発言の自由：職場における心理的安全性の重要性

笠原彰　とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　プロメンタルコーチ　作新学院大学教授

2023年12月16日 10:43

心理的安全性とは何か？

正しい方向に進んでいないと思うことについて、職場で発言するのは難しいかもしれない。他の人が同意しなかったらどうしよう？すぐに打ち切られたらどうしよう？あるいは、上司が今後のプロジェクトであなたの助けを求めてこなくなったら？このような反応の可能性を心配しているなら、心理的安全性が存在しない可能性がある。

心理的安全性という言葉は、職場に関する会話で耳にする機会が増えてきた。ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンドソン教授は、20年前にこのトピックの研究を始め、"チーム心理的安全性 "という言葉を作り出した。ビジネスの世界ではしばらく眠っていた言葉だが、最近それが変わりつつある。そして今、この言葉は職場で交わされる普通の会話に取り入れられている。かなりポピュラーになり、重要なものとして認識されるようになった」とエドモンドソンは付け加えた。

しかし、心理的安全性とは何なのか？自分の職場に心理的安全性があるかどうか、身を挺することなく知るにはどうしたらいいのだろうか？

心理的安全性とは何か？

エドモンドソンはそれを簡単に説明する。

つまり、批判されたり不当な扱いを受けたりすることを恐れることなく、自分の考えやアイデアを安心して共有できるということだ。しかし、重要な点は、心理的安全性は一個人から生み出されるものではないということだ。それは、リスクを冒し、アイデアや懸念を表明し、質問し、間違いを認めても構わないという、チーム、部署、または組織の支部の複数のメンバーによって共有される信念である。

「グループ間で共有される重要な信念のひとつは、率直に発言したり、助けを求めたり、間違いを認めたり、反対意見を述べたりすることが安全だと感じられるかどうか、あるいはもっともだと思えるかどうか、期待されているかどうかである」とエドモンドソンは言う。「心理的安全性とは、仕事と関連性の高い行動がすべて可能であると感じられる環境を表す。
"素直さが許されれば、意見が合わないときや、物事が完璧にうまくいかないときがあることは保証します"
エイミー・エドモンドソン、ハーバード・ビジネス・スクール教授

心理学教授のリュドミラ・プラスロヴァは、心理的安全性という概念に走り、それが争いを起こさないことを保証すると間違って信じている人がいると言う。

「エドモンドソンは言う。「率直に話すことを許可されていれば、意見が食い違ったり、物事が完璧にうまくいかなかったりすることもあるはずだ。

そのような状況では、それは学習の機会となり、決して誰かが貶められるようなことはない。

心理的な安全性があることをどうやって知るのか？

エドモンソンによれば、悪いニュースと良いニュース、質問と発言、成功の報告と失敗の報告の比率が健全であることを確認するのに役立つという。

しかし、自信のない人のために、エドモンドソン氏のウェブサイトには7つの質問をする簡単なアンケートがあり、強く反対から強く賛成まで選ぶことができる：

このチームでミスを犯しても、それが咎められることはない。
このチームのメンバーは、問題や困難な問題を提起することができる。
このチームの人々は、他人と違うことを受け入れることがある。
このチームでは、リスクを冒しても大丈夫です。
このチームの他のメンバーに助けを求めることは難しくない。
このチームでは、私の努力を故意に損なうような行動をとる人はいない。
このチームのメンバーとともに働くことで、私のユニークなスキルや才能が評価され、生かされる。

プラズロヴァは、心理的安全性の解釈は人それぞれであり、その解釈は、反動があっても正直に話すことができたかどうかというその人の歴史によって大きく左右されると指摘する。しかし、集団の中で一人が心理的安全性を持っていないということは、全体として心理的安全性を持っていないということになる。

最初はその考えが恐ろしいかもしれないが、自分の声が歓迎されていないと自動的に決めつけるのではなく、試してみるべきだとエドモンドソンは言う。

「違う視点から発言したり、助けを求めたり、懸念事項を指摘したりする微小なリスクを取って、何が起こるか見てみることだ」とエドモンドソンは言う。「多くの場合、その反応は感謝されるでしょう」。

なぜ心理的安全性が職場にとって重要なのか？

「理論的には、組織は何かがうまくいっていないとき、それをキャッチして修正できるように、それを知りたいと思うはずです」とプラスロヴァは言う。「人々が声を上げなければ、問題は膿みます。それは望むところではありません」。

