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日本人が作った海外ドラマ『報道バズ〜メディアの嘘を追いかけろ〜』メディアタブーに挑んだ意欲作

『ゴシップガール』や『セックス・アンド・ザ・シティ』など、ニューヨークを舞台にした海外ドラマの傑作は多いのだが、また新たな傑作が誕生した。『報道バズ〜メディアの嘘を追いかけろ〜』。本作は、なんと日本人によって作られた海外ドラマなのだ。これまで数多くの海外ドラマを視聴してきたが、日本人の製作陣、キャストによる作品というのは、お目にかかったことがない。一体どんな作品なのか?現在、コアな海外ドラマ好きの間で話題になっているということもあり、いずれは視聴したいなと思っていた矢先に、本作で監督&プロデューサーを務めている川出真理さんから直接のご連絡をいただき、視聴させてもらえる機会を得た。今回は、日本のメディアタブーに挑んだ意欲作『報道バズ〜メディアの嘘を追いかけろ〜』を紹介しよう!

『報道バズ〜メディアの嘘を追いかけろ〜』は、日本でバラエティ番組を担当していた"女子アナ"が記者を目指してニューヨークのニュースアプリ会社で働き始めることから幕を開ける。日本ではバラエティを担当していたという経歴とスキャンダルによって担当番組から降ろされたという過去から、最初は周囲から不信感を抱かれながらも、その好奇心とハングリー精神で。スクープを追いかけ、ジャーナリストとして認められていく姿を描いている。

本作はもちろんフィクションなのだが、現代の日本におけるメディア体制に一石を投じた作品である。芸能事務所との癒着によるステマ問題、政府による情報操作、さらには現代における女性蔑視問題などを浮き彫りにした内容になっており、日本のテレビドラマでは到底描くことのできない‘‘メディアタブー’’に鋭く切り込んでいる。なぜ、ニュースを伝えるのが仕事であるアナウンサーが見た目で判断されなければならないのか・・・そういった日本人が抱く‘‘美しき者こそ善’’というステレオタイプの考え方への警鐘も鳴らしている。そのほかにもSNSなどで蔓延る誹謗中傷などへの問題提起や日本人が持つLGBTQへの感情なども丁寧に描かれており、アメリカで製作された作品でありながら、現代日本に生きる人々にこそ観てほしい作品となっている。

そういったシリアスな題材であるが故に、難しい作品なのかと想像しがちではあるが、本作は意外にもコメディ要素にも充実しており、随所に箸休め的な笑いが組み込まれているのもまた面白い。さらには、自らもジャーナリストとしてニュースアプリ「報道バズ」の一員になったかのような小気味よいストーリー展開も見どころとなっており、一話20分ほどでサクッと楽しめるのも魅力的だ。後半は雰囲気がガラリと変わり、サスペンスフルな展開へと持ち込むことで、さらに視聴者をハラハラドキドキさせる。全6話という短い構成ながらも、様々な感情を視聴者に抱かせ、これぞ海外ドラマとでも言うべき魅力に満ち溢れている。

私自身もライターという立場として、取材に行かせてもらったり、ニュース記事を書かせていただくことも多いのだが、決して他人事とは思えない内容が描写されている。近年、日本でも大きく取り沙汰されているステマ問題にフォーカスした第2話で描かれているように、‘‘ヤラセ’’を容認するかのような日本人の考え方は正すべきだと私も思う。これは、日本の報道番組がこれまでにしっかりと‘‘真実’’を報道してこなかった末路なのだろう。何を信じたら良いのかわからない。安易にニュースを信じられない。そんな私たちのやり場のない想いを映像にしてくれたのが、『報道バズ〜メディアの嘘を追いかけろ〜』なのである。

『報道バズ〜メディアの嘘を追いかけろ〜』は、Amazonプライム・ビデオやTSUTAYA TVといった日本のプラットフォーム10社でリリースされている。



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