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ADHDは仕事が続かない?モチベーションを上げる仕事の作り方。

ADHDは知的な能力は必ずしも低くはない。自分の好きな分野にハマれば、周りが驚くような成果を上げることも少なくない。過集中(集中しすぎる)という状態に陥ることもある。しかし、その一方で、興味がない分野の仕事には、まったく身が入らず、ミスだらけで、気力を失くしていくことになる。死んだ魚のような目になるので、すぐにわかる。

ADHDは、一つの職場に長くいることができない。多動だし。特性に合わない仕事につくと、すぐにやめてしまうだろう。なかには、もうやめ癖ができてしまっているADHDもいるだろう。
こういうADHDの特徴って、同僚や上司から見ると、ほんとに、自分勝手で苛立たしいと思う。与えられる仕事が、好きな仕事ばっかりということはあり得ないわけだから、ちょっとは努力してよねと思うわけだが、それは当事者も痛いほどわかっているのだ。

仕事を選ぶ時には、こういう自分の特性が分かっているので、さんざん迷ったり苦しんだりするだろう。ADHDは、モチベーションがなくなった仕事を続けることができない。

私も何社も渡り歩いてきたので、ADHDと仕事・モチベーションに関してはとても興味がある(参考:ADHDに合う仕事、合わない仕事。私の場合。)。できれば、全ADHDが、自分の適性に合う仕事に就ければ言うことなしなのだが、そううまくはいかないだろう。そこで、考えたいのが今日のテーマだ。

仕事とモチベーションの4つのパターン

発達障害専門のキャリアカウンセラーの本の中で、この点が論じられていた。ADHDは特に、仕事のモチベーションが低いと全く実力を発揮できないので適材適所に就けていくことが必要。
この本の中では、主に上司がADHDの部下に仕事を割り振る方法が扱われているのだが、これを拡大解釈しながら、大人のADHDが自分で自分の仕事を選ぶ方法について書いてみたい。

会社の仕事は、以下の4つの業務に分けて考えると分かりやすい。

1:「好き」で「できる」仕事
2:「好き」だけど「得意」ではない仕事
3:「好き」ではないけど「できる」仕事
4:「好き」でもなく「やりたい」わけでもない仕事

上位と下位は省く

当然ながら「好き」で「できる」仕事であれば、モチベーションはかなり高い位置で保たれるし、成果も上がっていくだろう。こういう仕事にありつければベストなのだが、実際には、そんなにぴったしカンカンのマッチングは実現しない。
どんなに好きな仕事でも、嫌いな面がある。そういう面も含めて仕事だ。遊びではない。そのことを考えると「好き」と「得意」が無条件に両立する仕事はないと考えた方が現実的だろう。

また、当然ながら「好きでも得意でもない」仕事にはモチベーションが高まらないだろう。私の場合だと、レジ係とか、コンビニの店員とか、マルチタスクが求められて、テキパキ動かなければならないような仕事は死ぬほど苦手だ。こういう生活するくらいなら低賃金で倍の時間働いたほうがマシだ。
ADHDの場合、できることできないことの凸凹が激しいから、本当にできないことであれば職種自体、あきらめるのも肝心だ。

さて、可能性があるのは2番目・3番目の選択肢だ。やりようによっては、この二つの業務は「化ける」可能性を秘めている。

「好き」だけど「得意」ではない仕事

これは、本人はとても好きだけれど、成果には結びつかない仕事のことだ。「下手の横好き」という言葉がある。(ちょっと悲しい)。
趣味ではなく利益を生み出す活動をしている限り、この分野の仕事を続けられることは少ないだろう。いくら好きでも、成果が上がらなければフラストレーションがたまるものだ。また、会社にとっても、成果に直結しない社員を雇い続けるのはムリだ。

しかし、著者の木津谷さんは、この種の仕事は、発達障害に適している可能性が高いという。「(発達障害にとって)一番良いのは「好きだけど、得意とはいえない」ことを継続してやることで、「好きだし、得意である」になるようにすること」だという。それ、なかなかハードル高いよねと思うけど。もし、本当に開花するならやってみたい。

私の場合だと、実は、サイト作成は「得意とは言えない」けれども、けっこう「好き」な仕事なのだ。しかし、PC音痴も相まって、ワードプレスの設定やカスタマイズで詰まってしまうと、一日を棒に振ることがある(まあ、みんなそうなんだけど)。時間がない時は、それが嫌。しかし、木津谷さん曰くは、それが得意分野になるまでやり込めというのだ。

