男女共にテストステロンの減る病「熟年期障害」平澤精一 (著) アスコム
男性更年期障害の本を数冊読んでいるうちに「熟年期障害」という語彙に出会った。男性にも女性にもテストステロンが大事だということを知るきっかけになった本を紹介したい。
この本で亜鉛不足とテストステロンの関係にも目が開けた。心身の健康を語るうえで欠かせない知識を得た(気がする)
「熟年期障害」の読みどころ
男性更年期障害(LOH症候群)の一般書は、現在でも数冊あるけれど、どれも中年の男性に焦点を充てたものだ。しかし、この本は男女共にテストステロンと亜鉛が減ることで生じる障害に焦点を充てて「熟年期障害」という言葉を用いている。
新たな語彙?のため、なかなか類書と比べて目立ちにくく、ターゲットが手に取りづらいが内容は充実している。特にテストステロンの減少だけではなく、亜鉛の減少にも注意を向けているのが新鮮なポイントだ。テストステロンと亜鉛は切っても切り離せない関係がある。
著者:平澤精一 氏
著者の平澤精一氏は、10年以上の男性更年期障害に取り組んできた専門医だ。2012年には新宿で「マイシティクリニック」を開業し、男性更年期外来で悩める中年男性を救ってきた実績がある。
男性更年期障害(LOH症候群)がメジャーになる前から、コツコツと啓蒙や治療に取り組んできたことが分かる2013年の記事がある(参考:ドクターズファイル・平澤精一院長)
男性更年期障害と言えば「LOH症候群」で有名な堀江重郎医師や、90代で男性力バリバリの熊本悦明医師に注意が向いていたので、これほど前から男性更年期障害の啓蒙に取り組んできた医師がいるのを知らなかった。
「熟年期障害」のポイント
それでは、ここからは「熟年期障害」の中かから気になった部分、新たに学んだ部分、私がチェックしたポイントを3つほど紹介してみたい。
1:テストステロンは女性にも必要な「健康寿命ホルモン」
平澤氏はテストステロンを男性ホルモンというより「健康寿命ホルモン」と呼んだほうが良いと書いている。テストステロンは男性だけではなく女性にも大きな影響を及ぼしているからだ。
更年期以降ではエストロゲンよりもテストステロンが多くなる人もいるようだ。おばちゃんパワーが半端ないのはテストステロンのせいだったのだ。女性のテストステロンの減り方は、ゆっくりのようだが、やはりテストステロンが減少すると心身を元気にする力が減っていくことになる。
特に閉経後の女性はテストステロンの減少が、心身の元気度に関わってくるのを知っておきたい。あえてテストステロンを補充しようという女性は稀のようなので、中年以降の女性を啓蒙するためにも「熟年期障害」というフレーズを使っているのだと思われる。
84歳の女医がテストステロン補充でさらに元気になっているという記事も見つけた。ぜひ読んでみてほしい。
2:亜鉛とテストステロンの関係
男性更年期障害の本を読むと、だいたい男性ホルモン(テストステロン)をいかに補充するか、増やせるかが扱われていることが多い。しかし「熟年期障害」の中では欠かせないミネラルとして亜鉛が大きくクローズアップされているのが特徴だ。
亜鉛は免疫力を保つために欠かせないミネラルで、老化に密接にかかわっている。亜鉛が不足すると肌荒れになったり、髪が抜けたり、しわが増えたりする。また、記憶力が悪くなったり、イライラしたり、うつっぽくなったりする。亜鉛の不足は心身共に「老けたな~」と感じさせる要因になる。
老いを感じると、外に出づらくなり、人と会いづらくなり、どんどん社会性を失うようになる。そうすると、いっそうテストステロンが減っていく悪循環に陥ってしまうのだ。テストステロンの生成に亜鉛が関わっていることも知られている。亜鉛不足=精力不足であることも有名だろう。
いくら外からテストステロンを補充してあげても亜鉛が不足していると、テストステロンがモリモリ湧いてくるような生活は戻らないってことだ。テストステロンを増やすと共に、亜鉛を不足させないようにしなければならない。
平澤氏は生卵や豆腐、ヨーグルトを用いて亜鉛を増やす生活を勧めている。男性更年期障害の症状が出ているのであれば、亜鉛も忘れずに補充しよう。
3:テストステロンを増やすための生活習慣
テストステロンを増やすためには、生活習慣を整えることも大事だ。平澤氏はシンプルな方法をいくつか提案している。
お風呂に入ること
42℃のお湯に10分以上。HSP(ヒートショックプロテイン)はストレスに立ち向かう力になる。お風呂はストレス解消にもなるね!そういえば、以前、HSPについて書いた記事があった。
朝の日光を浴びること
体内時計が働くとテストステロンがスムーズに分泌されるのだとか。テストステロンが精力的に造られるのは、夜中の1時~3時とのこと。いわゆる睡眠のゴールデンタイムだ。
ゴールデンタイムにぐっすり眠るためには、定時に睡眠にいざなうメラトニンが必要。メラトニンがちゃんと出てくるためには、朝に日光を浴びてセロトニンが分泌される必要がある。この辺はセロトニンについて集中的に勉強している時に学んだな。
スポーツ・勝負ごとにチャレンジする
身体を動かすこと。特に勝ち負けがあるスポーツに取り組むとテストステロンがアップする。ただ、そこまでできない人はスポーツ観戦も良い。
人間にはミュラーニューロンがあるので、感情移入して応援していると、自分の闘争心にも火がつく。つまりテストステロンアップするのだ。スポーツ観戦でも良いというのは新鮮だった。
「熟年期障害」は、こんな人におすすめ
終わりに
「熟年期障害」というフレーズを使うことで、男性更年期障害(LOH症候群)が男性だけの病ではない!ことを知らせたい意図を感じる。それにしても、テストステロンがこれほど大切なホルモンだというのには、これまで、全く無自覚だった。
心身の不調から、40代にして男性更年期障害やテストステロンに興味を持つようになったが、この出会いは、これから先の人生にとって有意義だったと思える時が来るに違いない。
大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq)