見出し画像

プロのジャーナリストに学ぶコンテンツの生み出し方 調べる技術・書く技術

コンテンツを生み出すこと、書くことには無限の興味がある。読むことと、書くことは、一生涯楽しめる趣味だ。専業の作家にはなれないけれど、kindle作家として、コツコツ一か月に一冊ずつくらい本を出せればいい。なんて面白い時代になったものだろう。

コンテンツの生み出し方については、ジャーナリストの調べ方・書き方を学ぶのがよさそうだ。こんな内容のつまった本が、安価で買えるんだから、新書っていいよね。

オリジナルなコンテンツを生み出すうえで、私が参考にしたいなと思った個所をいくつか引用してみたい。

チャップリンのステッキ

チャップリンの時代にはコメディアンはたくさんいて、彼のシンボルマークである、山高帽も、メーキャップも、付け髭も、だぶだぶのズボンも、多くのコメディアンがすでにしている格好だったそうだ。そんな中、チャップリンが、当時のコメディアンの中で一歩目立つようになったグッズが「ステッキ」だった。

「チャップリンが違っていたところが、ひとつだけある。それは、ステッキを取り入れたことだ。あの1本のステッキこそ、山高帽や付け髭やドタ靴に統一感を与え、今まで見たこともないコメディアンが出現したと観客に印象づけたというのである。

テーマを決めるときには、このチャップリンのステッキを見つけさえすればよい。本来の意味での「独創」では無いけれどそれまでのくすんでいた色合いががらりと変わって、鮮やかな印象をもたらすだろう。読者の側には、それが「独創」と受け取られるのである。」(P15-16)

誰も思いついていない独創的なものなど、もはや誰も持っていない。違いは、本当に小さな一点に過ぎない。そして、その一点こそ、自分と他者を差別化するものになる。

例えば、著者の野村氏は「コリアン世界の旅」を書いた時に、日本の中のコリアンという著作は非常に多いものの、世界の中のコリアンを取り上げたテーマはないことに気づく。在日を中心にすえながらも、海外に在住していくコリアンを追っていくルポは新しい視点を開いた。

ほんのちょっとの違いがオリジナルになるというわけだ。

需要が多いテーマを選んでも、結局、みんなと同じだから、アクセスもなければ、成果もないわけだ。自分にとってチャップリンのステッキ。ひとつ加えることができる、新しい視点は何かを探してみよう。

「原体験」こそコンテンツの源

オリジナルな視点を探すのに役立つのは外の世界ではなく、自分の中を見つめることだ。自分自身のこれまでの経験。とりわけ、幼いころから今までの歴史(原体験)の中に答えがある。

「自分は何者なのか。なぜノンフィクションを書くのか。この2点だけは、若いうちに突き詰めて考えておこう。その答えはたいてい、自分の出自や生い立ち、中でも思春期までの体験に求められるはずだ。それを、以前は「原体験」と呼んだ。」

「以前、吉行淳之介は、身の回りに殺人犯がいたり、妹が娼婦をしていたりする作家のことを逆説的に「サラブレッド」と呼んだが、読者の大半はそのような「サラブレッド」ではあるまい。だが、何かを書きたいなら、現在の自分を形作った根っこにあるものを、しっかりとつかまえて、よくよく噛みしめておきたい。フィクションであれノンフィクションであれ、書き手が立ちかえれるところはそこしかない。」(P25 一部抜粋)

サラブレッドとは面白い表現だ。一般的にいえば、超不幸な生い立ちに見えるかもしれないが、コンテンツを生み出す側にまわれば、それは一般的には経験していないことを語れるチャンスと言える。

「究極の鍛錬」という本によると、才能がある人などいないそうだ。つまり子供の頃から天才なんて人はいなくて、幼少期からどれくらい「鍛錬」されてきたかがポイントだという。(参考:生まれつきの天才はいない【書評】「究極の鍛錬」 ジョフ・コルヴァン

たとえば、タイガーウッズは、父親のアール・ウッズから生まれた瞬間からゴルフ教育を受けて育ったし、モーツァルトも同じ、イチローだってそうじゃない?親がどれくらいその道に熱心に進ませようとしたかで、だいたい人は形作られているという。

私とタイガーウッズの違いは父親がアールウッズではないことだってさ。まあ、親に恵まれなくても、幼少期から何に関心を持ち、何に毎日ふれ、何を考え、これが人のもつ根っこになるのは間違いないので(望んでも望まなくても)。そして、それ(原体験)は人と被ることがないテーマになる。

コンテンツを生み出す人は、自分の内面をのぞき込むことから逃げるわけにはいかない。その前提があるうえで、とにかく本を読むことが大事だ。

濫読で自分の中に「貯水池」を作る

「最後におすすめしたいのは、やはり濫読である。とくに、よいものをたくさん読むことだ。・・・いつの間にか自分の中に「貯水池」のようなものが出来上がっているのに気づくだろう。貯水池に水がだんだんたまっていき、あふれ出たものが、自分のテーマなり、自分の表現なりになる。そういったイメージが、私にはあるのだ。」(P241)

野村氏は、本に限らず、映像でも舞台でも、旅でも、新たなインプットに貪欲であるように勧めている。

そのうちに、貯水池がいっぱいになると、とめどもないアウトプットが始まるのだ。新たなものとの出会いがなければ、人に伝えるべき情報もない。澱んだ水貯は、多くの人に喜びを与える水源にはなれない。とにかく自分の中に、どんどん蓄えていき、それが自然に溢れ出るのをまつ。これもまた面白い。

ネットの中の情報だけでは、どうしても気持ちが枯渇してくる。気持ちが枯渇してしまえば、もはやコンテンツなんて生み出せない。外に出ないことには、新たなものをネットを通して表現などできない。私の人生は5割が本でできている。

kindle読み放題
kindle読み放題は読書体験を変えてくれた。電子書籍に抵抗さえなければ、素晴らしいサービスであることは間違いないと思う。(参考:Kindle読み放題は読書体験を変える!1か月100冊読書術

図書館
少し古い本でいいなら、図書館も素晴らしい。私の地区では10冊・2週間借りられるけれど、市内中の図書館から取り寄せて近くの図書館に入荷した本を読むことができる。Amazonでは絶版だったり、高額だったりする本もあっさり入手できるのが図書館のいいところだ。だいたい、常に図書館で借りた10冊の本は手元にある。(参考:図書館を活用して、大量に本を読もう!上限10冊を回し続ける日々。

NHKオンデマンド
テレビは家にない。もう20年くらいテレビなしで生活している。でも、NHKのドキュメンタリーは最新情報がすぐにわかるし、苦手な分野(理系)も分かりやすく扱ってくれるので見ておくととても勉強になる。(参考:インプットてんこ盛り。良質な情報源としてNHKオンデマンドに登録。

私の場合は、人の体験を聞くのが好きだけど、積極的にいろいろ話にいったり、インタビューしたりはしたくない(そこらへん出不精なのだ)。でも、本なら引きこもり気味の私にも多くの刺激を与えてくれる。この本もそうだけど、成果を上げ続けてきたジャーナリストと話す機会なんて普通ない。だからこそ、読書から始められる出会いって大きい。

自分で調べて書くということ

ジャーナリストがすごいのは、自分自身で追っていくテーマを見つけて、情報収集して、調べて、書くこと。1冊の本を書くのにも相当のエネルギーが込められている。圧倒的な事実(証拠)に裏打ちされたコンテンツというのは、ずっと残っていく。ノンフィクション作家ってすごいわ~と改めて思ってしまった。

よくわかっているんだけど、本当に価値あるコンテンツを作り出すためには、その何倍ものリサーチやインプットが必要で、ここが、コンテンツを気軽に作ろうと思う人が固まっちゃうポイントなんだよなぁ。だって何書いていいか、ほんとにわからなくなるもん。

私の場合、kindle本としてリリースする作品には、必ずしもここまでのハイレベルは求められていないのかもしれないけれど。もしかすると自分が死んだあとにも一生残るかもしれない情報、ネットの海を彷徨うかもしれないコンテンツなのだから、一期一会のつもりで、一生懸命コンテンツを作成したい。

#kindle出版 #ジャーナリスト #野村進 #知的生産術  

大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq