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送迎車と若い兄やん#6

デイサービスの業務の中に送迎というものがある。

軽自動車もしくはセレナやボクシーみたいな大きな車を運転して利用者の家に送り迎えをする業務で、専属の運転手がいるのだが、ちょくちょく介護福祉士や僕みたいな理学療法士が運転手になることはよくある話だ。

今日はそんな僕が運転手で送迎中のお話。

送迎車を運転していると利用者を乗せているというプレッシャーから普段の5分の1ぐらいしか喋れなくなる。と、いうのもとにかく事故せず無事に送り届けるために自分の集中力の9割を運転に注ぐからだ。

本当は利用者さんを退屈させないように7:3、6:4位にしないといけないかもしれないが僕には無理な話だ。

感度90%で運転していると周りの運転にも敏感になる。

一時停止で止まらず直進してくる軽トラや、右折でどうぞと手でジェスチャーしているのになぜか突っ込んでくる乗用車。コンビニを平気で通り抜けし、えぐい割り込みをしてくるハイエースと、それはもうカオスな道路なもんだ。

そういう車を見ると全部まとめて警察のお世話になって欲しいと激しく思う。来年の七夕にこのお願いを書いてやろうと思うくらいだ。

この前の送迎中、ツーブロックの高校卒業したての若い兄ちゃんが初心者マークをつけた軽自動車に5人乗せて楽しそうに運転しているのに遭遇した。

それをみて普段であれば、「警察につかまんねぇかなぁ」と思うのだが、その日はなぜかその軽自動車に懐かしさを感じた。

こんな時代もあったなと。

専門学校時代、近くのカラオケに行くために車で約1時間かかった。当時車を持っている学生は少数で僕らのグループは1〜2人しかいなかった。授業が終わり12人くらいでカラオケに行こうってなったのに車は軽自動車2台しかない。

必然的に1台の軽自動車に5人乗り+トランクに1人のるという凄まじい乗り方をしていたのだ。

今考えれば正気の沙汰じゃないな。おかま掘られたら確実に死んでいたし、警察に捕まったら手品のハンカチのようにわらわら軽自動車から人が湧いてきて警察も迷惑であったであろう。

そんな過去の自分と照らし合わせてみたらあの若い兄ちゃんは今が一番楽しいのかな。

別に軽自動車に5人乗っても迷惑はかけてないか。最初の軽トラやハイエースの方がよっぽど悪質だ。

「無茶なことしますよねw」「若いからだな」
若さというのは時には世の中を良くする武器となるが人を貶める凶器にもなる。

致命的な失敗というのはなかなか少ないと思うが、良いこと悪いことの判断は間違えないようにしないとな。

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