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失語症の方とのお話の工夫、その前に④

失語症の方の家族や周囲の方への「失語症の方との接し方の工夫」として、
1.ゆっくり落ち着いて話す

2.短くわかりやすく

3.絵や漢字が伝わりやすいことがある

4.失語症の方の注意を向けて

がよく挙げられています。4回目は、「失語症の方に注意を向けて」です。

下にあるのは、毎度登場するイラストです。
失語症の方とお話をしようとしています。

この時、大切なのが、このことです。

失語症の方に「注意を向けて」もらうのも大切ですが、
今回は、お話している「私」が失語症の方に注意を向けることに
着目しています。
そんなこと、簡単なことをわざわざ強調するの? と思われるかもしれません。

しかし、周りの人、例えば病棟のスタッフがこのシチュエーションに参入してくるかもしれません。
「何してるの?」
「ことばの勉強?」

そのとき、スタッフに声を掛けられても、失語症の方に注意を向け続けられるでしょうか。
そのスタッフ相手に、別の話題で話し始めてしまわないでしょうか。

失語症になると、ことばでの「伝える」、「わかる」が困難な状態になります。
失語症の程度によりますが、非失語症者同士の会話に入ることが、難しくなります。

また、失語症の方と接するときは、表情や指差しなどのことば以外を手掛かりにすることが大切です。
失語症の方を見ていないと、大切な手掛かりを見落としてしまいます。

周りの人に話しかけられても、さりげなくかわして、
失語症の方とのお話に注意を向けるようにしたいものです。
「見られてるー」と気付いていても。


失語症の方の家族や周囲の方への「失語症の方との接し方の工夫」として、
1.ゆっくり落ち着いて話す、2.短くわかりやすく、3.絵や漢字が伝わりやすいことがある、4.失語症の方の注意を向けて
この4つを、4回に分けて説明しました。

いきなり「やってみましょう」と発破をかけるのではなく、
まず説明者自身(たいていが、ことばのリハビリ担当者になると思います)が、自分のことをよくわかっているかに辿り着きました。

「自分のこと」というのは、自分のコミュニケーションの取り方です。
それを把握したうえで、失語症の方のご家族や周りの人に説明できたらと、思います。

説明者が自分自身を手掛かりにして説明するからこそ、
それを聞いているご家族や周りの方が、
実際に「やってみようか」に繋がるのではないでしょうか。

説明するときに、テキスト通りに説明したところで、果たして失語症の方のご家族が納得されるでしょうか。
「失語症の方との接し方の工夫」は、「実践できて当然」ではありません。

「実践できて当然?」。
このことが意外にスルーされていないでしょうか。
ここに、世の中に「失語症の方との接し方の工夫」が浸透していない理由があるのかなと思います。

まず「いつもの自分の伝え方・聴き方を知ること」 から始めるのはいかがでしょうか。

そして、「失語症の方との接し方の工夫」を
一人一人が失語症の方との接し方にどのように取り入れていくのか、という過程をゆっくりとサポートする。
このことも、ことばのリハビリを担当する自分たちが、もっと考えて、トライして、磨いていくことができるのではないかと考えています。

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「失語症の方との接し方の工夫」を自分はどのようにしているのか、家族や周囲の方が実践するときのヒントとなることを考えていきたいと思いたって、4回の連載としました。

失語症の方と接することは、自分がどんなコミュニケーションの仕方をしているかに目を向けることではないかと思って書き始めました。

ここを基盤に、「失語症を持つ方のことを、世の中に知ってほしい」を伝えていこうと思います。
























































































































































































































































































































































いざ、やってみるとどうでしょうか。

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