見出し画像

アプリ活用によるマインドフルネスの効果を検証!セルフメンタルケアにおすすめ

最近では日本においてもマインドフルネスのアプリが増えてきました。
しかし本当にスマホのアプリで効果があるのだろうか、と疑問に思う人もいるでしょう。その効果が数値やデータで表しづらいものなので、効果のほどに疑念をもつのも当然です。
そこでこの記事ではイギリスとドイツが行った、アプリを活用したマインドフルネスの研究結果をご紹介します。

「非科学的アプローチ」というイメージを払拭する

「マインドフルネス」という言葉は、日本ではまだ聞きなじみがないかもしれません。
当社が2021年人事担当者向けに行った調査によると、「マインドフルネス」という言葉を知っているかという質問には、全体の55.9%がマインドフルネスに対して十分な理解を持っていないことがわかりました。

当社調べ「テレワーク実施後の従業員のメンタルヘルスの状況に関する調査」より抜粋

マインドフルネスとは、瞑想によりその瞬間に集中することで心身をリラックスさせたり、不調を改善したりするものです。マインドフルネストレーニングにより、うつ病やPTSD、睡眠の改善などさまざまな効果があることは世界中で実証されています。
実際にマインドフルネスは海外では広く活用されており、特に欧米では医療やビジネスの現場、政府機関などでも取り入れられています。
GoogleやYahoo!などの大手企業が、マインドフルネスを取り入れていることは有名です。

これまでの多くの実証研究では、毎日数時間のトレーニングをグループベースでインストラクターの指導のもと行い、8週間前後の調査期間をみっちりマインドフルネスに向き合うというような内容でした。
しかし、オンラインベースやアプリを用いたマインドフルネスが世の中に広まりつつある中、アプリなどのマインドフルネストレーニングは本当に効果が得られるのでしょうか。
マインドフルネスの瞑想アプリによる効果のほどを実際の研究データをもとに検証して紹介します。

仕事のストレスと幸福感に影響

ひとつ目の研究結果は、イギリスで行われ、それぞれ900人以上の従業員を抱える大企業2社(A社は製薬会社、B社はハイテク企業)を対象にした実験です。
対象者は、一般向けのマインドフルネスアプリ、Headspace®(www.headspace.com)を用い、1日に1度瞑想をおこなう、というものです。8週間の間に心理社会的指標や、1日の労働時間、血圧などを測定しました。そして、16週間後にフォローアップ調査をおこなったものです。

調査の詳細は以下のとおりです。

参加者は、英国の大企業2社の健康な従業員238名で、マインドフルネス瞑想アプリ実践条件または待機コントロール条件に無作為に割り付けられた。アプリでは、10~20分のガイド付き音声瞑想が45回分録音されていた。参加者は1日1回の瞑想を行うよう求められた。ベースライン時と8週間後に心理社会的指標と1日の労働時間の血圧を測定し、介入開始から16週間後にフォローアップ調査を参加者に電子メールで送信した。

Sophie Bostoc他(2018)
Mindfulness on-the-go: Effects of a mindfulness meditation app on work stress and well-being」より当社翻訳

▶苦痛の改善や幸福感により従業員満足度が上がった

調査期間中、参加者は8週間で平均して約17回の瞑想をおこないました。

そしてコントロール郡と比較すると、以下の点で有意な改善が見られました。8週間の介入期間中に有意な改善が得られた効果は以下のとおりです。

主観的幸福感(global well-being scaleおよびdaily positive emotions ratingsによって測定)、心理的苦痛(不安症状および抑うつ症状)、仕事の負担、職場のソーシャルサポート、および血圧であった。幸福感、日々のポジティブな感情、不安症状、抑うつ症状、仕事の負担、職場のソーシャルサポートについて、時間によるグループ間相互作用が有意に見られ(すべてp<.05)、介入グループは、ベースラインから主要評価ポイント(t2)までにこれらの結果において有意な改善を報告した。

Sophie Bostoc他(2018)「Mindfulness on-the-go: Effects of a mindfulness meditation app on work stress and well-being」より当社翻訳

