「これが私なんだ」：子どもの自己肯定感を高める方法と心の成長

笠原彰　とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　プロメンタルコーチ　作新学院大学教授

2023年9月11日 11:18

「ほめる子育て」と「叱る子育て」の中間に位置する「認める子育て」について考察してみましょう。自己肯定感とは、自分を好きになる心の状態や、自分は十分で、自分らしくいて良いという感覚を指します。

「自己肯定感が高い」と聞くと、自分に自信があるような人物を想像するかもしれませんが、そうではありません。自己肯定感の高い人は、自分の長所だけでなく、短所や欠点を隠さず、また、それを卑下することなく、自分を受け入れることができる人です。

この自己肯定感を持っていると、人は生きる力を感じることができます。子どもの自己肯定感を高めることは、将来的に非常に有益であり、早い段階から育てることが推奨されています。具体的には、2歳から4歳の間が、この感覚を養いやすい時期とされています。

自己肯定感の育成によって、次の3つの力が発揮されます。

新しいことに対して挑戦する勇気。
困難や障壁を乗り越える持続力。
他者の感情や立場を尊重し、思いやる力。

これらは、人が自分らしい人生を歩む上で必要不可欠な要素です。

肝心なのは、子どもの自己肯定感の養成には、親や家庭の役割が極めて大きいということです。特別な技術や方法を学ぶ必要はありません。日常のコミュニケーションの中で、子どもにかける言葉の選び方を意識するだけで十分です。具体的には、命令や禁止の言葉よりも、子どもの気持ちや行動を受け入れる言葉を選ぶことです。

心理学的に見ると、子どもの行動や感情を「認める」ことは、その子の自己肯定感を育む大切なステップです。「認める」とは、子どもの行動や感情を正当化することではなく、その存在を受け入れることを意味します。これは、単なる「ほめる」行為や「叱る」行為とは異なります。

「認める」ことで、子どもは自らの行動や感情に自信を持ち、多様な価値観や考え方を受け入れる柔軟性を育てることができます。このような育て方は、子どもが将来、どんな環境や状況にも適応し、自分の人生を主体的に歩む力を身につけるための基盤となります。

特定の危険な状況では、まずは子どもの安全を確保することが最優先です。しかし、それ以外の場面では、「認める」言葉かけを心がけることで、子どもの成長と自己肯定感の養成に貢献することができるのです。

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