見出し画像

小さなチームを立ち上げて、事業を軌道に乗せるために実践したこと - プロジェクト体験談

過去の記事を再編集、過去の自分の文章と向き合うは良いもんだ。そして過去の自分と対話をしながら整理していくと新しい発見もあります。

そして今の自分の状況への「問い」でもあります。

チームをうまく軌道に乗せるってどういうことだろうか?
組織って何だろうか?
事業を立ち上げ、成長させるってどういうことだろうか?

この「問い」に対して5年前の自分が何をやったのか?その試行錯誤した内容を以下の構成で整理しました。

1章:はじめに
2章:チームを立ち上げる
3章:事業を立ち上げる
4章:スタッフのマネジメント
5章:組織の中でチームを運営するということ
6章:マーケティング活動
7章:丁寧に整えていく

---

1章:はじめに

2016年7月に「おかいもの研究室」というユーザテストを軸にしたUXコンサルティングサービスをNHNテコラス株式会社で立ち上げました。その後2018年6月にNHN JAPAN株式会社に移動し、2019年11月末で終了しました。

それまでは、部活的にリサーチ活動をしていました。それが正式に組織化され、会社の組織図にも記載されております。メンバーは正社員2人、スポット支援のパートナーが一人(人間中心設計専門家)

2人のチーム。
この最小チーム構成のマネージャーだった私から見た「事業を軌道に乗せるために実践したこと」についてまとめています。

それは今の自分への問いでもあります。

チームをうまく軌道に乗せるってどういうことだろうか?
組織って何だろうか?
事業を立ち上げ、成長させるってどういうことだろうか?

2章:チームを立ち上げる

2-1 吹けば飛ぶ、弱いチームの心がけ

実績もない、チームのノウハウの蓄積も経験値も少ない、正攻法でやっていたら時間がかかる。会社は成果が出るまで何年も待っててくれない。
吹けば飛ぶ。とても弱いチームであることをしっかりと認識する。
まず自分たちの認識が大事だと思っている。
半年で何かしらの成果をあげる。

まずはこの意識付けから。

2-2 計画は最小

吹けば飛ぶチームに長期の長大なビジネスプランは不要。
エクセル管理は最小に。
本当に大事なのはチームとして最短で成果を出すこと。
そこをマネジメントする。
最短で出せる成果を定義そして、上と約束し約束通り成果を出さなければいけない 。

2-3 ミッションは2つ

言われたミッションは2つ。
1)ファンを作れ。おかいもの研究室はメディア受けしそうだから、とにかくファンを作れ。
2)「おかいもの研究室」は事業部門にいる。当然売上も必要。

2-4 コミットする数字は慎重に

売上の数字作り方は慎重に。
売上を作れるのは2人しかいない。
現時点で確実性のある売上をベースに、後は自分たちの時間の50%で作れる売上を足す。
50%の時間で、ユーザーテスト、ユーザーリサーチ、UXコンサルティング、実作業で稼ぐ。

目標設定は高すぎても、低すぎても駄目。
コントロールできる範囲でコミットする数字を提出。
他社の費用もリサーチ。

2-5 失敗はNG

立ち上げたばかりのチームだから失敗許される。そんなことはない。むしろ逆。立ち上げたばかりのチームだから失敗すれば即解散。とにかく成果を出す。自分たちの価値を高めてしっかりと会社に利益を貢献できる可能性を示す。

利益は直接的な売上、間接指標はファン作り。

2-6 社内に抵抗勢力はあることを自覚

新しいことを始めると、抵抗勢力は出てくるものだ。

単純な話、私がこんな組織を作りたいって言って承認されたから、スタッフが私のチームに入ってくることになる。彼にやって貰っていた業務は誰がやるのだ?

とかね。もちろん表立って言う人は少ない、でもどこかで抵抗したい気持ちはあるもんだ。と言う認識を新しいチームを作るときには考えておいた方が良い。

2-7 社外から攻める

立ち上げたばかりのチームに実績はない。
だから、チームの価値を外の人から伝えて貰う。
外圧を使って、内部でポジションを確立していく。

2-8 チームの独立性

これまでの慣習で、今の仕事を引き続きやってくれということは案外多い。

全部やっていたら自分たちの成果が出せない。チームが倒れてしまう。
引き継ぎは迅速に。その後はブロックが基本。

組織化されたという意味を理解しないといけない。
自分たちのミッションをやらないといけない。
チームとしての独立性は確保。
成果を出すためにはそうする。

2-9 身軽

成果を出すためには、活動した分だけ前に進みたい。
・社内で関わる人は最小に、会議なども最小に、とにかくコミュニケーションコストを下げる努力とネゴシエーション。
・ルールはほとんどなし(変わるから)
・優先度は自分たちで決める(決めるしか無いから)
・100%完璧なものはいらない50%でリリース(後で修正)
・社内への説明は最小に、企画書は最小に、でも行動は大胆に

2-10 「志」が大事

サービスを作る時に一番大事なのは志(ビジョンや思想という言葉でもOK)

志は「中小ネットショップを元気にする」

ピンポイントで市場を開拓
狙った市場は
中小ネットショップの市場×UX市場
我々が狙ったところは重なり合ったところ。
ブルーオーシャンかも知れない。(市場無いかもだけど)
他社が真似できな領域を狙う。(市場無いかもだけど)

2-10 個人起点・個人のスキルを再編集・特技をまとめる

一人は10年以上楽天のショップのデザイナーを担当していた。
彼は常々言っていた。自分があの瞬間に欲しかった情報を 提供しよう。
自分自身が満足できるものを提供しよう。

3章:事業を立ち上げる

3-1 パートナーシップ

全部やる必要ないということに気づいた。 ちょっと周りを見ればいろんなサービスがある。
一緒にやろうよ。って声をかけてみる。
パートナーシップ組もうよ。⇒良いよ。

中小ネットショップ業界で、UXとかユーザーテストとかリサーチとか言っている企業がほとんど無かったので、興味持ってくれた人も何人か。運が良かった。

3-2 ユーザーテストのサービスメニューを立ち上げる

残念。ユーザーテストの営業できる人は事業部にはいない。
だったら自分たちでやるしかない。

予算も少ない。広告などは出せない。

事業としては大きな制約だ。どうやって市場に入り込むか。
とりあえずブログを書いてみた。
制約はチャンスと捉えて、とりあえずブログを書いた。

その記事を見てEC団体の理事から 面白いじゃない!!
今度講演会やってよ!!! 

ブログはPVが少ないがブランディング的には一定数の効果上げた。
制約は自己鍛錬の場でもあった。
ブログを書いた。書いた。書いた。

3-3 生産性は上げるしかない。だから「やらないリスト」

捨てられるものは捨てちゃおう。
まずはそこから。

やらないリストをつくりました。

やることを徹底的にやる。でもやらないことはやらない
とにかく仕事が急速に増えていた。
2つも3つも案件が同時に決まった。
非常に良いことだけど、リソース足らないんだよね。
外に発注も難しいしね。

やらないことはやらない。(難しい。全部はうまく出来なかった。)

2016年のメモにはこんなことが・・・。

・会議は小さく
・会議は面倒
・会議は戦い

すぐ忘れよっと、あとで多分、思い出すから。

覚えてらんない。
何か多すぎたらしいね。
でも問題起こらなかったから、まぁ良いか。

3-4 計画は適当

我々は目先のことしか計画しなかった。
短期計画のみ。
どうせ変わるから。

ミッションは変わらないからね。
どうミッションをクリアしていくか、その方法は適時判断。

ちなみに売上げ実績は99%(わずかに未達)

結構計算が合ってた。
我ながら関心したけど、最後追い込みはしんどかった。

4章:スタッフのマネジメント

4-1 ファースト・ミッション

「お前の知識を全部書き出せ」
徹底的に棚卸しをして貰いました。
チーム立ち上げ前で部活的に活動していたタイミングだったけどね。

4-2 しつこく同じことを話して言葉を合わせる。

言葉を合わせる。それには対話の量が大事。
しつこく同じ事を話す。
やがて同じ言葉で話し出す。

初期は私がやりたいことを一方的に、そのうち打ち返してくる。
コアメンバーで言葉があってくる。
外部の人も含めたコアメンバーで言葉があってくる。

4-3 委ねるタイミング

失敗許されない。 だから(なるべく)失敗しないように予防線を張っておく。裏でのネゴシエーションも大事。

委ねるタイミングは 早い方がいい
「任せた」 全部お前が決めて結果だけ持って来い。 報告はしろ。 困った時だけ相談しろ。
念の為、チーム外と話すときはメールでccには必ず入れておいて。
メッセンジャー使ったとしても結論はメールしておいて。

多少のリスクは受け入れて「委ねる」

4-4 タイムマネジメント、時間の50%はメディア向け

タイムマネジメントは重要。
そこで決めたのが50%メディア活動。
おかいもの研究室にとってのメディアとは
・ブログ執筆
・登壇の資料作成
・会報誌作成
など

メディア活動は営業活動。
ファン獲得の大事な業務。

面白いと思えばやってよし。
勝手に判断してくれ。
例えば、ゲームのアイトラッキング面白そうだなーと思ったから、やってみた。(結構時間使ったけど・・・、)

5章:組織の中でチームを運営するということ

5-1 組織の中で

最初は部活だったけど、組織になったタイミングで部活は終わり。
中途半端に判断しては行けない事もある。

5-2 組織の距離間は大事

新規の小さいチームは他のチームとの距離感が大事。
例えば物理的な距離も同じ。
 席が近すぎると頼み事が頻繁に来たりする。
席が遠すぎると わからなくなる。
だからちょっと離れたところに座っている。そこが大事。
例えば向かい合わせに座る。するとPC画面は見えない。そんな配慮が必要。

5-3 惰性はお断り

組織として独立、余計なコミュ二ケーションコストは減らさないといけない。
自分たちで物を作る企画し調査をする。
一番の商品は自分。
徹底的に時間を作る必要がある。
意識してやる必要がある。

だからどうやったらコミュニケーションコストを減らせるか?ってことに慎重に。ここはマネージャーの仕事。

惰性で呼ばれているミーティングは整理。
チーム内の定例はなし 週報もなし。
シンプルに。
そして目立たないで。

6章:マーケティング活動

6-1 名前の力は偉大

「おかいもの研究室」という名前は強かった。
一般名詞(カテゴリとして考えられる)ではなく固有名詞
名称が競争相手の名前以上に固有性で勝っていることが望ましい。
・短くする
・単純にする
・名称からカテゴリーを連想させる
・ユニークな名称にする
・名前に韻を踏ませる。

これも成功した。

6-2 お金で解決したブランディング

最新鋭のアイトラキング機器を購入。それでユーザーテストを開始。
そのアイトラッキング機器の威力は絶大、そのネタの記事も多く書いた。

スタッフは1日中アイトラッキング機器と格闘していましたね。
当時スマートフォンのアイトラッキングは中々できる人がいなかった。そもそも買えないからね。

ノウハウ含めて、当時の日本トップクラスのスキルだった。これはユーザーテストの専門家のお墨付き。

6-3 強みを宣言する

最初の強みは、
・ASPサービスとしての実績の背景(事業部がもっているサービス)
・BtoC向けのサービス設計スキル(私がゲームプラットフォームを10年位企画設計していました)

つまりはBtoBとBtoCの組み合わせ、ゲーム開発運営会社のノウハウでカートシステムをリニューアルというインパクト

それを研究する「おかいもの研究室」という名前

次いで
・最新鋭のアイトラキング機器でのユーザーテスト

おまけで、社外ミーティングルームの一個を「おかいもの研究室」という名称にして、会議室を少しラグジュアリーに改造しました。

6-4 人前で話すメリット

ライトニングトークという5分間のプレゼンがある。
そこにスポンサー枠として登壇するというところから開始。

大事なのは話が面白いこと。受けること。
5分のライトニングトークを全力で準備して全力でプレゼンをやる。

人前で話すと反応が帰ってくる。
この反応には、沢山のヒントがある。

6-5 ノウハウは公開

ユーザーテストの結果とか越境ECの調査レポートとか、おそらく普通のコンサルティング会社は見せない。ノウハウ。

全部見せちゃえ!!