それに加えて、イノベーションはそれにかかっている。

「リスクを冒して新しいことに挑戦する人が必要なのです」とエドモンドソンは言う。「労働者は、それが可能だと感じなければ、そうする可能性は低くなる」。
「理論的には、組織は何かがうまくいっていないとき、それをキャッチして修正することができるように、それを知りたいと思うはずです。人々が声を上げなければ、問題は膿んでしまう。それは望むところではありません」。
ルドミラ・プラスロヴァ、心理学教授

心理的安全性は、チームメンバーの意欲やモチベーションの向上につながる。従業員は、報復を恐れることなく、安全な環境で質問や懸念を共有できることを知っている。そのため、ブレインストーム・セッションはより良いものになる。自分の意見が正当で重要なものだと感じ、「くだらない質問」という考えは門外不出となる。その結果、継続的な学習と改善の文化が育まれるのだ。

「持っているに越したことはない」とエドモンドソンは言う。「私の主張は、不確実な世界でのパフォーマンスは心理的な安全性にかかっているということだ。もし人々の声を聞かなければ、あらゆる種類のパフォーマンス低下のリスクがある。

さらに、もし人々が心理的な安全性を感じられなければ、最終的には安全性を感じられる会社に移るだろう。

「プラズロヴァは言う。「最もイノベーティブな人材は、そのような環境では働こうとしないのです」。

心理的な安全性をどのように作り出すのか？

特に、心理的な安全が確保されていない職場環境に根深い問題がある場合は、一朝一夕にはいかない。

「エドモンソンは言う。「問題は、用心深さは自分を守るかもしれないが、チームに害を及ぼす可能性があるということだ。誰もあなたを怒らなかったし、反対もしなかったから、あなたを守ることができたが、もしチームから連絡がなければ、それはチームに害を与えることになりかねない。各人が、他の誰かが気づいたり、誰も思いつかなかったような観察眼を持っていることは保証する」。

しかしエドモンドソンによれば、心理的に安全な環境を作るために必要なことは、良いマネジメントを実践するために必要なことと同じだという。明確な規範と期待を確立すること、オープンなコミュニケーションを奨励すること、従業員の話に積極的に耳を傾けること、従業員をサポートすることなどだ。

それに加えて、模範を示すことも有効だ。マネジャーがオープンで誠実なコミュニケーションをとれば、他のマネジャーも楽になる。

笠原彰心理学的分析：

心理的安全性の概念
心理的安全性とは、個人がリスクを冒しても、批判や否定的な結果に対する恐れなしに意見や考えを自由に表現できる環境を指します。この概念は、チームダイナミクスや組織文化に深く関わっており、個々の従業員だけでなく、チーム全体の相互作用に影響を及ぼします。

心理的安全性の重要性
エドモンドソン教授の研究によると、心理的安全性はチームのイノベーション、学習、パフォーマンスの向上に不可欠です。この環境が存在することで、従業員は失敗を恐れずに新しいアイデアを提案し、問題を指摘し、建設的な批判を受け入れることができます。

心理的安全性の欠如による影響
心理的安全性が不足している職場では、従業員は自己検閲を行い、重要な情報の共有を控える可能性が高くなります。これは、問題の未解決やイノベーションの阻害につながる可能性があります。また、従業員のストレスや不満が増加し、職場離職率の上昇にもつながります。

心理的安全性の促進
心理的安全性を高めるためには、組織が積極的なコミュニケーションを奨励し、オープンなフィードバック文化を育むことが重要です。リーダーやマネージャーが率先して率直さを示し、失敗を学習の機会として捉える姿勢を示すことで、他のメンバーも安心して意見を表現できるようになります。

個々の経験と心理的安全性の認識
プラズロヴァ教授の指摘によると、心理的安全性の認識は個人の過去の経験に大きく依存します。過去に否定的な経験をした従業員は、新しい環境でも同じような反応を予測し、自己制限する可能性があります。このため、心理的安全性は個人の認識だけでなく、組織全体で共有されるべき価値観となります。

結論
心理的安全性は、職場におけるチームの協力と創造性を促進するための重要な要素です。組織は、オープンなコミュニケーションを奨励し、従業員が安心して意見を表明できる環境を提供することで、全体のパフォーマンスと満足度を高めることができます。

笠原彰プロフィール：

作新学院大学メンタルトレーニング教授
とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員
プロメンタルコーチ
自己肯定感養成プロコーチ
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健康運動指導士
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