見出し画像

5月第2便:「強い」を緩める

To涼花

はじめまして。マシュウです。普段もやもやと考えていることを、往復書簡として対話していけたら面白そうだなぁというぼやっとした提案に、快く乗ってくれた涼花さんに感謝しています!
いつもは消えてしまう「もやもやを問う対話」を、改めてお手紙として書き記すことで、また新たな発見があったらいいなと密かに思っています。(とりあえず気楽にいきましょう!)

私も少し自己紹介をしますね。私は一度社会人になったものの、仕事を辞めて大学院に戻り、現在は修士課程2年生です。
とはいえ、研究一本には絞りきれず、子どもたちと音楽をするイベントを企画したり、オノマトペで生きづらさを表現してみるワークショップを作ったりしています。
色々なことに手を付けているようにも見えますが、すべて「『名前のつかない生きづらさ』をどうしたらいいかなあ。どうするのがいいかなあ」という問いを出発点としています。

さて、早速涼花さんにお返事を書きたいと思います。
「強くなること」以外の在り方・・・涼花さんの言葉を借りれば、「弱さやままならなさを抱えながら、それを隠したり変えることなく人と関わり、社会が変わること」はできないのか、という問い。
なんというか、この問いは、いつも突きつけられている(誰から?というのは分からないけれど)ような気がしています。
折しも、私も友人と「結局大切な人を守るためには、出世して偉くなるしかないのでは?!」なんて話をしていました。

この問いを読んで、今話題の映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を思い出しましたが、ネタバレしてしまうので、ここでは紹介に留めたいと思います。
(問いを加速させる内容になっているので、もしよかったら見てみてね)

まず、「強くなる」または「強い」という言葉によって、どんな気持ちが沸き起こるのか考えてみました。
たぶん少し前の私は(社会人をやっていた頃くらいまでかな)、「強くなる」という言葉を聞くと、何か心に重たいものを乗せられたような気持ちになったと思います。

もっと努力しなきゃ
既存のルートで、のし上がらなきゃ
きれいで可愛くいなきゃ
自分で自分をコントロールできるようにならなきゃ
などなど・・・

一般的な「強い」あり方に近づかなければならない重責を背負ったような気になってしまうのです。
だから強くなることは無理だし、自分は弱いのだと感じていました。

でも、今は「強い」という言葉が意味する枠をもう少し広げてみてもいいかもしれないと思っています。
そうそう、言い忘れていましたが、私には持病があり、体が勝手に動いたり、固まってしまい歩けなくなることがたまにあります。そのため、精神障害者として障害者手帳を取得しています。
このような私の在り方は、自立していない、既存のルートで成功者になれない、という意味では全然強くないですね。むしろめちゃくちゃ弱いです。
でも、「弱いまま」でなんとか生きのびているので、これはこれで「強い」とも言えるのかなあと思うんですね。

少し「障害」という要素から離れましょう。
たとえば、友達とご飯を食べたあとに割り勘をするとき、算数が苦手すぎてお金の計算を間違えて気まずくなることがよくあります。
たとえば、心に余裕がなくて、ちょっと嫌な態度をしてしまうことがあります。
たとえば、予定を忘れたり、遅刻したり、忘れ物をしてしまうことがあります。
本当にままならなさすぎて、周囲の人には申し訳ないのですが、それでも仲良くしてくれる人たちがいます。

私の周りには、おっちょこちょいな人もいます。
のんびり屋さんもいます。
こだわりのめちゃくちゃ強い人もいます。
まったくもう!と思いつつ、私が補えるところちょっぴりフォローしつつ、これからも仲良くしたいなあと思うわけです。

こういう在り方は、「個」としての強さはないかもしれないけれど、「相補的」な強さはあるといえるのではないでしょうか。

ただ、こういった「相補的」な強さは、社会を変えうる力、誰かを守る力があるのか…と言われると、まだ分からないなぁとも思います。
たとえば、職場でしんどい状況にある友達がいるとして、仮に私が職場の上司だったら…会社の社長だったら…権力によって環境を変えたり、転職の支援をしたりという形の「守り方」ができるかもしれません。
でも、弱いままの私はそういった「守り方」はできないわけです。
だけど、美味しいうどんは作れるので、つらい気持ちの友達に夜食を作りに飛んでいくという「守り方」はできるかもしれません。

なんだか私もぼんやりした終わり方ですが、「強い」「強くなる」という言葉がもっと緩んだらいいのになあという願いを託して、涼花さんにバトンタッチしたいと思います。
お返事を楽しみにしています!

                                                                                                  Fromマシュウ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?