これも良かった。

6-6 「虎の威を借る狐」作戦

BtoCの企業がBtoBに!って言うインパクト
NHNグループはゲームが強いからね。
あと元々LINEと一緒だったと言うのも大事。

BtoCが強いからね。
そんなNHNがBtoBも!

これも良かった。

6-7 UX業界に正面玄関からは入らない。

中小ネットショップ業界で アイトラッキング・ユーザーテストという武器を使う。磨く。アイトラッキング×スマートフォン× 中小ネットショップ

この領域でナンバーワンを狙う。これが評判になった。

中小ネットショップ業界&スマホのユーザーテスト第一任者として 名を上げてUX業界と付き合う。

裏口からこっそり入って行こうかなと、そんなことを考え実行していました。

6-8 最初は知人からの仕事

現実はそんなもの。

6-9 サービスを進化させる 

クライアントの利益
クライアント の利益はなんだ?
第一の問い われわれの使命は何か
第二の問い われわれの顧客は誰か
第三の問い 顧客の価値は何か
第四の問い われわれの成果は何か
第五の問い われわれの計画は何か

積み重ねて

地道に追加されることが大事。
少しずつ少しずつ積み重ねていく。
積み重ねたものは頭の整理のためにブログにしていく。

日々振り返り、言語化していく。

6-10 顧客の声とユーザーの声と、社内のアドバイス

社内のアドバイス。とてもありがたいけど、実体験が伴っていない事も多い。

顧客の声、ユーザーの声とまず向き合う。

7章:丁寧に整えていく

7-1 小さな勝利に気が付くこと

小さな勝利に気がつくこと。
それを喜ぶこと。

色々な人と喜ぶ事。

ここから共感が生まれる。
共感が大事、社内でも社外でも全てそれがなければ何もできない。

7-2 慎重に、チームの拡大は慎重に、面接は2時間

新しいメンバーを採用することにした。(最終的に流れました)
1人追加。
とびきりの人が面接にやってきた。
面接は2時間。
その中での面接はこんな感じ。

まずはお互いの自己紹介、すべては対等。
おかいもの研究室は特殊かもしれないので、まず自分達のプレゼンをやった。大事なことがずれていたらダメだから。

こちらも面接を受けている。そんなイメージ。

7-3 仕事が忙しいから無理して人を採用しても、きっとうまくいかない

仕事が忙しかったら仕事を減らせばいい。
オペレーター的な仕事はお手伝いを頼めばいい。
日々精進、最前線。
いつでも最前線に立っていることが重要。
雑用も大事だけどね。そこは減らしていこう。

7-4 貪欲に

何が自分たちにとって大事なのか?
武器は磨いているか?
自分たちの武器は何か?ということをいつもいつも見直し。
ユーザー調査のテクニックか、 プレゼンのテクニックか、 戦略策定か、 ビジネス設計か、、、、生き残るために進化する。

7-5 別の場所の可能性

ネットショップ関連以外のところにも顔を出す。
例えばテクノロジー系のイベントでライトニングトークをやってみる。
常に視座を変えて、別の場所の可能性を探っている。
環境に適応する。
環境は常に変わっていると思う。

おかいもの研究室ができた2015年はまだAIとか アマゾンの配送スピードとかそんなのは、ほとんど言われてなかったと思う。でも何がわからないけど、何かあるかもしれないから参加してみる。

7-6 自分たちの戦い方

それぞれが自分たちのファンを作って、自分達の強みを強化するしかない。
そしてそれぞれの情報をシームレスに連携させる。

7-7 自分が商品、自分をブランド化

自分中心でいいと思う。
自分が何になりたいか?
そういうのがとても大事だと今でも感じている。

終わりに

2019年11月「おかいもの研究室」終了。
立ち上げから成長そして終了。ここで得た経験と知見は「リーダー育成」という私の新たなミッションに活かしています。

---


この記事が参加している募集

アレとソレを組合せてみたらコノ課題を解決できるソリューションができるよね?と言うパズルをやるような思考回路です。サポートして頂いた費用は、プロジェクト関連の書籍購入やセミナー参加の資金にします。