これもまた逃げない覚悟が必要になり、なかなかハードだ。途中経過の中では、絶対死にそうになる(逃亡したくなる)。それでも続けようと思えるのであれば、スキルは絶対に育ってくる。とにかく「好き」のパワーで突破するのは、力業だがやってみる価値はある。

本当に「好き」なら、その仕事に3年は打ち込んでみるのも、一つの方法だ。少しでも可能性があるなら、芽が出始めるだろう。

さて、もう一つの業務も「化ける」可能性があるものだ。

「好き」ではないけど「できる」仕事

周りから見ると成果が上がる仕事は、適職に見えるし、合っている仕事だと思えるだろう。しかし、本人から見れば、本当にやりたいことをやっているわけではないので、だんだんストレスがたまってくる。ADHDは無理が効かないので、どこかでショートしてしまう可能性も捨てきれない。

しかし、この仕事も木津谷さんに言わせれば、化ける可能性があるという。できるわけだから、その成果が、本人の快感と結びつけばよいのだ。そこで、大事なのが、人から認められること。

「発達障害の人は自己評価が低い人が多く、実際にできている仕事でも「たいしたことはない」と思いがちです。」

「意外と重要なのは、人に感謝される(人の役に立つ)という部分」

「人に感謝される(人の役に立っている)という実感を持つことで、その仕事が「好き」になります。「好き」だから頑張ることにより「得意」となってアウトプットが増え、再び正当な評価を受けることで、さらに頑張るという正のスパイラルが生まれ、当事者の成長に結びつくのです」

(引用:職場のあの人、もしかして発達障害?と思ったら 木津谷 岳  秀和システム P121)

本質的な説明だ。ADHDのことをよくわかっている。ADHDは褒められたり、感謝されたりするのが大好きだ(みんなそうだろうけれど)。そこで、できる仕事を褒められるうちに、その仕事が「好き」になることは、大いにあり得るということだ。

私の場合で言えば、セミナー講師やプレゼンなどがこの分野に当てはまりそう。最初は、足はガタガタ震えるし、どもってしまうし、言葉がスラスラ出てこないし、ほんと悪夢を見続けるほど大変な仕事だった。
しかし、本人の「苦手」という感覚よりも、周りから見ると、その手の仕事は「できる」仕事とみなされたようだった。私の場合、褒めて育ててくれる上司に恵まれたり、オーディエンスからの良い反応に恵まれたりするうちに、どんどん向上心が出てきて、徹底的な準備や練習をするようになった。

1つのプレゼンに20~30時間かけていることも少なくない。(こういう時には、ADHDの過集中が役立つ。)その結果、やればやるほど、評価が上がるので、結局、それは「好き」な仕事になっていったという経緯がある。自分が、それほど「好き」と思えなくても「できる」仕事であるなら、そこを突破口にして、それを天職にしてしまう手があると気づけた。

モチベーションは大事

ADHDにとっては、一つの仕事をし続ける(職場定着)のうえで、モチベーションの問題は避けて通れない。「仕事なんてつまらないものだけれど、みんな我慢してやっているんだ」と上司が檄を飛ばしても、委縮するだけで、ADHDのモチベーションが高まることはない。

ADHDは、どんな仕事にしても、自身のモチベーションをいかに高めるかということを真剣に考えるべきだ。

そういえば、以前取り上げた岩本氏は、データ分析の業務を「天職」ととらえるようになった。それほど好きというわけではなかったようだが、とにかく集中できる仕事、フロー状態に入る仕事であるということから選び出したのだった。

最初は、好きだろうが、嫌いだろうが、できようが、できなかろうが、「これ、やりたいわ~」と本人が思えば(つまりモチベーションが高まれば)、ADHDは仕事にのめりこむことだろう。そして、大いに重宝される存在となるはずだ(ADHDと仕事中毒の問題は、またいずれ)。

#大人のADHD #ADHD #ADHDと仕事 #モチベーション  


大人のADHDグレーゾーンの片隅でひっそりと生活しています。メンタルを強くするために、睡眠至上主義・糖質制限プロテイン生活で生きています。プチkindle作家です(出品一覧:https://amzn.to/3oOl8tq