHDがとにかく集中して仕事をこなしていくためのカギだ。

以前、私が書いた本だけど、ポモドーロ・テクニックを使うというのはひとつの方法。25分集中して、5分休んでというタスクを繰り返していく。自分の感覚ではなく、時間で区切って休息を挟むことで、集中力を維持させていく仕組みだ。自分が人並み外れて不器用だということを理解すること。

梶本氏によると「飽きた」という感覚は、脳疲労のシグナルだ。ADHDの場合、集中力が続かないのではなく、むしろ集中しすぎて、脳に疲労がたまってしまうのだから、それを定期的に抜くことが大事だと知ろう。

脳の仕組みや活用の方法を知ると、解決策も180度変わってくるから面白いよね。

綿樽剛の著書一覧


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大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq