Memorandum

優れた知見を記録するための雑記帳。引用等一切不可とします。

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最近の記事

外交論

Chapter 1 リアリズム外交 (1)国際政治の本質は古代ギリシア・ローマ時代から現在まで、常にアナーキー(真の強制執行力を持つ「世界政府」「世界立法院」「世界裁判所」「世界警察軍」が一度も存在しなかった無政府的な状態)であった。 このように無政府的で不安定な国際政治状況を少しでも安定させるため、世界諸国はバランス・オブ・パワー(勢力均衡)の維持に努める必要がある。西洋では17世紀半ばから(19世紀初頭のナポレオン戦争を例外として)第一次世界大戦まで、諸大国の外交家は意

    • 企業論

      Chapter 1「アメリカはベンチャー企業の天国ではない」 (1)アメリカは1970年代以降、低い生産性が続いており、「大停滞」と呼ぶべき状況にある(経済学者タイラー・コーエン)。画期的なイノベーションも起きなくなっており(経済学者ロバート・ゴードン)、IT革命もそれほど大きなインパクトを持つものではなかった。 ⇒第一次産業革命(蒸気機関、紡績機、鉄道/1750年~1830年)、第二次産業革命(電気、内燃機関、上下水道/1870年~1900年)は経済や生活を一変させる効果

      • インフレ論

        Chapter 1 グローバリゼーションの終焉 ▲ブラックロックCEOラリー・フィンクは、ロシアのウクライナ侵攻で我々が過去30年にわたり経験してきたグローバリゼーションは終わりを迎えたと株主に向けてコメントした(「CNN」2022年3月25日)。 ▲EUジェンティローニ欧州委員は、ウクライナ危機は我々の知っているグローバリゼーションの終わりを意味すると発言した(「欧州委員会講演」2022年4月21日)。 ▲経済学者ポール・クルーグマンは、我々は1914年(鉄道、蒸気船、電信

        • 明治憲法史

          Chapter 1 「明治憲法=ドイツ憲法の受け売り」というイメージ 今日でも、明治憲法はドイツ流の欽定憲法主義を基調として、強力かつ広範な天皇大権を定めた外見的立憲主義の憲法であるという評価は一般にも流布し、学会でも根強い。 明治憲法が自由民権運動と対峙する中で、憲法制定のモデルをドイツ(プロイセン)に求めていたのは当時からの世評で、明治政府の確固たる指針でもあった。 明治憲法制定後の日本の憲法学会も、ドイツ憲法学の継受に尽力しており、明治憲法にドイツの影響が色濃く刻印され

          改革論

          Chapter 1 規制改革≠規制緩和 規制を緩和することが善で、規制を強化することが悪ではない。 本来的な規制改革とは「社会経済の実態に合うよう規制を改めること」である。 規制改革の方向性 ①規制の新設 ②規制の強化 ③規制の緩和 ④規制の簡素化 ⑤規制の廃止 規制改革のメリット ①負担の軽減(手続きの迅速化、添付書類等の軽減、行政処分の変更) ②機会の創出(制限の撤廃、対象として追加) バランスの悪い規制改革を巡る議論 改革すること自体が問題であると明らかになれば、

          財源論

          Chapter 1 商品貨幣論 貨幣とは、元々は金貨や銀貨のように、それ自体に価値があるモノを交換手段としたものであるという考え方 信用貨幣論 貨幣とは、負債の一形式であり、経済において交換手段として受け入れられた特殊な負債であるという考え方(イングランド銀行季刊誌2014年春号) 流通する貨幣は「現金通貨(中央銀行券と硬貨)」と「銀行預金」に分類される。 現金通貨は中央銀行により創造され、銀行預金は民間銀行により創造される。 民間銀行は貸出しにより、銀行預金という貨幣(