さらに16週間のフォローアップ評価では、幸福感と仕事に対するストレスへのプラス効果が持続していることがわかりました。

▶アプリを使用する回数が多いほど効果が高い

この調査では、マインドフルネスアプリの瞑想セッションを多くおこなった人ほど、より健康的な効果が得られたのです。
逆に、アプリによる瞑想を10回未満しかおこなわなかった人に関しては、効果が見られませんでした。
またこの研究結果では、マインドフルネスアプリを実践することで、従業員の満足度につながったこともわかりました。

中年成人の社会人サンプルにおいて、モバイルアプリで配信される短いマインドフルネス瞑想を8週間、週に何度も聞くことで、幸福感が向上し、苦痛が減少することが示された。特に、短いガイド付きマインドフルネス瞑想セッションを実践することで、ストレス軽減に関する最低限の教育を受けた場合と比較して、グローバルな幸福感、日々のポジティブな感情、不安や抑うつ症状、仕事の負担、職場のソーシャルサポートが改善された。グローバルな幸福感、抑うつ症状、仕事の緊張の改善は、主要な介入エンドポイントから2ヶ月後も持続した。また、瞑想の実践量とアウトカムの改善との間には用量反応関係が認められ、最も多くの瞑想セッションを終えた参加者が、最も大きな健康上の利益を得ていた。

Sophie Bostoc他(2018)「Mindfulness on-the-go: Effects of a mindfulness meditation app on work stress and well-being」より当社翻訳
Sophie Bostoc他(2018)「Mindfulness on-the-go: Effects of a mindfulness meditation app on work stress and well-being」より当社作成

燃え尽き症候群「バーンアウト」を防止

ふたつ目にご紹介する検証は、ドイツ語圏の500人以上の意思決定者を対象とする最近の調査結果です。
この検証は、マインドフルネスアプリ「7mind」を使用して行われ、内容的にはそれぞれの異なるテーマで展開される、各7分間の練習セッションでした。
現代ビジネスの現場では、過度なストレスからの燃え尽き症候群=バーンアウトが問題となっています。バーンアウトになってしまうと、その後の就業自体が困難な状態にもなりかねません。そんなストレスをうまく調節するために、マインドフルネスアプリの活用によるトレーニングが注目されています。

調査の参加者は定職についている男女で、2週間のアプリ使用によって検証がおこなわれました。

▶14日間のアプリ使用でワークエンゲージメントに効果

このマインドフルネスアプリを14日間使用したことで、さまざまなよい効果が得られました。

次のような点で、効果が示されました。

Hannah Möltner他(2017)「Burnout Prevention and Mobile Mindfulness: Evaluation of an App-Based Health Training Program for Employees」より当社作成

最も大きな効果は、マインドフルネスと感情的疲労に示された。しかし、他の変数であるワークエンゲージメント、仕事満足度、イノベーションと創造性、自己認知能力においても効果は得られている。(中略)本研究では、職務特異性の高い変数(ワークエンゲージメント、仕事満足度、イノベーションおよび創造性など)や、マインドフルネス構成要素との距離が大きい変数(感情的疲労、感情的知性、自己認知能力など)で良好な効果が検出可能であることが示された。

Hannah Möltner他(2017)
Burnout Prevention and Mobile Mindfulness: Evaluation of an App-Based Health Training Program for Employees」より当社翻訳

このように、アプリを活用したマインドフルネスのトレーニングはビジネスの現場においても、マインドフルネスを強化させるものとしておおいに期待ができます。

セルフメンタルケアの選択肢として「マインドフルネス」

いかがでしたでしょうか?
いままで「スピリチュアルっぽい」と感じていた方も、マインドフルネスについて、その効果をご理解いただけたかと思います。ぜひとも自分もやってみたい!と思っていただければ嬉しいです。
パソコンやインターネット環境がなくても、スマホひとつあれば簡単に実施できるのが、マインドフルネスアプリの最大のメリットです。
ぜひ、職場の昼休みや夜寝る前のひとときを利用して、マインドフルネスアプリでトレーニングをしてみてはいかがですか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?